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発熱にまつわるあれこれ

■「発熱」とは?

医学的には体温37.5度以上を発熱と言います。
※ 体温には個人差がありますので、37.4度以下でも発熱と考えられる場合もあります。

体温は、
年齢によっても、
時刻によっても、
測り方によっても、
個人によっても違います。

一般に、年齢が低いほど体温は高く、
平熱は朝低く午後から高くなります。
わきの下か耳の中か、
水銀体温計か電子体温計かによっても異なりますし、個人差も大きいので、日頃からお子さんの平熱を知っておくことは大事です。

■「発熱」は体に悪いものなのか?

発熱の原因の一つである「感染症」に対しては、発熱することによって免疫系を活性化させ、感染の原因微生物(病原体)の増殖をおさえるための正常な反応と言われています。

発熱について

人間の体温は脳の視床下部にある体温調節中枢によって維持・調節されています。
発熱のおこる原因は主に次の3つがあります。
1.外因性発熱物質の関与
細菌・ウイルスなどの病原微生物、腫瘍、抗原抗体反応などを外因性発熱物質といいます。
外因性発熱物質は白血球に食べられると、白血球は活性化されて内因性発熱物質を産生します。
内因性発熱物質は視床下部の体温調節中枢に作用して体温を上昇させます。
これは内因性発熱物質がプロスタグランジンE(PGE)の合成を促進することでなされます。
解熱剤はこのPGE合成を抑制することで解熱させます。

2.熱放散の障害
高温多湿の環境下(熱射病)などでは熱の放散が抑えられ体温は上昇します。

3.中枢性発熱
体温調節中枢に病変が及ぶために起こる発熱で、脳腫瘍や脳炎などがあります。

日常みられる発熱は前記のうちの1で、
その中でも病原微生物によるものがほとんどです。
この場合、体温調節中枢は前記3のように体温を調節できなくなったのではなく、
わざと体温を高めに設定しているのだと
考えられています。
発熱は生体防御機構の一つで、白血球の働きを高めます。

一方、発熱は食欲不振・睡眠障害・不安などで体力を消耗させます。
ですから解熱剤の使用は、これらの症状の改善という目的を持って行うべきですし、
通常は使用することはナンセンスです。

また発熱はかなりの体力を消耗させるので、十分な休養と睡眠をとることが大切です。
悪寒戦慄は体温調節中枢が設定している高い体温との格差が大きいために、骨格筋がふるえて熱を産生している状態です。
こんな時は毛布などで保温に努めて下さい。

■ 熱が出るのは良いことなのです

• 熱は自分の体が病気に気づいたサインです (特に小さいお子さんほど高熱がでます)

• 熱は自分の体の中の戦士である白血球や酵素を たくさん作らせ抵抗力を上げます。

• 熱は体がウイルスや、ばい菌をやっつける ための蛋白質(酵素など)の働きを活発にします。

• 熱はウイルスや、ばい菌の居心地を悪くします。

つまり、理にかなった正しい生体反応なのです!

FeverandAntipyretic UseinChildren, Pediatrics(2011)


■ 解熱剤を使うことによるデメリット

• 本来の病気の重症度が分からなくなる

• 熱をさげても原疾患の治癒には全く役立たない

• むしろなおりにくくなることがある

• 頻回使用により(副作用)肝障害が起きる

• 医療化(熱自体は病気なのか?)の問題

• 熱恐怖症が悪化する(本人以外の安心のため?)

• 院内感染が増える(医療機関受診回数が増える)

• 検査・診察・投薬・・・医療費がかかる(ダイレクトに国民の経済的な負担になる)

■ 熱は出ていても大丈夫ですか?

• 熱が高いことと病気の重さは関係ありません。

• 熱だけで脳に異常がくることはまれです。

(42°C以上は問題あり、脱水・環境・神経症状な どの合併症がなければ問題なしです)

• 熱性のけいれんは病気ではありません。

• 発熱後24時間は出来る限り解熱剤を使用せずに、薬以外で苦痛をやわらげる、他の方法を試しま しょう。

FeverandAntipyretic UseinChildren, Pediatrics(2011)

■ 諸外国のイマドキのおくすり事情

• 風邪症候群に対して、2才以下の咳止め入り 風邪薬は使用を中止、6歳以下でも原則として使用しないよう警告しています。

• 痰(たん)の出ている子に対しては原則的に 咳止めを使いません。

• 痰切り薬の製造、輸入を廃止した国もあります。

• 咳止め薬を眠り薬として使用してはならないと明記されるようになりました。

日本でも、数年のうちに、咳止めがあまり 使われなくなる日がくるといいですね。

■ 世界中で売られている薬の約3割を日本人が消費していることをご存知ですか?

• そのほとんどの薬は海外の製薬会社が製造していることをご存知ですか?
(しかも!医薬部外品である薬も、
日本では高い薬程よく売れる)

• すべての薬に副作用があることをご存知ですか?
(補足/"副作用"などというものは存在しません。全て作用です)

• こどもの風邪薬やある種の咳止めを服用すると寿命が 短くなった、という統計が出ていることをご存知ですか?