[ 今日の出来事 ] No.02
[ 今日の出来事 ] 2023.05.06(Sat)
ロンドンで70年ぶりにウィンザー王朝の戴冠式が執り行われましたね。PCで英国王室公式YouTubeのライブ配信とスマホでTwitterをしながら、一日中観ていました(笑)どろどろした恋愛映画を観ているような感じで、非常に面白かったです。
チャールズ3世(チャールズ・フィリップ・アーサー・ジョージ)の母エリザベス女王が昨年9月8日にバルモラル城で亡くなられました。その後、チャールズ3世は昨年9月に連合王国と英連邦14ヵ国の君主となりました。英国王に即位したチャールズ3世国王陛下とカミラ王妃陛下の戴冠式は、宗教典礼と華やかな様式を組み合わせた象徴的な儀式のため、一般市民や招待客がウェストミンスター寺院やその周りに集まり、国王夫妻の戴冠を祝いました。
戴冠式の王冠
チャールズ国王が実際に式で戴く「聖エドワード王冠」は、国王の一生でこの式でしか使われない特別なもの。1661年にチャールズ2世のために製作されたバロック様式の王冠で、故エリザベス2世女王も着用され、チャールズ3世国王で7代目となります。
4つの十字架と4つのアイリスの紋章と2つのアーチは、この形になる前にイングランド内戦で破壊された物のデザインを踏襲しているのだそう。英国王室の文化財を管理する「ロイヤル・コレクション・トラスト」によると、王冠は純金やルビー、アメジスト、サファイアなどで装飾されており、約2キロと非常に重いとのこと。前エリザベス2世女王は「首が折れるかと思った」と漏らしていたとの噂もあるそうです。この王冠を国王の頭に載せられると、集まった人々は「God Save The King」と叫びます。
戴冠式にてカミラ王妃が着用されるのは「メアリー王妃の王冠」です。1911年ジョージ5世の戴冠式の際に、故エリザベス2世女王の祖母であるメアリー王妃のために製作されました。
2200個のダイヤモンドに、取り外し可能な8つのアーチ、そして王室が所有する3つの大きなダイヤ「カリナン」がはめ込まれています。その大きさは、最大で94.40ctとなっており、王冠の重さが590gになるそうです。
戴冠式の馬車
チャールズ3世国王とカミラ王妃は6日午前、最新型の馬車「ダイヤモンド・ジュビリー・ステート・コーチ」で、バッキンガム宮殿からウェストミンスター寺院までの約2.3kmの道を進むパレードが行われました。
70年前のエリザベス2世女王のときの3分の1の距離に縮小されていますが、英国メディアによるとチャールズ3世国王は、スリムな王室を目指しており、70年前よりも費用を抑えられているとのこと。11時にウェストミンスター寺院に到着し、戴冠式が始まります。そして戴冠式を終えると、18世紀の黄金の馬車「ゴールド・ステート・コーチ」でバッキンガム宮殿に戻られました。王室によると、「ダイヤモンド・ジュビリー・ステート・コーチ」は、2012年のエリザベス女王の即位60年を記念して造られた最新型の馬車だそうです。
英公共放送BBCによると「見た目よりずっとモダン」なアルミ製で、エアコンや電動式の窓、最新型のサスペンションを備えているとのこと。馬車の重さは3tもあり、6頭の馬で引かれます。「ロイヤル・コレクション・トラスト」の学芸員は「乗り心地は信じられないほど快適だ」と自信たっぷりにBBCのインタビューで語っています。
対照的なのが、バッキンガム宮殿への帰路で使われる「ゴールド・ステート・コーチ」で、1762年にお目見えした木製の馬車。
表面は金箔で覆われており、重さが4tにもなる。8頭の馬で引かれますが、歩くくらいの速さしか出せず、エリザベス2世女王によると、乗り心地は最悪だったと伝えられています。
戴冠式への関心
この歴史的な戴冠式には、ウィリアム皇太子キャサリン妃らのイギリス王室メンバーはもちろんのこと、ヨーロッパ王室や各国の国王や王族が参列しました。
日本からは秋篠宮ご夫妻が参列されました。
70年前の女王の戴冠式では、当時19歳の皇太子であった上皇さまがご参列され、戦後の国際親善の始まりとなりました。前回の70年前は参列者が8000人でしたが、今回は2300人と減っており、時間も大幅に短縮されています。ただ今回の戴冠式に盛り上がっている人々がいる一方で、反対の声も出ています。イギリス国王はイングランド国教会の首長も務めるため、離婚経験者であるカミラとの結婚は本来認められません。そのため、「スキップ・チャールズ」としてチャールズを飛ばしてウィリアムが継ぐべきとの世論もありました。
イギリスの最新の世論調査では、戴冠式にとても関心があると答えた人が9%、ある程度関心があると答えた人は24%で、全体の31%と低く、あまり関心がないと答えた人は35%、全く関心がないと答えた人は29%もおり、全体の64%と関心がある人の割合を上回っています。中でも18〜24歳では、75%があまり関心がない、もしくは全く関心がないと答えるなど、年齢が若いほど関心が低くなっていて、特に若者の間では王室離れの傾向というのが顕著になっています。
戴冠式の内容
本来、戴冠式は君主となるための必須条件でしたが、現在は儀式としての位置付けになっています。王室史研究者のアリス・ハント氏は、「英国では、戴冠式は公的な方法で君主を正統なものとする儀式として依然残っている。」と語っています。戴冠式では、チャールズ3世国王自身が選んだ音楽が演奏されます。
そして、国王はエドワード王の椅子とされる「運命の石」がはめ込まれた1296年に作成された戴冠用の椅子に座り、全世界のアングリカン・コミュニオンの最上席の聖職者であるカンタベリー大主教により、エルサレムで聖別された聖油を塗る塗油がおこなわれます。塗油をおこなう際、ワシの形の聖油入れと真珠が嵌め込まれたスプーンが使用されます。聖油入れは、頭を取り外して聖油を入れ、くちばしから注ぎます。
この塗油は、紀元前2千〜3千年ごろからある聖油を頭や体に塗る儀式です。エジプト、メソポタミアから始まり、旧約聖書の中でダビデ王やソロモン王もやっています。聖油を注がれた者が古代ヘブライ語で「メシア」になります。その古代ギリシャ語訳が「キリスト」です。キリスト教の世界では、塗油が戴冠よりも重要となります。今回の戴冠式での塗油では、聖地エルサレムで調合されたオリーブが聖油として使われます。1953年のエリザベス女王の戴冠式でも塗油はありましたが、神聖なため生中継では塗油の場面だけは映りません。それぐらいの秘儀と位置付けられています。
その後、戴冠に先立って君主の宝玉や十字架の王笏、ハトの王笏などの「レガリア」がチャールズ3世国王に手渡されます。
いずれも戴冠宝器を構成するもので、王の権威を象徴しています。それから大主教は、聖エドワード王冠をチャールズ3世国王とカミラ王妃の頭に載せて、戴冠式はエンディングに向かいます。
---追伸---
生きている間に戴冠式をリアルタイムで見ることが出来るなんて思いませんでした。ゴールデンウィークの良い思い出になりました。新国王の元でイギリスは今後どうなっていくのか注目ですね。最後に、Twitterを見ていて戴冠式の良いなと思った写真や、面白いと思った写真を何枚か載せておこうと思います。
参考資料
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