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プレイリスト

 今この文章を読んでくれているあなたは、誰かと自分のお気に入りの曲が詰まったプレイリストを共有した、もしくは見せたことがあるだろうか。

 私はついこの前(と言っても半年程前だが)初めて自分のプレイリストを共有した。しかも彼氏と。

 人によってはそんな些細なことか、と思うかもしれない。だがこれは私にとって一大イベントだった。

 何を隠そう私は「穏やか狼」。どれだけ親しくなった相手にも見せられない自分が必ずどこかにあるのだ。その最たる例がプレイリスト。


 私にとって音楽は自分そのものを表しているようなもの。

 失恋した時は失恋ソングばっかりお気に入りに増えていくし、片思いの時は片思いソングがどんどん増えてくし、という具合に。

 ジャンルだって幅広い。王道J-POP、邦ロック、K-POP(彼氏の影響)、ボカロ、歌い手さんetc...
何を知られるのが恥ずかしいって、このジャンルなのだ。これには過去の出来事が関係している。(恋人関係の話のみ話そうと思う)


 元カレBは、私の好きなジャンルの一つ、ボカロや歌い手さんに、理解がない人だった。理解がないと言うか、どうやら馬鹿にしているようだった。
耳をすませば、「ヲタク」「陰キャ」「イタい」ってネガティブな意味合いで聞こえてきそうな、そんな雰囲気だった。だから、中々自分の「好き」を伝えられなかった。
 だがある日、私は元カレBに「今度とある歌い手さんのライブ一緒に行ってみようよ」と勇気を出して誘ってみた。しかし即答だった。

「え〜。無理無理。僕全然曲だって知らないし。それにヘドバンとかするんでしょ?怖いよぉ。」

 ほら、やっぱり、思った通りだ。

 もちろん自分の「好き」を何でもかんでも共有する必要はない。ただ、私は、せっかく一緒にいるなら、私のことを知って、受け入れて欲しかったのだ。

 それ以来、元カレBにその話をすることは一切無くなった。

 その後付き合った元カレO。彼は違った。
 何とボカロ系に理解があったのだ。寧ろ彼もよく聞いていたとのことだった。彼の見た目からはそんな風に全く感じられなかったので驚いた。と同時に、この人ならありのままの自分を知ってもらえるかも、と思った。結局1ヶ月もせずに、知ってもらう前に、フラれてしまったけど。笑

 そしてやっと現在進行形の話になる。なぜ今の彼氏にはプレイリストを共有できたのか。それは、彼の言動と性格に尽きる。

 彼は所謂THE陽キャ。とてもコミュニケーションが上手だ。きっかけは単純だった。桜の季節の頃、ふとした時に彼が
「🐺のおすすめの曲教えてよ!どんなの聞くのかいっぱい知りたい」
と言った。
 私は一瞬戸惑った。けど二つ返事でいいよと言った。それは、彼は絶対に私の趣味嗜好を馬鹿にしたりしない、と確信を持てたからだ。

 彼はいつだって、人のことを否定しない。私が言うことすることにも、「いいね!」っていつも言ってくれる。受け入れてくれる。
 そんな素敵な性格を持ち合わせている彼だから、初めて、親にも見せたことのないプレイリストを共有できたのだ。

 また、それからというもの、私は素の自分を見せすぎているのではないか、と心配になるぐらい、彼にありのままの自分を見せられるようになった。こんなにも嬉しいことはない。いや、あるにはあるが。自分を受け入れてくれる、ただそれだけでこんなにも嬉しい気持ちになるとは知らなかった。
 一歩、ひとりきり狼から抜け出すことができた。

 つい先日、彼から、「そういえば🐺のプレイリストずっと聞いてるけどさあ。曲多すぎて一周できたのかも分からんのやけど笑」と言われた。私の全てを知るにはまだまだ程遠いようだ。

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