若手部会学会セッション①~臨床研究デザインことはじめ~
先日開催された第29回学術集会@有明セントラルタワーでの若手部会関連企画を振り返っています。
1日目の朝イチ、メインホールでは、日本臨床疫学会との共催で、両学会ジョイント企画「academic generalistを目指す若手医師のための臨床研究デザインことはじめ」を企画運営しました。
医学の発展のためには「研究」が必要ですが、日本の総合診療医は臨床・教育・マネジメントに比して研究を疎かにしがちということが言われておりました。若手総合診療医の研究への閾値を下げるべく、若手部会では症例報告などを通じてacademic generalistとして成長していくための方略を提唱・実践してきました。
そうして徐々に臨床研究・原著論文の執筆にチャレンジする若手も増える中で、「研究をどの様に計画したらいいか分からない」、「トップジャーナルに投稿しても査読にすら回してもらえない」などといった悩みを相談されることも増えました。
そこでこちらでは、日本臨床疫学会の代表理事で、「臨床研究の道標」や「リサーチクエスチョンの作り方」などのご著書でも有名な福原俊一先生を講師としてお招きし、日々の疑問から“臨床疑問を定式化”し“研究の基本設計図”をブラッシュアップする過程を参加者と共有する企画を開催しました。
具体的には「日本では女性Hospitalistが少ないのか?」という若手部会が設定したテーマについて、有志が研究背景について調査、福原先生の手厚いメンタリングのもとスライドにまとめ設計図案を提示しました。
福原先生には、まずFIRMNESS(下記参照)チェックの解説を含み、「どの様な研究がトップジャーナルの編集長の心に刺さるのか?」についてご講演をいただいた後、我々の設計図案をどうブラッシュアップできるかについて聴衆からの疑問にも答えつつ解説頂きました。
【FIRMNESS】
Feasibility:実現可能性
Interesting:興味深い
Relevance:切実性
Measurable:測定可能性
Modifiable:要因・介入の修正可能性
Novel:独自性
Ethical:倫理性
Structural:構造化されている
Specific:具体的・明瞭
企画の直前までスライド差し替えを繰り返したにも関わらず嫌な顔一つされず、我々の心理的安全性にも最大限配慮されたご指導を福原先生に頂き、疑問・研究設計を磨く過程は我々若手部会のメンバーにとっても大変勉強になりました。今回設計した研究はぜひ研究として実施、論文として世に送り出したいと考えております。
次回30回大会でも福原先生・日本臨床疫学会とのコラボレーションを検討・計画中ですので、興味のある皆さまのご参加をお待ちしています。また会場でお会いしましょう!