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【名盤伝説】 ”Grover Washington Jr. / Winelight” ニューヨークの香りが醸し出す極上のフュージョン・アルバム。
MASTER PIECE USニューヨーク出身のサックス奏者グローヴァー・ワシントン Jrのメジャー出世作『ワインライト』(1980)です。
名門ジャズレーベルCTIレコードのプロデューサー氏に見出されたグローヴァーは、1971年にアルバムデビュー。ファンク色の強いジャズ系アルバムを次々とリリースしていきます。その後レーベルを移籍して1980年にリリースしたのがこのアルバムです。
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時代はフュージョン・サウンド全盛期、グローヴァーもその流れで、分かりやすいメロディに印象的なソロパートを聴かせる作品に仕上げていきます。
プロデューサーはラルフ・マクドナルド。ハーレム出身の彼はエモーショナルでソウルフルなパーカッション奏者としても有名で、この作品でも、ここぞというタイミングで効果的な音を聞かせてくれます。
そして主な参加ミュージシャンは、マーカス・ミラー(Bs)、スティーヴ・ガッド(Drs)、エリック・ゲイル(G)・・・当時のNYオールスターズです。
収録曲
M1 Winelight
M2 Let It Flow (For Dr.J)
M3 In the Name of Love
M4 Take Me There
M5 Just the Two of Us
M6 Make Me A Memory (Sad Samba)
いきなりいなたいリズムパターンで聴かせてくれM1。もうこれだけでナイトバーの雰囲気満載です。エリックのリズムギターがそのままスタッフのM3。曲後半のマーカスの跳ねるベースラインとガッドやラルフのリズム隊同士の競演が楽しいM4。そしてゲストボーカルのビル・ウィザースとの競作M5。この曲、個人的にはガッドのキック(バスドラムのことです)に耳を奪われてます(笑)。そしてラフルのパーカッションが聴きどころのM6。全編に渡って、まさに至福の時間を過ごすことができます。
M5「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス (邦題: クリスタルの恋人たち)」は、当時のAORブームに乗って日本では大ヒットとなります。確かにジャージーでお洒落な(笑)歌物は、AORファンにも喜ばれるとは思いますが、だからといってグローヴァー本人やこのアルバムをAORとしてカテゴライズするのは、いかがなものでしょうか。
こんな極上のフュージョン・アルバムをAORと呼んではいけませんよ。おじさんはそう思います。
続く彼の『Come Morning』(1981)、『The Best is Yet to Come』(1982)も、とても良いフュージョン・アルバムです。機会があれば、本作と合わせて是非聞いてみてください。