ショクダイオオコンニャクという植物
おはようございます。
日々研究に忙殺されながらもゴキゲンに過ごしている理系大学院生しらはまです。
さて、今回は京都府立植物園で数年に一度のショクダイオオコンニャク(絶滅危惧種)の花が咲いたというニュースを見つけたので見物に行ってきました。
大学院で植物の研究をしていることもあり、私しらはま、ヘンテコ植物に目がありません。これは行かねばなるまいということで、拙宅から自転車で賀茂川を北上すること約10分、京都府立植物園へ。この植物園、農学部生は無料で入園できるのが非常にありがたい(本来の入園料も200円と破格)。
朝8時半ころに入園しましたが温室前には既に人だかり。9時前に温室が開園し中へ、まだ朝ですが外より温室の方が涼しい。
温室に入ってすぐお目当てのショクダイオオコンニャクさんとご対面。
デカい。とにかくデカい。2メートル以上ありそう。
僕が行ったのは開花二日目だったので匂いはさほどなかったけれど、開花直後は35℃程度まで発熱し、強烈な腐敗臭を発することで虫を誘い花粉を運ばせるそう。
大きく飛び出たツノのようなものはめしべ(柱頭)ではなく付属体と呼ばれる構造体でここが発熱発臭する。雄花と雌花は花の中心部に位置し、多くの花が集まった集合花となっている。その下にはイモがあり、このイモでコンニャクも作れるそう(実例はない)。
開花時以外は大きなはっぱを1枚だけ展開し光合成によって栄養を貯め、しばらくしたら枯れて休眠を繰り返すらしい。葉っぱが伸びた栄養成長相の植物体も温室に展示されてました。
このショクダイオオコンニャク、説明書きに気になる記述が、
「自身の花粉では受粉できない」
なんと、数年に1度、しかも2日間しか咲かないくせに結実には他の個体由来の花粉が必要とのこと。
自身の花粉では受粉できない仕組み(自家不和合性)は遺伝的多様性を維持する生存戦略として多くの植物種に見られる仕組みですが、他の個体が近くにいないと受粉できない効率の悪さが欠点です。発熱と匂い、持ち前のアピール力があるとはいえ、こんなに気まぐれに咲いているショクダイオオコンニャクさんは他の個体の花粉を待つなどと悠長なことを言ってられなさそう…
原産地のインドネシアでは個体間で開花のタイミングが揃う仕組みでもあるのだろうかと想像する一方、ショクダイオオコンニャクの開花は適応的な形質などではなく、進化のバグのようなもので袋小路にはまり絶滅危惧種となってしまったのではとも邪推してしまいました。
やるときはやるぞとマイペースに構えて気付けば絶滅危惧種。ショクダイオオコンニャクとはなんとも愛すべき生き様の植物なのかもしれないです。