棋譜の振り返り(8/10-8/18)
定期的な振り返り回です。序中盤はそれぞれの記事で書いているので、中終盤をメインに書きます。
①相穴熊
⇩棋譜
仕掛けの成否
端から行くのが上等手段で、戦機を捉えました。△同歩▲同香△8六歩にどのように対応するかが本局の分かれ目でした。
最善のルートは▲9一香成△8七歩成▲9五角△9四飛▲9六歩△9一飛▲7四歩(下図)と突く手順。
本譜は▲8六飛から捌きましたが、香車に逃げられてしまいました。このあたりの対応はパターン化して覚えてしまってよさそうですね。
寄せに問題あり
本譜は▲4一角と打ちましたが、当然△2二玉と上がられて寄りません。ここでは代えて▲4二角が良い手でした。時間が5分以上残っていただけに見えなかったのは残念です。
最近はこういった決め手を逃して負ける展開が多く、課題になっています。
②5筋位取り中飛車
先手は2筋を伸ばさず5筋へ転換してきました。3筋転換に対応して5筋へ回るのはよくある指し方ですが、単に5筋へ回るのはかなり珍しいです。
またこうなるのであれば相中飛車にも通じる所があります。そういう意味では前回記事が参考になるでしょう。
⇩参考記事
5筋の折衝
こういった形では△5五歩を打たない方が良いです。打ってしまうとそれを目標に攻められてしまいます。
ということでどう手待ちをするかが課題です。△3三角や△8四歩も考えましたが、さすがに△7三桂の方が価値が高そうです。以下▲4五金に△6五歩と突きましたが、ここでは△5五歩(下図)もあったようです。
角が3三ではないのでこういった手が成立しています。仮に3三に角がいると▲4五桂が激痛になります。
寄せに改善点あり
この局面では△6六歩▲同銀△6七歩▲同玉△4九角が最短の寄せでした。ただ10切れということを考えれば△3七飛成も悪いわけではありません。強いて言うならというところでしょう。
受けに回ったのは好判断
後手からは△5五桂~△6七歩という確実な攻めがあるので、トン死だけを気にしていれば良い状況です。本譜のように△5二銀~△6三金を入れたことで当分は詰みを気にしなくてよくなりました。
10切れでは自玉の詰みを考えなくて良い状況は大事です。そういう意味で良い勝負術だったと思います。
③超速2枚銀VS穴熊
⇩棋譜
仕掛けで後手良し
先手から▲1六歩を省略して▲3七桂を跳ねるのが定石とされていますが、この筋は後手がかなり暴れることができるので先手にとって難度が高いと考えています。
1歩が交換できれば先手のコンセプトが崩壊するので▲5五歩と打つしかなく、そうなると本譜の変化は必然です。
飛車への対処
飛車の打ち込みへどのように対処するかが問題でした。上図では△3一金と寄るか、本譜のように△3一歩で受けるかという2択でした。
△3一金には▲5二金△7二金▲2三飛成とされた時に足掛かりが残ってしまうのが気になりました。ソフト曰くその隙に攻め切る順があり、それで後手勝ちだったようなのですが、それが見えていない中ではまずまずの対応だったかと思います。
後手最速の寄せは?
△7九馬をうっかりしていました。ここは持ち時間も6分以上残っていたのでしっかりと使うべきでした。
④VS初手7八飛戦法
⇩棋譜
龍を引かれれば難しかった
上図では冷静に見ると▲8九飛成とされて手がわかりません。ひとまず△7五銀▲同歩に△8二歩と打って▲8二歩を消しておくのでしょうが、▲同龍とされても飛車を打てるわけではありませんし、△8三飛とごまかしにいくくらいでしょうか。いずれにせよ後手の方針が難しく、先手ペースの進行になっていたでしょう。
2枚飛車は微妙だった
ここで△8四角と打つのは有力でした。ただし▲6六歩と止められた時に継続手があるか。△6五桂と打ってどこまで攻めがつながるか、というところですが、こちらの方がよかったかもしれません。△6五桂▲7九金打△5七桂成▲8九金△4八銀の進行は後手が勝ちそうです。本譜のようにどうせ飛車を渡すのであればこちらの方が切れない攻めになっています。
好手△4二金
先手が受けに駒を使ったので後手から攻めていくのはリスキーです。特に飛車を渡すと一気に逆転する可能性があります。
その点で△4二金が好手でした。これで▲4一角成と切られる筋を回避し、△5七桂からの寄せを確実にしています。先手玉へ早い寄せが無いと見切った良い判断だったと思います。