燈屋
*燈屋
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地獄にもそれなりに町があり、大層賑わっている。
大通りに連なる商い屋の数々。
彼らは今日も商魂たくましい。
(キセルを吸って吐く)
何だい?
ここは燈屋(あかりや)さ。
そこらにある空っぽの提灯に、
この甕(かめ)の中にある燈(あかり)を入れてやるのさ。
赤、青、黄、緑…
好みの色を入れてやるよ。
今の流行りは桃色、だったかなぁ。
え?この燈(あかり)が生きてるみたいだって?
はっはっはっ!
いい死に方をしなかった魂なんざ、腐るほどあるからな。
ほとんど地獄の釜からこぼれたヤツなんだがな。
おっと、この話は秘密だぞ。
現世(うつしよ)も生き辛くなってんのかねぇ…
今の自分には関係ないか!
こっちはそれで飯が食えてるわけだしな。
いけねぇ、配達を頼まれたんだ。
鬼灯(ほおずき)の提灯、まだ残ってたかなぁ…
え、帰るのかい?
すまないな。
そしたらオマエさん、また来いよ!
今度はマケてやるよ。
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音楽コラボアプリ「nana」にて公開している台本です。
人称、性別の変更、アドリブ等OK