【小説】収斂

落ちる速度はまちまちだ、位置も、色も、爆ぜる範囲も。恣意と作為のあわいを行ったり来たり。二者択一ではなく。その往復自体が問いであり営為。
断定することのもっともらしさと胡散臭さ。そんな勝負師の妙技と矜持もあるだろうが、主体性や自己責任、意思決定だけが全てだろうか。それ以外の方法はないか……降りしきり、いい加減やまない雨が支持体へと鮮やかに定着され続けるように、いつまでも泣きじゃくる子のような感覚が、やがて疲れ切って、真夜中に立てる寝息のような時がいつか、いつか訪れるのだろうか。葛藤がいつまでも訪れない始まりだけの物語の系譜。
歪み滲む色彩が生成され続ける光景に、眩暈と吐き気と頭痛を、確かな足取りでいつまで、溜息と恍惚でもって歩み続けることができるのか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?