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Photo by
shienkotonoha
《詩》 夢の柩
毎晩布団のなかで
懐中電灯の光をあてながら
万華鏡を覗いていた
眠りはいつまでも訪れず
変わり続ける模様を眺めていた
ある朝万華鏡の蓋が割れて
白いシーツの上に
ビーズやセロファンの破片が散らばっていた
絵本の中身がこぼれ出てしまったかのように
夢が壊れていた
小さなきらめきをすべて拾い上げ
勉強机の上から三番目の抽斗にしまった
壊れても捨てられない夢は
全部そこにしまっていた
ビードロも
砂時計も
コサージュも
ほつれてしまったレースのハンカチも
引き伸ばして絡まって戻せなくなったカセットテープも
約束を破られて観られなかった映画のチケットも
書ききることのできなかった小説も
全部
背が伸びるのが嫌だった
ずっと小さいままでいたかった
わたしが壊れたときに
あの抽斗のなかに入れるように
バラバラになったわたしは
捨てられない夢だろうか
誰の