12月14日 (土) カフェ とライブ
去年は一瞬で売り切れて行けずじまいだった藤井風くんのライブ．
今年は遠い席ながら息子と2人分のチケットが取れた．息子も日本人のアーティストの中ではいちばん好きだと言うから もし行くなら2人で行きたかったのだ．
ライブの詳細についてはおそらく多くの人があちこちで書いているだろうから、私は少し別のことを綴ろうと思う．
だから ライブレポートを読みたい、という人にはおすすめ出来ない．
その日の出来ごとを書いた これはあくまで日記だ．
朝10時過ぎ KTXでソウルへ向かう．
龍山駅から地下鉄で麻浦のホテルにキャリーケースを預け 近くのスープ店で息子と昼食を摂る．30分ほど待った．
この日は晴れ渡った しかし身を切るような風が吹く寒い日で あたたかいものを欲した．韓国の汁物料理も好きだけれど いつでも食べられるから洋風スープを食べたかった．
体があたたまり ホンデへ移動して息子と別れてそれぞれ行動する．
買い物するほどの時間はなかったけれど コーヒーだけは飲みたいので(朝と午後に必ずコーヒーを飲むのが習慣である) カフェだけ行くことにした．
コーヒー豆がおいしい이미커피(IMI COFEE)に行ってみるもなんと10組待ち、あきらめてもう少し歩いたところにある아이덴티티커피랩(Identity coffee lab)に行くと こちらは2組待ち．
2組ならすぐだろうと待つことにした．
少し経って 女性店員さんが相席になるけどそれでもよければ今坐れると声を掛けてくれた．
前にいたのは男性3人． 4人テーブルに3人組と私ひとりはさすがに居心地が悪いと思ったが、 2人組と1人だったので それならと席に荷物を置き オーツミルクラテとビスコッティを注文．
2人組の男性は別の席が空きそちらへ移ったので 四角い黒のセルフレームのめがねをかけた30代前半くらいの男性と4人テーブルで2人だけ向かい合う格好になった．
店員が気を遣って 隣の席(男性と対角線になるほう)に坐ってもいいと云ってくれたけれど 2人組の客が入ってきたところで 他に彼女たちの席がなさそうだったのでそのままその席にいることにした．
本かiPadを持ってこればよかった、手持ち無沙汰だし あまりカフェに来てスマホばかり見たくない．
向かいの男性はどことなく愉しげに見え おだやかな表情でスマホを見続けている．
英語で案内されていたから韓国のひとではないけれど さて日本人か、中国人かとスマホを見たり 景色に目をやりながら何となく考える．
髪型やめがねのデザインから どちらかというと中国の方ではないかという気がした．
出てきたラテをひとくち飲んで おいしさに手が止まった．
コーヒー豆が2種類から選べ、ダークローストの方を選んだのだけど 家でも飲みたくて豆も買うことにする．
ふいに向かいの男性が席を離れて陳列棚を見始め 椅子の上の荷物が目に留まった． バッグにシリコンで出来たキーリングのようなものが付けてある．
青い文字で“Feeling Good”と書いてあるのが読み取れて 心の中で あっと叫ぶ．
この男性も風ファンだ… 彼もまた ライブに行く前にこのカフェに寄ったに違いない．
これはぜひお話ししたいという気持ちが芽生える．私もファンだと伝えたい．
しかし中国の方だったら コミュニケーションはどうするんだと思いながらも一か八か拙い英語力を引っ張り出して 日本の方ですか？と話しかけてみると 彼はにこやかにI’m Chineseと答えた．
やっぱりそうでしたか さてどう話を続けるのよと一瞬思ったが 彼は「でも日本語も話せます」という． なんと 英語も出来て日本語も分かるとは． 思わず すごい、と口にしてしまう．
しどろもどろになりながらキーリングを指して 風くんお好きなんですね、 私も好きでコンサートに行くのです、と話したら 日本から来たのか訊かれ 韓国に住んでいるなどと答えた．
そして自慢げにウィンディくん人形をバッグから出して見せてくれた．
うわあ いいですねえ！
(ほしいやつ…！羨ましい！)
さらに彼は 上海に住んでおり、風くんのコンサートには上海で2回、どこかで(周囲の音で聞き取れず) 1回、今回で4回目だと話してくれた．だいぶ強火の男性ファン．
自分は1人で来た、あなたもお一人ですかと訊かれ、いいえ息子と一緒です．と答えた．
風くんのどんなところが好きなのかとか訊きたいことはあったけれど、 きっとそろそろ会場に行くだろうしあまり引き留めてもよくない．
何か気の利いた別れ際の言葉を云いたかったけれど とっさに思い浮かばず トイレに行ってるうちにいつのまにか彼は店を出ていた．
後で落ち着いて考えると Have a good timeくらい云えたらよかった．
私も店を出て 足早にホンデ入り口交差点へ行き 息子と待ち合わせる．
ドームに着いて 席から全体を見渡す．
たしか1万5千人ほどだったと思う このどこかで 彼もまた風くんのライブを愉しむのだろう．
さすがにこの広さとひとの多さで 偶然に出会うはずもない．
ライブは想像以上のすばらしさだった．
本当に藤井風のライブに来たんだ、やっと実感が湧いた．
一気に盛り上がった3曲目 感極まって涙が止まらなくなった．声をあげ号泣した．
声を出して泣いても 音響も相当大きいので後ろの席の人にも聞こえない．
息子はずっと持参した双眼鏡でステージを見ていた． 顔がはっきり見える、しわまで見えるよ、とのこと．
小学生のときに野鳥や星を見たいと言って買ってあげたものだけど 今回のコンサートでいちばん活躍した．
混雑のなか バスでホテルに戻り コンビニで安いワインを買って余韻に浸った．
すごく快適でした