どこかで会社員をしているらしい
肩書きが分からないSNS上の人のことをインフルエンサーと呼んでいる。この定義に当てはめるとインフルエンサーだけど、もっと柔らかい言葉で呼びたい人がいる。数年前までtwitterで140字SSを書いていた人で、発信頻度は減ったが今もたまに写真やブログをアップしている。私は彼女の顔も肩書きも知らない。綺麗な手と髪と後ろ姿と、澄んだ文章が好きで、好きなままもう5年は経った。
今日、久しぶりにブログが更新された。プライベートを明かさない彼女のぼやかしにぼやかした生活の話だった。転職を考えていたけれど、昇進で引き留められたらしい。
彼女は都会のやけに静かなところにいる人だと思っていた。イメージしたのはきれいな海が近く、朝には霧がかかる架空の東京。人がたくさん生きている街の、喧噪の隙間にある静かな空間。そこで好きなもの、綺麗なものを大切にするような生き方をしているような気がしていた。
彼女は本当は、上司がいて、転職があって、昇進があって、そんな生々しい世界にいるらしい。幻滅した?いや、むしろ勇気が出た。どこにいても、どんな仕事についていても、彼女のように生きられる。
実はいま、就職活動の真っ最中。夢の仕事は受け入れている人数がとても少なくて、もうそろそろ諦めた方がいい季節。ねえ、どこに行っても私は輝けますか。あなたみたいに。