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第三話⑱

「そうかいそれは、よかった」
お父さんは安心したように、微笑みました。
「ルルは、南の国に行くとき、海を渡ることは、知っているよね」
「うん!お母さんから聞いたよ」 「その海は、とても広くて危険なんだ。でもね、すごくきれいな色をしているんだ。瑠璃色っていって、 美しくて深い青色なんだ」
「ヘぇ、行ってみたいなぁ」
「ルルとリリ・・ほら!(るり)になるだろう?」
「ほんとうだ !ルルとリリ 二人合わせてルリなんだね!」
「お前たち二人が、あの海のように 美しい心に育つようにと、父さんとお母さんが相談して、付けた名前なんだよ」
「おとうさん!ありがとう!とても素敵な意味があったんだね!リリにも教えるね!」
「そうだね、リリにも教えてあげて おくれ!そのためにも、早く元気に なるんだぞ!」
父さんは、もう一度しっかりとルルを抱き締めました。
「ルル!約束だよ。リリと母さんに会うんだよ!」
お父さんは、そう言うと オレンジ色の光の中に ゆっくり消えていきました。
「おとうさん!おとうさん!」
ルルは、大きな声でさけびました。
なみだが止まりません。
冷たい暗闇の中で、泣き続けました

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