そろばんと詩とバッジ
あれは私が小学校の3年生くらいだったか、算数の時間にそろばんがあった。(昭和の時代だなあ)
私はものすごくそろばんが苦手だった。
ただの足し算なのに
私は間違ってやり直してばかり。
パチパチパチパチ 。
パチパチパチパチ。
みんな「できた!」と手を挙げている。
あ、また間違った。
パチパチパチパチ。
パチパチパチパチ。
焦ってまた間違った。
最後まで間違い続けて、かなしい時間だった。
その後の国語の時間は詩を書く時間だった。
そろばんの時間はきらいだーという気持ちを詩に書いた。
その詩を先生が新聞の子どもの詩の欄に出してくれて、掲載された。「小さな目」という欄だった。
その時は恥ずかしかった。
そろばんが苦手できらいなことをみんなに知られてしまったから。
新聞社から銀色の鳥のバッジが送られて来た。
私はそれを帽子に付けて学校に通った。
そうか、ほんとうは私はうれしかったんだな。
そろばんは全然できなかったけど、おかげで詩をほめてもらえた。
今でも鳥のバッジが目に浮かぶから。
うれしかったんだ。
2018年 05月 26日