昭和歌謡曲名詞集『青春はね 心のあざ』
『タッチ』岩崎良美
1985年3月リリース
作曲 芹澤廣明 作詞 康珍化
言わずと知れた、超有名アニソンである。
イントロだけでみなみちゃんの顔が思い浮かぶ、という方も多いはずだ。
一度聞いたら耳に残る楽曲。
80年代邦楽は名曲ばかりだが、知名度としてはトップクラスであろう。
しかし、原作、アニメともに『タッチ』という作品が名作であるがゆえに、この主題歌の歌詞のディテールが掘り下げられていないような気がするのは、私だけだろうか…
特にグッとくるナイスな名歌詞について語らせてほしい。
青春はね 心のあざ
うぅむ。
あらゆるジャンルの表現者たちが表現しきれず悩みまくるアオハルを、こんなワンフレーズに凝縮なさるとは。
エモに尽きます。
あざ、という表現が憎いですよね。
それを見るたびに蘇る思い出。
傷、ではないんですよね。
「痣」なの。
そしてそれは綺麗なだけの感情に終わるものじゃなくて、なんとなしに切なさが付きまとう。
綺麗で楽しい出来事もたくさんあって、でもそればかりでは乗り切れないのが青春。
人に言いたくない黒歴史も、大恥かいて顔面が燃えそうなほど赤面した失敗も、信じていたものが一瞬で崩れ落ちてしまう絶望感も、みな青春。
そりゃあざになりますよ。
消えずに残るし、一緒に生きていくもの。
心にあざがない人なんて、きっといない。
愛さなければ 淋しさなんて
知らずに過ぎて行くのに
恋愛の核心をついている…
もともと持ちえなかった淋しさが、恋愛感情が生まれると同時にくっついてくるわけだ。
自分の中に生まれた愛なるものが、自分では手に負えなくなる。
一緒にその負担を相手に背負ってほしいと思い始めて、あれこれ求めてみては肩透かしをくらい、『淋しい』と感じてしまうわけで。
知らなければ苦も無く過ごせていたのに、好きになっちゃったばっかりに、勝手に苦しんでしまうわけですね。
高校生が主人公の野球青春ドラマであるタッチですが、主題歌はなかなかに背伸びした歌詞だったんですね。
おわりに
今日は岩崎良美さん、『タッチ』の歌詞の胸ズキュンだった点を語らせていただきました。
長々と読んでいただき、ありがとうございました。