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大きなピンチを救ったバディ
新日本プロレスの7.25東京ドーム大会が昨日行われた。
メインイベントはIWGP世界ヘビー級のベルトをかけた、鷹木信悟選手vs飯伏幸太選手のタイトルマッチであったが、飯伏選手がずっと体調不良のためここまでの試合を欠場しており、この東京ドーム大会の出場もどうなるか当日まで発表がなかった。
東京ドーム大会という新日本プロレスでは上位のビッグマッチのメインイベントのカードが、当日まで未定というのはこれまでにはなかったらしい。でもそれぐらい、飯伏選手を出場させるさせないの判断が難しかったのであろう。
ただ、あくまでも憶測ではあるが、団体としては早い段階で飯伏選手を欠場させるつもりだったのではないだろうか。
今回飯伏選手は誤嚥性肺炎という肺炎を患ってた。発熱もしていたであろうし呼吸器系もだいぶ弱っていたはず。だから、病気は治っていたとしても、肺の機能もプロレスラー並みに回復していないであろうし、トレーニングも休んでいたであろう。
そんな選手がいきなり東京ドームで最高峰のベルトのタイトルマッチをやって、お客さんも本人たちも満足がいく試合はできないだろう。新日本プロレスのプライドとしてさすがにそうなる可能性の高い試合はGoしないと思う。
だから早々に飯伏選手の欠場を発表することはできたはずである。現に前日と前々日の試合への欠場は早々に発表されていた。
しかし、7.25だけはなかなか欠場の決定がされない。
これも想像ではあるが、、、
当日発表になった理由は、飯伏選手の気持ちを最大限考慮したこと、更には代わりに出場する選手がそれに相応しいと思わせられるだけの要素を作ろうとしたからこの様に当日発表になったのではと思う。
飯伏選手は、誰に何を言われようと出るつもりであった様子。
それは、大会当日の深夜に飯伏選手がTwitterに投稿したツイートから感じた。
このツイートは現在は削除されているが、内容としては、
”万全でないならば出場することは失礼にあたるかもしれない。しかし出場しないことは自分のモットーとしている「逃げない、負けない、諦めない、裏切らない」に反する”
といったような内容であった。
(そして、どうやらここまで飯伏選手に「つぶやくな」指示が出ていたらしい。まぁ、確かに表現が不器用な方なので、誤解を生むリスクを避けるための指示なのだとは思うが、、これも本人には相当ストレスであったであろう。。)
本人にとってこの試合は「これで終わってもいい」と言っているぐらい、相当想いを込めていた試合であった。
その辺については、以前書いた記事ご参照。
同じ年齢でデビューが同じ年の鷹木選手とのIWGP世界ヘビーのタイトルマッチ、東京ドームのメイン、オリンピックと同じ時期の開催。
(飯伏選手はかねてから「オリンピックの開会式でプロレスを見せたい」とか”オリンピック出場経験者のプロレスラー”に興味を抱くなど、オリンピックを意識していた)
これらの要素から、このタイトルマッチは『運』と『運命』が重なったと本人は言っていた。だから何が何でも出場したかったであろう。
その本人の気持ちを団体が受け取ってくれたのではないだろうか。「じゃあ、ギリギリまで待とう」と。飯伏選手の削除されたツイートや、前日の棚橋選手のバクステージでのコメント、鷹木選手の試合後のリング上でのコメントからそう思った。
もうひとつの理由の『代わりに出場となった選手が相応しいと思わせられるストーリー作り』これが時間も無いし最も難しかったのではないか。
プロレスでのタイトルマッチが組まれる時には、対戦相手同士なんらかの因縁、ストーリ―が作られていざ闘いになる。
最近は何の因縁も無くいきなりタイトルに挑戦できたり、「その因縁無理があるわー」と思うようなものもあるが。。。
ドーム大会、既に出場が決まっている選手は候補からまず除かれる。
残りの人で
「IWGP世界ヘビーの挑戦者として相応しい選手」
「鷹木選手とストーリーを作れる選手」
を探し出さなくてはいけない。
また、今回は東京ドーム大会という超ビッグマッチであるので、それにプラスアルファで求められるものとして
「東京ドームのメインイベントを務められる選手」
「ここまで期待値を高めてきた”鷹木vs飯伏”の闘いの期待値を越えられるような選手」
でなくてはいけない。
これらの要素全てを満たす人は誰だ?
団体が出した答えは”棚橋弘至”であった。
棚橋選手は言わずもがな、IWGPヘビーを何度も戴冠、防衛した選手である。また、鷹木選手との直近のシングル戦である、NEVER無差別級ベルトのタイトルマッチで鷹木選手に勝っている。(NEVERのベルトは現在はジェイ・ホワイト選手が戴冠している)
そして、棚橋選手はこれまでイッテンヨンで何度も東京ドームのメインを務めている。
これだけ揃っていれば観客の期待値も相当高められるであろう。
実際、棚橋選手が飯伏選手の代わりに出るとなった時、ネットの反応で否定的な意見はかなり少なかった。多くは納得している雰囲気であった。
棚橋選手は数日前から代わりの出場は打診されていたのではなかろうかと思う。7/22と7/23の試合後バックステージでのテンションの違いから、そうではないかと思った。
7/22試合後のバックステージコメントでは、明るく楽しそうに、今取り組んでいる自身の身体作り「100日後に仕上がる棚橋(←自身の身体作り、特に腹筋を100日間で仕上げる計画)」のことを述べている。
↓
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しかし、7/23のバックステージコメントでは、前日とは打って変わって神妙な面持ちで、コメントも自分のプロレスラーとしての立ち位置の事を語っている。
↓
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ほのぼのと「100日で仕上がる腹筋」という草原の道を歩いていたのに、急に「明後日までに仕上げろIWGP世界ヘビーへの挑戦者像」という獣道を歩くように言われた。
その獣道を歩くことを決めた覚悟が、バックステージ、リング上など至る所でのコメントやその表情に現れていたと思った。
飯伏選手の代わりに7/25メインイベントに出場することを団体から打診された。7/24のKENTA選手とのシングル戦に勝つ以上の大きなモノを背負ったのではないか。それが7/23の、慎重に、考えながら、言葉を選びながらのバクステコメントになったのではないだろうか。
「急遽やってきたこの機会をどう生かすか」
そんなことを考えていたのではないか、と後になって思う。
棚橋選手は7/24に無事にKENTA選手に勝利し、試合後のリング上で飯伏選手が出場できなくなった場合のタネをまいた。飯伏選手欠場の場合の代わりの出場に立候補した。
冒頭に述べたように、飯伏選手の欠場&棚橋選手の出場は当日発表されたので、前日のこの時点では飯伏選手がどうなるかは未定であったが、棚橋選手が立候補してくれたおかげで、少しホッとしたファンは多かったはず。メインは流れない、飯伏選手もこれで休める、棚橋選手ならばよかった、などなど。。
棚橋選手と飯伏選手は『ゴールデンエース』というタッグチームを組んでいる。いわば”相棒”であり”バディ”である。
棚橋選手が東京ドーム大会で試合が組まれていなかっただけと言えばそれだけであるが、飯伏選手がピンチになったからバディである棚橋選手が救ったという必然のめぐり合わせだったのではないか、と勝手に思っている。
それは、鷹木信悟 vs 棚橋弘至の試合がみんなの期待をはるかに上回る闘いであったから。
その試合については次の投稿で。