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医療の新境地:mediVRカグラを通じて見えた未来のメタバース

近年、医療分野においてもテクノロジーの進化が目覚ましく、その中でも特に注目されているのが「仮想空間」との融合です。

メタバースとは、仮想空間の中で現実世界のような体験を提供する新しいインターネットの形態です。この技術が医療に応用されることで、リハビリテーションのあり方がどのように変わるのか、今回は「mediVRカグラ」という最新のVRリハビリテーション機器の体験レビューと、見えてきた未来についてまとめます。

香川県初となる導入施設にお邪魔してきました!

ワタシは医療メタバースエバンジェリストとして、最新の技術を取り入れた医療の未来に強い関心を持っています。同時に理学療法士として日々多くの患者さんとリハビリテーションを行っている実務者でもあります。

プロフィールと代表実績はコチラ↓

そんな私が今回体験したのが、VR技術を用いたリハビリテーション機器「mediVRカグラ」について【忖度なしの本気レビュー!!!】

この機器は、従来のリハビリテーションを大きく変える可能性を秘めていると感じました。

mediVRカグラとは?

mediVRカグラは、VR(仮想現実)技術を用いてリハビリテーションを行うためのデバイスです。患者はVRヘッドセットを装着し、仮想空間内で様々なリハビリテーションエクササイズを行います。従来のリハビリ機器とは異なり、mediVRカグラは没入感のある体験を提供することで、患者のモチベーションを高め、より効果的なリハビリを可能にします。

VRヘッドセットはHTC「VIVE」が採用されています。

ヘッドセット、ベースステーションもセットで提供(レンタルor購入)

mediVRカグラの主な特徴は以下の通り。

  • インタラクティブなエクササイズ: 患者は仮想空間内でゲーム感覚のエクササイズを行い、楽しみながらリハビリを進めることができます。

印籠を集めていくモードや、高齢者向けの刺激の少ないものなど、ゲームネイティブなユーザーから初心者まで幅広く対応。さすが医療機器として認可されている物であり、酔い対策もバッチリ。(VR酔いの発生率は0.5%以下)

  • 専門療法士のフィードバック: 動きの正確さやエクササイズの進行状況についてリアルタイムで療法士からフィードバックが提供されるため、患者は自分の進捗を即座に確認できます。

正直、療法士のフィードバックが無ければ、ただのゲームとして遊んでしまって治療にならなさそうだなと言うのが参加者の素直な感想でした。

そうなると療法士によって治療効果が変わることが懸念されます。VR自体への習熟度も大きく関係しそう。

そこで、サポート体制の有無を確認しましたが、結構手厚い.…

定期的なオンラインでのヒアリングや、現地サポート、導入施設の座談会や研修会も企画されている安心設計とのこと。

全国100以上の施設と繋がれるのも魅力的ですね!

  • 対象疾患の広さ: 患者の症状に合わせ、様々な疾患に対する検証研究がされています。

脳卒中、高次脳機能障害、失調症、整形疾患、小児疾患など、様々な分野で効果が実証されています。

治療の理論としては「体制認知協調療法:脳の再プログラミング療法」を提唱。従来の「弱った側だけ鍛える」、「目的の動作に直結することだけ練習する」ようなことはせず
「仮想空間の中で全身を使って、全身の動きを司る神経(SCAN)を活性あるいは調整」することで、身体変化を促すというもの。

没入性のあるVRのメリットを生かした理論かなと思います。

上記は意訳のため、参考動画のコチラから確認ください↓


実際の体験レポート

実際にmediVRカグラを体験してみると、その先進性と効果に驚かされました。まず機器のセットアップは非常に簡単で、短時間で準備が整いました。

VRヘッドセットを装着すると、目の前に広がる仮想空間のリアルさに圧倒されます。まるで別の世界にいるかのような没入感は、従来のリハビリテーションでは得られないものです。

VR機器の種類によりますが、使用したVIVE Pro 2は軽量かつ視野角、解像度共に良好で装着の違和感を殆ど感じませんでした。
ワタシは普段Meta Quest2を使用しているため、その差を他の誰よりも感じたと思います。
(VIVE Pro2のレビューはコチラ)

エクササイズは、仮想空間内での様々なミッションをクリアする形で進行します。例えば、左右様々な位置の仮想の物体に手を伸ばしたり、アイテムを集めたりなどです。これらのエクササイズは、ゲーム感覚で楽しめるため、患者のモチベーションが自然と高まります。

特に子どもさんへのリハビリへの導入場面は感動的で、先天/後天性疾患を持ったわが子が楽しそうに体を動かす様子を見て、親御さんが喜んでいるのが印象的でした。(小児疾患の情報はコチラ↓)


高齢な方も利用されている物ですが、個人的には小児疾患が最も適していると感じました!リハビリは体がよくなる以上に「その人の世界が広がる」とか「可能性を発見できる」ことも非常に大切な要素だと考えています。

導入したが使っていない職員も多いようで、医療者としての意義を感じる実例が増えると、今後は変わってくるかもしれないですね!

リハビリ効果の可能性

仮想空間を使用したリハビリテーションの効果は、身体的な面だけでなく心理的な面でも顕著です。まず、身体的な効果としては、筋力や柔軟性の向上が挙げられます。エクササイズは自然な動きを促すため、無理なく体を鍛えることができます。また、リアルタイムのフィードバックにより、自分の動きの正確さを確認しながらエクササイズを行うことで、より効率的にリハビリを進めることができます。

しかしながら心理的な効果も見逃せません。仮想空間でのエクササイズを通じて、患者のストレスや不安を軽減する効果にも期待が出来るとワタシは考えます。楽しい体験を提供することで、リハビリに対する抵抗感が減り、積極的に取り組む姿勢が生まれます。また、成功体験を重ねることで、自信を取り戻すこともできます。
実際に「仮想空間内での運動」については、身体だけでなく「精神的効果」が認められるといった報告もあります。

個人の生理学的、心理的、リハビリテーションの結果に対するバーチャルリアリティ運動の有効性:系統的レビュー

実際に私たちがメタバース上で実証研究している「VRダンスフィットネス」でも、同様のデータが集まってきています。


医療メタバースの可能性

mediVRカグラのようなVR技術を用いたリハビリテーションは、医療メタバースの可能性を大いに示しています。今後リモートリハビリテーションの実現により、地理的な制約を超えて質の高い医療サービスを提供することができます。これにより、遠隔地に住む患者や移動が困難な患者でも、専門的なリハビリテーションを受けることが可能になります。

mediVRカグラは認可を受けた医療機器であり、病院や施設の中の患者を対象としているものです。そのため療法士が隣に付き添う形でリハビリテーションを提供しています。しかしながら社会には他にも「健康増進」「予防」「診断」「治療」の各段階に合わせた医療提供が必要です。

特にヘルスケアなど予防や健康増進(メディカルフィットネスなどの)分野であれば、転倒などの危険性が少ない方を対象としやすく、有効かも知れません。

とはいえ現段階でも、新しい「VR」というモノを通して医療従事者と患者のコミュニケーションが活発になることで、より個別化された医療が実現していますし、非常に嬉しく思います!
医療メタバースは、患者と医療従事者の新しい関係を築き、医療の質を向上させる可能性を秘めていると感じた体験でした。

今後の展望としては、mediVRカグラのような技術がさらに進化し、より多くの患者が恩恵を受けられるようになることが期待されます。

mediVRカグラを通じて見えた未来のメタバースが、医療の新境地を切り開くことを期待しつつ、今後もその進化を見守りたいと思います。


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