器の底 高台




また何もできなかった一日が終える。


変わらない天井を見つめる。


他には何もできない。


この日常にはできないしかない。


身動きをとることも。


起き上がることも。


目を瞑ることも。


眠ることも。


未だ。



深く深く沈み込む。


ここは深い海。


水底に背が触れる。


遠くには水面が揺れる。


こんなにも落ちて来たことを知る。


何も音はしない。心の壊れる音は聴いた。


このままでは。



ここには変わらない自分しかいない。


またこうして朝を迎える。


日が昇った後、人々が動き出す頃、気絶するように寝に就く。


そうして夕方に目を覚まし、またなにもできずに一日が終える。



大学を休学しても人生を休めない。


自分に休むことを許可できない。


自分が自分を許せない。


あらゆる感情を流せない。


あらゆる記憶を押し留める。


他に何も無い部屋で独りパニックに陥る。



暗い話ではない。


そういう私がいたというだけだ。


いつでも見ている。


いつもそこにいる。


この時間が未来を形作る。


その起点にいる。


その確信だけで生きている。













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