神様になったいたずらタヌキ②
その日は、おだやかな朝でした。
スズメが三羽、村長さんの家のわらぶき屋根にとまっています。
いつも見慣れた静かな光景です。
ところが今朝は、なんだか変です。
村長さんの庭に、大勢の村人が集まっています。
「オラのとこもやられた」
「そうだ!今朝起きたらやられていた!」
「もうこれで三軒目だぞ!畑がめちゃくちゃだ」
村人たちは、とても困った顔をしています。
村人の話しを聞いていた村長さんが、話し始めました。
「わしも見て来たが、そりゃひどかった。」
すると別の村人が大声で言いました。
「里イモも、かぼちゃも、全部盗られた」
村長さんは、畑の方を見ながら黙っています。
「いったいだれがあんなことをしたのだ」
「うーん」
みんなが首をかしげて考えていました。
「 タヌキじゃ!タヌキがやったのじゃ!」
とつぜん大声がしました。
留吉どんです。
日に焼けた顔が怒って真っ赤です。
「そういえば タヌキが歩いていた
ぞ!」
「おおーそうだ!まちがいない!」「タヌキしかいない!」
「タヌキのせいだ!が怒りだしました。
「タヌキをやっつけろ!」
村人たちは、コブシを振りあげて 大声を出しました。
これを聞いていた屋根のスズメは、驚きました。
いっせいに飛び立つと、山に向かって逃げ出しました。