通学路の思い出
昨日からの雪で東京でも雪が積もった。
今日は弱い雨で、雪と雨で路面がぐちゃぐちゃだ。
それでも植え込みや屋根などには、まだ雪がきれいに積もったままのところがたくさんあって、思わず踏みしめたいと思ってしまう。
そんな街並みを見ながらザクザク歩いていると、子供の頃の通学路を思い出す。下校時にシロツメクサを夢中で摘んで、そこにお弁当箱を置き忘れて家に帰り、母に怒られ、泣きながらお弁当箱を取りに戻ったな、とか、地面に映った屋根や構造物の影に沿って帰る、というミッションを自分に課して歩いたな、とか。小学生なら大体こんなことをしながらのらりくらりと家に帰ってくるだろう。
そんな思い出の中で、もう二度とやらないと当時思ったことがひとつある。
それは飛び蹴りだ。飛び蹴りとは、両足を揃えて高く飛び、空中で相手をキックするあれだ。戦隊モノを見て憧れていたのだろう。いつかやりたいと心に秘め、ついにその日は突然やってきた。確か小学校1年生だったと思う。
長い塀が続くまっすぐな道があり、そこがまたつまらない道で。でもその日突然ひらめいた。そうだ、飛び蹴りしよ、って。
ランドセルを背負ったまま、真横に飛んで両足で壁をキック!
そこまでは想像していた通り。でも着地のことまでは考えていなかった。戦隊モノではキックしたあと、難なく地面に着地して仁王立ちする。
私はというと、なんとか奇跡的に着地に成功し、二本の足で立つことができた。だが、その時の恐怖とバクバク感は半端なかった。私の運動神経を考えたら、立って着地したことは奇跡だった。重力を考えたら、体を真横にしたまま地面に衝突してもおかしくないし、実際、衝突する!という恐怖でバクバクが止まらなかった。
それ以来、一度も飛び蹴りはしていないし、二度としないと誓った。でもあのときの帰り道に試していてよかった。大人になってやっていたら、大怪我だっただろう。小学生の帰り道は、貴重な人生経験だ。