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映画『きみに読む物語』が現実になることはあるか

以前、映画『きみに読む物語』が夜中にテレビで放映されていて、見始めたら眼がテレビから離せなくなったことがある。

老婦人に老人が物語を読み聞かせる。
それは純愛を貫いた2人の恋の物語。
なぜこれほどまでに、切なくなって涙が止まらなくなってしまうのか。

それは当たり前の物語ではないから。いつまでも好きな人を思い続け、純愛を貫くことが難しいから。この物語が誰でも普通にできるなら、これほどまでに感動を呼ぶこともないだろう。
誰もがあこがれるけど、惹かれ合う2人がどんな困難をも乗り越えて、最後に結ばれるなんて滅多にない。

返事のない手紙をいつまでも書くことはできるか。
2人が一緒になる未来をいつまでも信じることができるか。
そして、いくつか重なる偶然。

☆☆☆

娘もこの物語にいたく感動していた。
この前失恋した彼氏にLINEでメッセージを書こうとしている。
あれからそんなに日数は経っていない。
家庭の問題のため、別れを一方的に切り出されたそう。将来そばにいる娘を想像してくれなかった彼。家族の問題に娘を巻き込みたくないとか。

そこにはどんな困難が待ち受けているのだろうか。
そんなに不安な将来なのだろうか。
人は一歩先はわからない。今健康な人だとしても、いつ病気になったり、事故に遭ったりするかわからない。不安をどれだけ想像しても仕方がない。
でも、2人で乗り越えられないと勝手に彼1人で判断してしまった。

娘も、世間知らずで育っている部分もあるだろう。
突然彼を失ってしまった悲しみからなかなか立ち直れない。
時が経つのを祈るしかない。
娘は最後の悪あがきだとしても、彼にメッセージを送りたいのだそう。本当は、後腐れなく何も行動をおこさないほうが賢いのだろうけど。

別れたらきっぱり前を向いたほうがいいのだろう。
だけど、人間はロボットではない。
すぐに感情が切り替わるなんて無理である。
思いっきり泣いて落ち込む時期があってもいい。

かっこ悪いけど、最後のメッセージを送ってもいいんじゃないか。
彼からどう思われても。ウザいと思われても。相手の思考なんてこちらがどれだけ考えてもわかるものではない。

娘がまた傷ついたとしても、やるだけやってみればと見守っていたい。
そばで見ているだけで、また私の心も切なくなってしまう。

現実は物語のようにはならない。
結婚するってどういう気持ちになったらできるのか。
将来の不安なんて考えだしたらきりがない。

結局は、根拠のない自信、2人の未来をどれだけ信じられるかだろう。
結婚したからといって、その先には現実的な生活が待っていて、絶対幸せになれるとは限らない。
結婚は、勢いとどれだけ相手と自分の未来を信じぬけるかだ。
衝突やハプニングがあっても、とことん話し合って、悩み抜いて……そんなことがあったとしても、どうしても2人で生きたいという強い思いがあれば。

なんて、そんな考えもロマンチックで甘すぎるのかな。
もう1度『きみに読む物語』を観て、感傷にどっぷり浸りたい気分。


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