ふられませんでした

長い曳山祭も無事終わりました。今年の特筆事項は神輿還御開始時刻が厳格化され、そのためか山組によっては道中狂言の一部省略やこれまでは「押し」が当り前だった開始時刻が「巻き」になる珍現象まで発生いたしました。
 
それでも總當番を始めとする関係者各位のご精進の賜物か、近年にない良い目、ではない天候に恵まれ、(私の記憶と記録が正しければ)裸参りからずっと天気が続いたのは2014年以来10年ぶりではないでしょうか。その時の出番組も今回と同じ「青春月諌」。爽やかな語呂の通り、いつも好天になる印象があります。
 
一方、今回私が太夫として出場させていただいた北町組青海山が演じた「神霊矢口渡」が掛かる年は雨が降る、というジンクスもありまして、昨年およびその前の2006年も雨。これは長浜に限らず米原では2019年、垂井でも2012年がひどい荒天だったことを思い出します。
 
実はこの時の垂井祭でも神霊矢口渡の太夫を勤めたのですが、初日が大雨のため最終日と日程が交代。何とこの日は6回公演でそれが全て稽古場で行われ、しかも晴天時と同様時間厳守で、夜は舞台に提灯まで掲げる徹底ぶり。外部の見物客はなくまさに地獄。そのせいか垂井では目下この芝居を上演するのはご法度になっているとか。
 
矢口が掛かると雨が降るというのは「舟町の出番は雨が降る」と同様、舞台が渡し守の住家であり、主役の娘がお舟と水に関わることと雨とが結びつけられたからかもしれません。新田義峯というプレイボーイに一目ぼれしてしまったおぼこ娘のお舟。結局はふられて悲劇の結末を迎えるわけですが…。ま、今年の祭はふられませんで、目出度し、目出度しと。

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