見出し画像

10月7日 ヴェネツィアの見え方が変わる?サン・マルコ大聖堂のぶっとんだ真実

In 1094 St Mark’s Basilica in Venice was consecrated by Doge Vitale Falier, when the body believed to be of St Mark was placed in a marble tomb beneath the high altar.

1094年、ヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂が、ドージェ(総督)のヴィターレ・ファリエーロによって聖別されました。聖マルコと信じられている遺体が、主祭壇の下の大理石の墓に安置されました。

The Times 241008

立派な大聖堂は信仰の証、、ではない?

サン・マルコ大聖堂はヴェニス観光における鉄板スポットです。そして、その中に安置されているのがキリスト教における重要アイテム、聖マルコの遺骸です。でも、それ盗品ですけどね?
これからヴェネツィアに行く方、行った事のある方に。サン・マルコ大聖堂の見え方が180度変わる辣腕ヴェネツィア商人のぶっ飛んだお話です。

Bsilicaは王の座所というギリシア語が起源ですが、大きな公共の建物の意です

聖マルコお持ち帰り大作戦

そもそも聖マルコってヴェネツィアとは縁もゆかりもありません。
彼は元々はエジプトのアレキサンドリアで亡くなり、遺骨は彼の地で大切に祀られていました。そのありがたい遺骨を当時イケイケの商人2人組、ブオーノとルスティコが盗んでヴェネツィアに持ち帰ったのが聖マルコとヴェネツィアの関わりの起源です(諸説あり、ですが)。

しかも、その持ち帰り方。ぶっ飛んでいます。
当時エジプトはイスラム帝国の支配下にあり行き交う貨物はイスラム帝国の役人にチェックされ、もれなく課税されます。当時の超重要アイテムであった聖人の遺骸など見つかれば没収されてしまう事は目に見えています。
そこで機転と行動力のイタリア人、ひらめきます。イスラム教徒が苦手なものに隠せばいいんじゃね?と。
なんとイスラム教徒が忌み嫌う豚肉の塩漬けに紛れさせ見事にチェックをすり抜けます。ありがたい遺骨を豚肉に紛れさせるとか、なんでもありですね。こうして見事に聖マルコの遺骸はヴェネツィアに到着します。

イケてる都市にはイケてる聖人っしょ!

ブオーノとルスティコは持ち帰った遺骸をヴェネツィアの統治者(ドージェ)に献上します。盗品を献上される方もされる方なのですが、結果当時のドージェはなりふりかまわず、大喜びします。どのくらい喜んだかというとヴェネツィアの紋章をその聖マルコの紋章(翼の生えたライオン)に変えちゃうぐらいです。そして、在らん限りの富と力を注ぎ込んで超絶立派な大聖堂を作ります。それがあの立派なサン・マルコ大聖堂というわけです。

その後、サン・マルコ大聖堂は聖地として各地から巡礼者を呼び寄せ街に少なからぬ観光収入をもたらすばかりでなく、一流の聖人をゲットして自信をつけた商人達は世界を席巻していきます。グランドセイコーを無理してローンで買った社会人2年目が仕事頑張って出世していくのに似ているかもしれません。

欧州観光で大聖堂や立派な教会を見て感動するという場面は多々ありますが、必ずしも深い信仰心の賜物というわけでない良い事例です。映画化するならブオーノとルスティコを演じるのはブラッドピットとジョージクルーニーでいかがでしょうか。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?