目指すは大きな玉ねぎではなく東京ドーム
爆風スランプの歌で『大きな玉ねぎの下で』という曲がある。
ちなみに、このYou Tubeを見て『大きな玉ねぎ』と言って『日本武道館』とはわからない世代が社会人になってきているのか、、としみじみした。
それはどうでもよいが、一昔前はアーティストが目指す夢舞台は、この"日本武道館"であった。
だからこそ、この『大きな玉ねぎの下で』という曲がある。
この曲は1989年リリースらしいが、その後色々な施設が建設され、今は"ドームツアー"とか"アリーナツアー"と言われるように、日本武道館と同じか、それよりも大きな規模の施設がアーティストにとっての夢の舞台と代わっている。
新日本プロレスにおいても、一番の大舞台は日本武道館でも両国国技館でもなく東京ドームである。
新日本プロレスの東京ドームといえば『イッテンヨン』。毎年1月4日に行われる年間最大の興行だ。
ここ2年は1月5日も興行を行っているし、何年か前と今年は1月以外にも東京ドーム興行を行っているが、やはり新日本プロレスの東京ドームといえばこの1月の興行であろう。
※今年の1月じゃない東京ドーム興行はコロナの影響で現在延期中
この『イッテンヨン』のメインイベントでは、団体最高峰のベルトであるIWGPヘビー級(現在はIWGP世界ヘビー級)の選手権が必ず行われるので、「東京ドームのメインに立つこと」を目標にしているレスラーもいる。
もちろん、そこ以外でもIWGP世界ヘビー級ベルトをかけたタイトルマッチはしょっちゅうあちらこちらの会場で行われているのだが、"東京ドームのメインイベントで闘うレスラー"というところに、ベルトプラスアルファの価値がある。
年間最大の興行のメインに出るとはつまり、「下手な試合をしてはいけない」ということであり、盛り上がり必須の闘いを作ることを任された、ということである。
そんな新日本プロレスの中ではスペシャルな場所である東京ドーム。
その東京ドームを絡めてこんなツイートが、先日棚橋弘至選手からツイートされた。
この飯伏選手と棚橋選手のやり取りが私の琴線にふれた。
新日本プロレスを全く見ていない人にとっては
「100年後とか、なにいってんだか(笑)」
としか思わないと思う。
でも新日本プロレスを見て、この棚橋選手と飯伏選手の脈々と続く関係性を知っている人にとっては、
・棚橋選手が「ドーム押さえておこう」と言ったところ
・飯伏選手が"お願い"として『💌(ラブレター)』の絵文字を使っているところ
この2点が最高に刺さっているのではないかと思う。
飯伏選手にとって棚橋選手は、ずっと「神」と崇める存在だった。なかなか越えられない高い高い壁であった。
しかし飯伏選手はその神を越えた。
2017年8月の飯伏選手の地元鹿児島での棚橋選手とのシングルマッチで勝利した。
その試合でスリーカウントを取った技は『カミゴェ(神越え)』という名前がつけられた。
そしてその飯伏選手はその『カミゴェ』で闘い続け、今度は自分が『神様』となった。
2020年のG1クライマックスで史上3人目となる2年連続優勝。そして今年のイッテンヨンで団体最高峰のIWGPヘビー級ベルトの初戴冠。
これらの偉業を成し遂げ、飯伏選手は今年の1月に『神様』となったのである。
↓2021年イッテンヨンでの神様になった宣言(3分55秒ぐらいから)
(あらためて↑の動画とか、上述した通り文字にしてみると…
"神を越える"とか"神様になった"とか、、新日本プロレス見ない人には何を言っているか「???」だろうな…)
そんな2人は今新日本プロレスの中で同じユニットに所属している。敵ではなく味方である。棚橋先輩と飯伏後輩である。なんなら『ゴールデン☆エース』と呼ばれるタッグチームを組んでいるぐらいだ。
だからこの2人が闘うことは今はほぼない。
そんな2人が100年後という未来に、東京ドームという大舞台で闘おうと約束をする。
なんとも夢があるではないか。
100年後とか全然現実的ではないのであるが、そこにストーリー性を感じる。プロレスにおけるファンタジーがある。
これが「30年後にやりましょう」とかだと、なんか想像しやすくて、老いてボロボロな2人が闘っている絵面が浮かんできて、正直あまり見たくない。。
ファンとは勝手なもので、レスラーはいつまでも今のままカッコよくいて欲しいし、今のままだと思い込んでいる。
だから、想像が及ばない100年後というのが好都合なのかと思う。
100年後、レスラーにとって夢の舞台である東京ドームで闘う棚橋弘至と飯伏幸太。
最高のファンタジーである。
そして、もうひとつの『💌(ラブレター)』マークについてだが…
ここからは私の妄想の世界を繰り広げる。
現在は恐らく飯伏選手の方がトータルの実力としては棚橋選手を越えていると思う。
しかし飯伏選手の中では棚橋選手は永遠の憧れの存在なのであろう。今もかわらず慕っているのであろう。
飯伏選手からの愛を込めた対戦のお願い。
それがこの『💌(ラブレター)』マークから感じた。
同じ部活で尊敬していて憧れているけど、ライバルとしても見ている先輩へ「勝負しましょう」と想いの丈を手紙で伝える後輩のような。
あぁ、なんて清々しい青春なんだろう。
やってるのはアラフォーの男性同士だけど。
レスラーは現実の世にいる人達だけど、ファンが都合よくファンタジーの世界の住人に出来る人達である。
今回はだいぶ自分の中のマニアックな妄想をつらつらと書いてしまった。
そんな日もあるさ。