屏風岩 フリークライミング 敗退記
初めてブログ書きます。
なんで書くかって敗退して動画お蔵入りにするからです。というのは半分冗談でブログの方が詳細に書けると思ったから。
今回我々が山菜を採りに目指したのは屏風岩。
その壁にあるフリークライミングというルート中にどうやら行者ニンニクが生えているとの情報アリ。そりゃー行くしかないでしょとのことで10月の3連休を利用して行って来た。
【フリークライミング】
グレード的には5.11a
グレード的には特に問題ない。
それよりあの屏風岩をフリーで登れることに少しウキウキしながら横尾を目指した。
朝3:00横尾を出発。
今日は曇り。夕方あたりから雨が降る予報だ。
岩小屋分岐から真正面に見える1ルンゼに向かって梓川を渡渉する。
【第一核心終了】
クマに怯えながら1ルンゼを登って行く。
横尾から2時間くらいでT4テラスに到着した。
フリークライミングの取り付きに到着する頃には明るくなって来た。
今日の夜にはテント場で行者ニンニクを片手に乾杯なんて考えれると
なんだかやる気がみなぎってきた。
1p目は5.10a 30m リード相方
左上して直ぐの苔むしたクラックを繋いで、フェースを少しばかり登る。 通常ハングを越えたところでピッチを切るが、どうやらハング直下でピッチをきったらしい。
僕はフォローで登る。特に難しくはない。
2p目 ハングはブッシュが少し生い茂ったハング奥から登る。
ガバが2手程続き楽しく乗っこす。
そのまま噂のバンドとなる。
噂どうりに滑りそうなトラバースをこなす。
バンドが詰まるところに弱点の様なクラックと言うよりリスがある。
「あそこから登るんやろなぁ。」
このバンドに行者ニンニク生えてそうやな。
行者ニンニクを気にしながらトラバースする。
気づいたらノープロでバンドの終了点まで来てしまっていた。
おっとまずい。流石に何かプロテクションをとらなければ。
とりあえずマイクロナッツを怪しげなフレークにぶっ込む。
「ワイヤーが切れるより岩が吹っ飛ぶ感じのタイプやな。」
真上にはリングボルトが2つ。
その上に終了点が見える。
リングボルトの左手にやはりクラックとは呼べないリスがある。
「んー。上の方は行けそうだが離陸がやけに悪そう。少し薄かぶりだし」
と思いつつ少し触ってみる。
「ヤバないこれ」
これ登るんか。
バンドに着地した私は、他に登れそうなラインを見渡す。さらに左はただの壁。本能的に違うと思い選択肢から外す。
リングボルトよりさらに右は、垂壁寄りのスラブ。そこにはガバが2手
その上にもガバのようなものが見える。
「悪そうだが上のガバを掴めば行けそうだ」
もちろんここは正規のルートでは無いだろうということはこの時点で薄々把握していた。
取り敢えず登ってみる。
バンドの終わりから空中に身を投げだすトラバースから始まる。
ガバ2手を両手でそれぞれ持ち、上を見る。
上のガバを掴むには今持っているガバに足を置かなければならない。
ガバからガバの中間はブランクセクションの様に保持れそうなホールドは見当たらない。
「ヤバい難!」
頑張ってバンドまで戻る。
「フゥ コレハアカン」
と思いさびれまくったRcc ボルトにクリップ
セルフをとる。
ここでオンサイトは消え去った。
更に
マイクロナッツの少し下の凹にキャメ2番を決める。肩歯しか決まってない。
両方とも心許ないので流動分散にする。
先ほどのボルト左のリスをもう一度確認する。
んーやっぱり怖い。薄かぶりなので無理に突っ込めない。
なら、やはりスラブフェースからジリジリ登った方が安心できる。
もう一度トラバースをしてガバを両手で持つ。
左手側にサイド凸がある。親指しかかからないので無理やり押さえつけてジリジリマントルを返してガバに乗り込む。
この瞬間もう後にも引けなくなった。
「あのプアプロ 落ちたらまず止まらんゾ」
そう言いきかす。
上を見上げる。
上のガバは全然届かない!!
「オーマイガー」
と同時に親指がヌメッてきた。
取り敢えず、くの字見たいな大勢になってるので、
体制を安定させたい。
足を入れ替えを試みる。
親指を横に押し付けてるだけなので
今にも落ちそう。
「落ちたら死ぬぞ」と言い聞かせる。
絶妙なバランスを維持して足を入れ替えた。
が
入れ替えた右足がフラットじゃ無い。踵が上がっている。
「ここでモジモジ足を移していたら多分バランスを崩して落ちる」
と思いムーブを続行する。
左足を外形したホールドに置いた瞬間
「ボリッ」
岩がそう音を立て
ホールドから足が外れる。
「うわぁっ」
【フォール】
2秒後
僕はバンドの4.5m下で止まっていた。
多分7.8mは落ちた。
率直に
「マジかアレで止まるのか」
と思った。
相方に問題ないことを伝える。
上を見上げるとブッシュ混じりの鬱蒼とした屏風岩と厚い雲に覆われた空が私を気持ちを萎縮させる。
このまま
登り返してtopまで行くにはリスクが大きい。
そして刻々と時が経つにつれ登る自信を失っていく。
1分程ぼーっとしながら色々考える。
取り敢えず
この場所でぶら下がってるのも良くないのでと思い登り返の準備をしようと足を少し上げると
ズキッ
右足が痛む。
この瞬間、僕の中から続行の選択肢は一瞬にして消え去る。
少し安堵感を抱きつつ
マイクロトラクションを使って登り返す。
バンドまでたどり着く。
怖い思いをしてトラバースしたバンドを、
また怖い思いをして戻る。足が痛いのでいつもの様に動けず滑り落ちそうになる。
1p目のハング越えた終了点に捨て縄で支点を作り直す。
懸垂して取り付きに呆気なく降り立った。
虚無感に襲われる。
T4テラスを目指す。
まだ10時30分くらい
T4テラスに着く
色々な思いが巡ってくる。
そもそももっと手前のバンド登るべきだったのか。
あそこで足が滑ってなかったら。
あのリスから思い切って登った方が簡単だったんではないか。
崩壊したのかな。
そうあって欲しい。
だから登れなかった
(そんなクソみたいな思考が沸々と湧いてくる)
(いや自分がただ弱いだけか)
どんよりとした空は私の心をさらに冷たく重くさせる。
モヤモヤするし眠気に襲われたのでT4で少し寝る。
15分程で目が覚めた。
ここに居てもしゃーないので降りる。
私はびっこを引きながら
「あー。なんかデジャブやな。」6月にも左足に落石がぶつかり、びっこ引きながら下山した記憶が蘇る。
まぁあの時よりは大分軽症。何はともあれ、死ななくてよかった。降りたら今回のプチイベントのホットドック作りが待っているし!
1ルンゼを降りるころには大分スッキリした気持ちに戻っていた。
横尾で少しゆっくりして明日は雨予報だったので頑張って小梨平まで歩く。小梨までつくとポツポツだった雨が本降りに変わる。
いやぁここまで来てよかった。
速攻でテントを立てホットドックを作る。
行者ニンニクをトッピングできなかったので相方お手製のザワークラウトをトッピング。
うん!
間違いなくこっちの方が美味しい!!!
めちゃくちゃ美味しいいぃ!!
追加でカレーとココアも飲み、ホットした気持ちで眠りについた。
朝はのんびり帰宅した。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?