
海のピ | 毎週ショートショートnote
7月15日。
海岸沿いで老夫婦がのんびりと水平線を眺めていました。
「婆さんや。あそこに何か浮いちょりゃせんか」
爺さんが指さした先の沖合に、
3m程の奇妙な物体が浮かんでいるのが見えました。
「確かに、何か浮いてますね…
あっ、少しずつ近づいてきます」
物体が近づくにつれ爺さんの顔がどんどん青ざめます。
「あっ、あっ…大変じゃ。あれは『海のピ』じゃ」
「海のピ?なんですかそれは」
「今すぐ帰るぞ。この町が危ない」
爺さんは自宅に帰ると、震える手で警察に電話をかけました。
通報途中、背中に気配を感じた時にはもう手遅れでした。
爺さんの背中を触手が貫き、
日めくりカレンダーの右上に血飛沫が散りました。
「〇〇海岸で海のピが発見された模様!総員、緊急配備につけ!」
警視庁・海上保安庁・海上自衛隊に緊急体制が敷かれました。
情報を聞きつけた諸外国からも、
最新鋭の新型爆撃機を含む多数の応援が駆けつけます。
全人類の存続を賭けた戦いの火蓋が切られました。
(410文字)
海の日゜
たらはかにさんの企画に参加させて頂いております。