恋花粉 | 毎週ショートショートnote
スギ花粉の代わりに
『好き花粉』が舞っています。
モテモテ男子の早川くんの周りに、
今日も女子が群がっています。
「こらお前たち、席につけ。授業始めるぞ」
熊のような姿をした立川先生に怒られて、女子たちは渋々と席に着きます。
早川くんがウィンクをすると、女子たちは卒倒します。
好き花粉によるアレルギー反応がやや強めに出てしまうようです。
そんなある日、なんと一人の女子が早川くんの心を射止めました。
同じクラスの文武両道、純情可憐な才女、吉田さんです。
好き花粉が、より重篤な『恋花粉』に変わります。
「彼女には、敵わないわ」
女子たちは、泣きました。
鼻水を垂れ流し、目を腫らし、翌日は吉田さん以外の女子全員が欠席しました。
恋花粉の影響は深刻です。
その時ガラガラとドアが開きました。
「おはよう。今日は欠席者が・・・多いなぁ、グスッ、ジュルッ」
入ってきた立川先生が、
真っ赤に腫らした目をこすりながら、
涙声で授業を始めました。
あらあら、ここにも。
(410文字)
たらはかにさんの企画に参加させて頂いております！
禁断の片思い。