神様になったいたずらタヌキ㉕
それからしばらくして、お正月になりました。
吾作どんは、今日も鉄砲をかついで、山を歩いていました。
去年の暮に降った雪があちこちに、まだ残っています。
空は、真っ青に晴れていますが、山は、ひっそりと静かです。
吾作どんが一休みしようと、岩に腰をかけた時です。
「こんにちは!」
いきなりポン太が現れて、あいさつをしました。
「おう!これは!ポン太神さまか」
ポン太のまわりには、ウサギ、リス、スズメそれからカラスなど大勢の山の仲間たちが、集まっています。
吾作どんは、ニコニコ笑っています。
「その神さまだけはやめてよ・・」
「だけど村では、おタヌキさまで大騒ぎだぞ」
「ボクは、今までのお礼を村の人に、しただけだから」
「ポン太のおかげで、この村にも希望が見えたぞ!」
「そう?そうだったらボクもうれしいよ。でも・・」
「でも?でもどうしたんだ?」
吾作どんは、ニコニコ笑っています。
「でも、こころが・・」
「心が、どうした?」
ポン太は、はずかしそうにモジモジしています。
「こころが、ボク、神さまなんて心がかゆいよ」
「あはははそうか、心がかゆいか?
ポン太は、面白いことを言うなぁ」
ポン太は、てれくさくて仕方ありませんでした。
みんな心の底から笑いました。
もう動物たちと村人が、争うことはなくなりました。
「そうだな、ポン太は、いたずらタヌキのままがいい!」
「うん!これからだって、いたずらしちゃうよ!」