知りたがる女vs教えない女
粉もんの中でピザがマイブームだ。
家族にも広まりつつある。
もっちり生地のナポリピッツァが好きだが、先日食べたのは、パリパリのクリスピー生地だった。
チーズが売りらしくそれはそれでホント美味しかったが、粉を楽しみにしていたコチラとしては満足できなかった。
リベンジしたくて、連休だし少し遠出した。
車から降りてスマホの案内を頼りに歩くが、すっかり通り過ぎて戻ると、こぢんまりとした店があった。
ランチの時間帯だが先客はなく品の良い店主が迎えてくれた。
席につき程なくして女性2名と夫婦が来店。
ひと通りメニューに目を通し、心に決めていたピザを注文した。
申し訳無さそうに
すみません、今日はちょっと〜ピザがだめなんです。パスタならできます。と仰る。
へ?と夫と顔を見合わせる。
(そうかー、どうする?パスタでいっか!)
秒で決定。
あ、パスタふたつお願いします。
一見さんはオーダーできないのかな…とか
メニュー渡す時点で今日はピザの提供ができないって言えばいいのに…とか
仕入れか仕込みが間に合わなかったのかな…と
しばし脳内で妄想した。
夫はスマホでゲームをしている。
私達の後から入ってきた女性達の声がなかなか大きく、聞きたくないが耳に入ってくる。
AさんBさんとしよう。 声の大きさA>B
どうやらAさんがBさんにごちそうするらしい。
A ぜーんぜん遠慮しないで。
ここ何でもおいしいから〜。
B えーホントにいーのー、何か悪いよ〜。
私知らなかったけどここはよく来るの?
A うん、よく来るんだよ〜。
◯◯ちゃんもねー来たことあるよ〜
B あ!?へぇそうなんだ〜
Aさんはここの常連さんなのかな?
Bさんは奢ってもらう理由がわからない、のかな?
共通の知人もいるようだが、すごく親しい間柄ではなさそうだ。
沈黙が怖いのか「間」がない。
A ◯◯ちゃんてホントいい人だよね〜!
引っ越しもこの間手伝ってさ〜
B え!手伝いに〜?
Bさんは、Aさんが◯◯ちゃんとそこまで親しい仲であることを知らなかったようだ。
やたら褒めまくっているが、それが全部抽象的…なんか「含み」がある。
あと、私はいい人を連呼する人はちょっと苦手だ。
ざわ··
仲良しだから引っ越しの手伝いをした事があって、私は〇〇ちゃんをいい人と思っていて、あなたにごちそうしてあげる優しい人なんだぉアピールか?
夫に急に話しかけられ女性達の会話が途中よく聞き取れなかった。
私の声はあまり通らない。
周りが騒がしい環境だとかなり声を張ることになるから、頷いたり、首を振って応えた。
で、また聞き入る。
A でさ、LI●EのID教えて〜
唐突!
B え?あ〜ID?え〜なんで〜
お!ちょっと警戒してるか?
ざわ··ざわ···
さっきから気になるのが、Aがず〜っとスマホをイジっていることだ。Bさんを見て話していない。
ハッ、Aと呼び捨てにしている。
Aのスマホが鳴る
このタイミングで?
A あ〜久しぶり〜
ホントに久しぶりなのか?
A 今ねBちゃんといるんだよ〜、そうそう
うんうん、そーだねー、うんうん、そうそう
相槌だけ。
A うんわかった〜
うんありがとう〜
うんまたご飯いこうよ〜
うんまたね〜
隠語か?
A 今、▽△さんだった。
あ、でさぁ、ID教えて!
吹き出すところだった。
B あ〜▽△さ〜ん?IDね〜どこで見れたっけ〜
忘れちゃったよぉ
Aが画面を教える。
Bが警戒しだしたのか、妙に時間稼ぎしているように感じる。(ハッBのことも呼び捨てにしてた)
そこへパスタ登場〜。
そうだった、食べねば。
運ばれてきたのは香り高いチーズ&ジェノベーゼ!
聞き入っていてしばし忘れていたがパスタにありつく。
ぶっ飛んだ。
なんか望んだもの食べれなくてハズレくじ引かされた気分だったの謝ります。
お〜いすぃ〜
夫の食べっぷりがワンパクだった。相当気に入ったな。
私も集中してパスタと対峙し、堪能した。
おいしかった〜。
犬が家で留守番しているから早く帰らねば。
長居は無用じゃ。
会計を済ませ店を出た。
パスタがあの美味さだとすると、ピザも相当なレベルに違いない!
AとBはどうなったかな。
B、ID教えちゃったかな。
結局のところ、アレかソレでしょ?
AはBをアレしたいか、ソレさせたいか。
BはAの〇□なんだな。
あの店、その拠点なのかな。