セーラー服と一晩中

町の学園祭の準備が進む中、主人公の晴人はクラス委員を任されていた。彼はクラスメイトたちとともに、楽しい学園祭を作り上げるために忙しく動き回っていた。

そんなある日の夕方、学園祭当日の最終打ち合わせが行われることになった。会議が終わると、晴人はひと息つくために屋上に足を運んだ。風が心地よく吹き抜け、空はオレンジ色に染まっていた。

屋上でぼんやりと過ごしていると、ふと彼の目に飛び込んできたのは、一人の少女が窓辺に立っている姿だった。彼女はセーラー服を着ており、彼のクラスメイトの一人だった。

「あ、晴人くんですね。こんな時間に屋上に来るなんて珍しいわ」

彼女の名前は美羽(みう)といい、彼とはふだんあまり話すことのない存在だった。美羽は晴人の隣に寄ってきた。

「お疲れ様。学園祭まであと少しで、忙しいよね」

美羽の言葉に晴人は微笑み返す。美羽もまたクラス委員として学園祭の準備に携わっていた。

「でも、こんな時間に屋上で一人で過ごしていると、なんだか心が落ち着くんだ」

美羽の優しい笑顔に、晴人は何か特別な感じを覚えた。そして彼は思わず尋ねた。

「美羽、学園祭は終わった後、何かしたいことってあるの?」

美羽はほんのりと顔を赤らめ、少し恥ずかしそうに答えた。

「え、そ、それは……。実は、もし良かったら……一晩中、星を見上げたいなって思ってたの」

その一言に晴人の心にぽっかりと穴が開いたような気がした。彼は美羽の気持ちに共感し、同時に自分の心にも気付かされたのだ。

学園祭の成功を祝う宴のようなイベントが待っている中で、美羽が一晩中、星を見上げたいと望んでいること。それは、晴人にとっても大切な願いだった。

「じゃあ、学園祭が終わったら、星を見に行こう。一晩中、一緒にいよう」

美羽の目が輝き、晴人は気づいた。自分が本当に求めていたのは、ただ目立ちたいとか、モテることではなく、心の中で大切に思う誰かと一緒に過ごす幸せな時間だったのだ。

学園祭が終わり、美羽と晴人は一緒に星空を見上げた。長い一晩が過ぎ、夜明け前の静けさに包まれたとき、ふと美羽がそっと手を取った。

「ありがとう、晴人くん。一晩中、一緒にいてくれて」

晴人は彼女の手を握り返し、心の中で感謝の気持ちを伝えた。そこには、二人だけの大切な時間があり、それが彼にとって一番輝く瞬間だったのだった。

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