内藤礼 「生まれておいで生きておいで」展に行きました。


内藤礼さんの作品は気になりながらもこれまで観たことが無かったのですが、今回は機会に恵まれて、東京国立博物館に行くことができました。
その感想です。

第1会場
薄暗い部屋にテグスで吊り下げられたカラフルな毛糸のボンボンや小さい鈴、透明のガラスビーズ、透明の風船が目に入る。

若干視力が弱いため(コンタクト合ってない…)、テグスが見えたり見えなかったり…そのせいでなんだかこれらのまるいものたちがフワフワと空間に浮かんでるように感じてちょっと平衡感覚が変な具合に…。

自分がいるこちら側は生きてる世界だけど、薄暗いし、まだフワフワしていて心許ない…。
そんな空間でした。

ガラスの向こう側は明るく、土版や大理石や鏡が置かれていました。
「死者のための枕」がよくわからないがとてつもなく愛らしい。
あちら側の方がリアルで手が届きそうな世界に思えました。

第2会場
柔らかい光が心地よい。
レトロな内装も素敵。
まるいものたちを吊り下げてるテグスもちゃんと見えて、心許ない感覚は通常モードに無事回復。

縄文時代の土でできた子供の足形や動物たちが、またまたとてつもなく愛らしい。
でもこれは祈りから作られたと思うと「愛らしい」というより「愛おしい」が近いかも。
そばに寄り添うように置かれた枝や石、ケースの角っこでチラチラ揺れてる「まぶた」も同じように愛おしい。

両側に並んだキャンバスの絵は生まれたばかりの赤ちゃんが見る…というより見えてる風景?
それとも何かの形や意味が生まれる最初の瞬間のようなものなのかな?

真ん中の杖はこの柔らかい世界を支えているのかな?

いろいろ想像すると楽しかったです。

第1会場よりこちら側、でもまだあちら側に近い感じ。
淡い光に包まれたとても優しい場所でした。

第3会場
建物の中をぐるっと回って(いろんな展示やってますね)、ようやく辿り着きました。

モダンでおしゃれなラウンジの扉から見る風景は明るい緑に溢れて、美しいけどそれは完全にこちら側の美しさでした。

行き交う大勢の人たちも日常の風景。

その中にぽつんとあるお水を張ったガラス瓶。

なんか凛としてるな。

壁のモザイクタイルの中に小さい鏡を見つけられてちょっとうれしかった。
あちら側への秘密の抜け道かなって思ってみると楽しいな。

思い切って来てよかった。
とくに第2会場のあの淡い光の光景は何年経っても忘れないと思う。
素敵な展覧会でした。



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