君がそう見てればいいよ

私は多分ちょうどいい女だ。

小柄な身長に、平均的な容姿、量産的な服装。
初対面で基本的に誰とでも盛り上がれるし、人の話でよく笑う。
どんなゲスい話だって笑えるし同じ温度で話に乗れる。
理系の大学に行って一生失わない資格も取った。
人前では泣いたり怒ったりしない。
タバコは吸ったことないし、お酒もたくさん飲めない。

うん、ちょうどいいな。
実際めちゃくちゃモテる。
(モテるというと多分語弊があるけど)

男の人が好きなのは愛想が良く、プライドが程よく無く、でもある程度の学歴があり、話が合って、よく笑ってくれる女の子なんだろうなと思う。

じゃあモテて喜んでいいはずの私がなぜこんなに偉そうにこんな文章を書いているかというと、それはモテている私は全然素じゃないから。

別に初対面の人と話さなくていいなら話したくない。めんどくさいことこの上ない。その人の興味がある話を探って、さも自分もずっと気になってたみたいな空気を出して気持ちよく話してもらって、いい感じの相槌を打って、笑って欲しそうなところで大きめの声で笑う。
また今度話そうよ。と言われれば、
え〜!!ぜひ!!!お話ししたいです!と言うし、
あなたと話してみたかったと言われれば、
私もずっと話してみたかったんです、と言う
そこに気持ちは一切乗ってない。
なんなら正直名前が思い出せない人にでも平気で言える。

それで他人からはこう言われるのだ。
あざとい。と、

否定はできない。
この性格を形容詞で表現するなら"あざとい"と思う。
人に期待させたり、勘違いさせたりしてるのかもしれない。

だけど私の場合、世界中の人間に対して一律、誰にでも心を開くし、その一方で誰にも心開いていない。こんなイメージで。

一切感情が乗ってない会話なら誰とだって出来る。長い目で見て、相手が自分に対して変な印象を持たないように、めんどくさいことにならないように。高いテンションで挨拶して、共感して、目を見て笑う。
ほんとにそれだけ。
異性にも同性にも、ほんとにそれだけ。
心底どうでもいいから出来るのよ。

だから私のこのめんどくさい性質を知らずに、好き、と言ってくれる人が現れるとうんざりする。
それは相手と、それから自分に。


流石の私も、私だけの目をまっすぐ見て「好きだよ」と言ってくれる人に対して「ところで誰?私とそんなに仲良かったっけ?」とは聞けないし、「私も好きだった!」まで言える女でもない。


「私は君が思ってるような人じゃない」
「私に君はもったいないよ」
なんてありきたりでつまらない言葉を並べるしかない。

そうこうしてる間に面倒くさくなってくる。
何故こんな事が起こる?

私にとってこの人はただの知人であり、なんの意識もなく連絡が取れる人だったのに、こんな事が起こったらあのつまらないセリフがその人との最後の会話になりかねない。
なんて勝手なことをしてくれたんだ。
勝手だし、好きだと思ってくれる割には私のことなんて何も見てないのね、と悲しくなるよ。


じゃあ勘違いさせる私が1番だるいな。
それで被害者ぶって、非表示、ミュート、ブロックを繰り返して、ほんと、馬鹿みたいだな。
てか、馬鹿だ。



ごめんなさい。
大事な友達だと思ってた。
わたしは向き合えないから、無視させて。
本当にごめんなさい。






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