リフレイン
もう夏を越えられそうにない。
もう夏に耐えられそうにない。
もう夏が来ないでほしい。
そう思った夏を何度も通り過ぎて今にいる。
大学の2年生、二十歳の誕生日を絶望と共に迎えたのは九月の初めだった。
後に双極性障害と診断されるほんの少し前のこと。
以来心の彷徨うあの日々を夏の到来と共に再体験する。
繰り返し。繰り返し。
それから徐々に大丈夫だった夏で記憶を薄めていく。
繰り返し。繰り返し。
あの夏から11年。
白の絵の具に黒色の一滴はなかなか元には戻らない。
あと少し。その手を引き寄せて抱き留めていたい。
何度だって訪れる。
いつだってそこにいる。
そうしてまた救いにいく。
過去は何度だって助けられる。
そのために今ここにいるんだね。
もう少し。自分への信頼を取り戻しに行く。
何度だって迎えに行く。
繰り返し。繰り返し。