血管浮腫の鑑別と対応

高齢男性, 数年前に喉頭浮腫を契機に, 度々腸管浮腫や下肢浮腫などを繰り返していた. 
1年前より頻度が増悪したため, 精査目的に紹介となったのだが・・・
あらゆる可能な検査は行ったものの, 全く原因が掴めない.
 C1-INHやM蛋白, 自己抗体, 好酸球関連… など全て正常

今も下肢の浮腫や腸管浮腫などを繰り返しており, その度に入退院.
ステロイドや他の薬剤への効きも不十分. 

そもそも血管浮腫ってどう考えたらいいの!? 

血管浮腫

・血管浮腫は血管透過性の亢進により生じる浮腫.
 じん麻疹としばしば併発する.
・血管浮腫のみ出現する場合, その原因や機序, 治療反応性などは患者により様々であり, しばしば原因の究明や対応に苦心することが多い.

血管浮腫の分類(旧分類: 忘れても良いです)

これは自分が研修医の時に勉強した血管浮腫の分類方法.

(Pol Arch Med Wewn. 2016; 126 (1-2): 76-85)

■ アレルギー性: ヒスタミンにより誘導. 

・さらにIgE関連性, 非関連性に分類される.
■ 非アレルギー性: 
 さらに以下の5つに分類
・ブラジキニン介在性: C1-INH欠乏患者による血管浮腫
: 遺伝性血管性浮腫, 後天性血管性浮腫の2つ.
・RAA系に関連した浮腫: 薬剤性(ACE阻害薬など)
 
・偽アレルギー性血管浮腫
 
・特発性血管浮腫

正直なところ, この分類方法が全然ピンとこないというか, 鑑別に役に立たないというか, かなり臨床に使いにくい印象がありました.

そこで新分類です.

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