良い闘いの鍵はリスペクト
モクスリーと永田さんのUSヘビーのタイトルマッチを観た。
※"さん"の文化は日本文化なので、以下永田さんには"さん"をつけるがモクスリーは敬称略とさせて頂く
実力ではモクスリーが上であろう。年齢も35歳(!?)で53歳の永田さんとは年齢差18歳。普通にガチで闘ったとしたらちょっと厳しい闘いになっちゃうと思う。
しかしこの闘いはプロレスでの闘いである。
とても引き込まれる試合だった。年齢差や実力差をほとんど見せないぐらいお互いかみ合っていた。だから観ている人を魅力したのではないか。
同じ対人競技である剣道は相手と気を合わせられることが重要である。それが良い勝負になる。気が合っていないとやってる本人達もフラストレーションがたまるし、観ていても見苦しい闘いに見える。
もちろん勝った負けたはあるが、相手と気を合わせられることに重きを置かれる。自分勝手に動いたり打ってはいけない。相手を見て、それに応じて自分も動く、応じる。
プロレスも同じだと感じた。
相手と気を合わせて良い勝負にしなくてはいけない。エンターテイメントの要素もあるから。観ている人を魅力するものに仕上げなくてはいけない。実力差があるからといって、片方があっと言う間に圧勝してしまっては面白くない。30分1本勝負が3分で圧勝されたらお金返してと思う。
自分勝手ではダメ、相手を引き出し、自分も持っているものを出して勝負する。剣道ならば一本取られた方も観ている人も唸らせる勝負となるし、プロレスならば観客が大興奮、感動する試合になる。
そういう闘いをするためには相手へのリスペクトが必要。リスペクトがあるから気を合わせられる。
今回のUSヘビーのタイトルマッチ、色んな裏事情はあるにせよ、モクスリーが永田さんを指名した。挑戦表明の時からそこには敬意が感じられた。
また実際の試合でも、モクスリーには終始永田さんへの敬意が見て取れた。
3カウント入った後のセコンドをすぐ呼ぶ様子は永田さんの状態に対する気遣いか。また、お辞儀、座礼といった日本式の礼節。コーナーでのアピールを促す際の手の出し方。日本人レスラーもちょっと身習ったら?と思う程、永田さんへのリスペクトが溢れていた。
更には永田さんのSNSに試合後?にモクスリーと缶ビール?で乾杯している写真が載っていたのだが…
乾杯の時に自分の缶を下げている!
体育会系か!凄いよモクスリー、私はあなたのことをリスペクトします。
そして、自分が歳を経た今思うのは、リスペクトは下の人から上の人に対するリスペクトだけではなく、上の人から下の人に対しても必要。競技をしていく中では、歳を経るとどうしても身体の機能や能力の低下によって、若い人と同じ様な動きをすることは難しくなってくる。
だから、歳を経ても絶えず鍛錬していくことが必要であり、それが若い人に対するリスペクトではないかと思う。同じ土俵で闘ってくれる相手に対するリスペクト。
対人競技ではリスペクトは本当に大切で大きいものだと、あらためて思わされた今回のタイトルマッチであった。