指す将順位戦9th 振り返り vs Andyさん

指す将順位戦9thにて、B級3組に参加するしらがと申します。
今回の記事では、指す将順位戦9th 2回戦 (vs Andyさん) を振り返ります。


1. Andyさんの印象

得意戦法

相居飛車では相掛かり。
対振り飛車には急戦 。特に5筋位取り

棋風

居飛車党の中の居飛車党。
序盤から中盤にかけての指し手が広い局面で、相手の形に合わせて柔軟且つ丁寧に対応されている印象。
どちらかと言えば攻め寄り。

全体として

Andyさんと指す相掛かりは絶対楽しいと思う。
相手によって指し方を変えるような姿勢は感じられないのでこちらは作戦準備のし甲斐があるのだが、持ち前の対応力を発揮されてカウンターに遭うのではという怖さもある。

2. 対局

先手Andyさん、後手しらが。
棋譜全体は以下のURLにて確認できます。

指す将順位戦9th しらが vs Andyさん | Shogi.io(将棋アイオー)

2-1. 12手目 △22飛車

菜々河流向かい飛車

なんだこの後手の形ー!
と今までは自分がお口あんぐりとしていたものだが、今回はこちらが仕掛ける側にまわった。

これは将棋系Vtuberとして活動されてる菜々河れいさんが世に広めた「菜々河流向かい飛車」と呼ばれる戦法で、将棋世界の付録でも棋士から紹介されたことがある立派な戦法。

ということでバシッと飛車を振ったが、正直先手の▲38金型に対しても向飛車が有効なのか分からなかった。
そうやって考えすぎて変に迷っても良くないので、ひとまず教わったとおりに指し進めた。

戦法書は電子書籍としても売られてます!
著者は黒田五段

4手目の革新! 自ら動ける新感覚戦法「菜々河流向かい飛車」黒田尭之五段(将棋世界2023年1月号付録) | 「将棋世界」編集部 | 趣味・その他 | Kindleストア | Amazon

菜々河れいさんによる分かりやすい解説動画もあります!
【現代将棋の最先端!?】菜々河流向かい飛車戦法を解説します!【with菜々河れい】 (youtube.com)

2-2. 19手目 ▲45銀

△44角を強く咎める手。
人によって評価が分かれそうな局面だがAIの形勢は互角。

こちらが力戦調の将棋を誘っているのに対し、Andyさんは堂々とした自然な進行。
先手は角を目標に▲45銀と出て行ったが、感想戦ではこの手をAndyさんが後悔しており、変えて▲37桂と指すべきだったとのこと。

気にされていたのが割と序盤の指し手だったので
「結構序盤だ」
と返答したのだが、自分もこのあたりが気になることが多いので実はちょっぴり親近感を抱いていた。

局面に戻って、後手としては金が33にいるので先手の桂馬の活用が怖くないというはずもなく、19手目▲37桂は確かに一番嫌だったと思う。
▲45銀と比較すると先手の攻めの含みも結構違う気がする。

AIの評価値だと▲45銀と▲37桂にそれほどの差はなかったが、ここは互いに自分のペースをどれだけ保てるかが重要な局面だったと思う。

2-3. 38手目 △49角打

互いにミスの許されない難しい中盤に。
どちらも捌けそうだし、どちらも受けきれそう。

35手目▲66角打を機に△27歩打から勝負にいったこの局面、あまり深く読めていなかったが改めてみると緊迫感がエグい。
互いに有効手がありそうだが、パッと見えるほとんどの手は悪手とのこと。

何となくお互い捌き合う感じかなと思っていたが、39手目のAI最善手▲47銀を自分は軽視していた。
▲47銀であれば△25金に▲37桂といった感じで、その後なんやかんやで先手の飛車がいじめから逃れられるらしい。
自分としては気づきにくいと思う手順なので、どれだけの棋力があればこの手順が見えるのかは気になるところ。

本譜はここで39手目▲37飛とされ、△36歩打で後手がまずはペースを握った。

2-4. 53手目 29香打

歩は大事に持っておけとあれほど

前局とよし魔さん戦に続いて、Andyさんのこの香打も痛かった。
21の桂を取られると、馬と持ち駒の金で美濃崩しの手筋に入るのが見えていたのでそれを防ぐために△27桂打!とした。
しかしこれただの桂馬のおかわり (?) 何だよなあ…当たり前だけど。

もちろん△27桂打は悪手で、ここは△84飛と大人しく回るしかなかった。
その後も55手目▲55馬から美濃崩しが含みに入る展開となり、一時は評価値互角にまで迫られた。

2-5. 96手目 △88銀打 (投了図)

最後は玉形の差が活かしつつ寄せきれた。

先手から美濃崩しの含みがありつつも、4段目の飛車の睨みで致命傷を受ける展開を避けることができ、その後は駒得を拡大してそのまま形勢に差をつけることができた。
最後は先手の角と馬で後手の玉頭を睨まれたが、何とか詰み形に持っていくことができ勝利となった。

3. 局後の感想

一度はやりたいと思っていた「菜々河流向かい飛車」を起用できた上、自分が思い描いていた以上の将棋を指すことができ、まさしく僥倖の一局となりました。
「奇襲がある」と思われるのは、指す将順位戦を戦い抜くことにおいてメリットに働くと思っているので、今後はその効果にも期待したいです。

また、Andyさんの指し手からは「奇襲はしっかり咎める」という姿勢が伝わってきて、なんだか嬉しいとともに、やはり普通の相居飛車も指してみたいという気持ちも強まりました。
自分と指す戦法は違いますが、実はAndyさんのような将棋が好みなので…

また、指す順放送局にてポールさんにも本局を「興味深かった」として触れて頂きました。
運転中ムフムフ言いながら聞いていましたムフムフ。
そういう意味でも「菜々河流向かい飛車」やって良かった!

本局も、結果からも内容からも充実感を得られた対局でした。
Andyさん対局ありがとうございました。

4. 棋譜

開始日時:2024/06/30 18:00:53
棋戦:R対局 持ち時間15分
手合割:平手
先手:blueandy(1032)
後手:su0625(1193)
手数----指手---------消費時間--
1 2六歩(27) (0:03/00:00:03)
2 3四歩(33) (0:01/00:00:01)
3 2五歩(26) (0:02/00:00:05)
4 4四角(22) (0:03/00:00:04)
5 7六歩(77) (0:07/00:00:12)
6 3二金(41) (0:02/00:00:06)
7 4八銀(39) (0:10/00:00:22)
8 3三金(32) (0:03/00:00:09)
9 3八金(49) (0:19/00:00:41)
10 3五歩(34) (0:05/00:00:14)
11 4六歩(47) (0:41/00:01:22)
12 2二飛(82) (0:25/00:00:39)
13 4七銀(48) (0:04/00:01:26)
14 4二銀(31) (0:06/00:00:45)
15 3六歩(37) (0:35/00:02:01)
16 3六歩(35) (0:31/00:01:16)
17 3六銀(47) (0:03/00:02:04)
18 6二玉(51) (0:37/00:01:53)
19 4五銀(36) (0:00/00:00:00)
20 8八角成(44) (0:54/00:02:47)
21 8八銀(79) (0:03/00:02:58)
22 4四歩(43) (0:04/00:02:51)
23 5六銀(45) (0:42/00:03:40)
24 7二玉(62) (0:27/00:03:18)
25 7七銀(88) (0:04/00:03:44)
26 8二玉(72) (0:48/00:04:06)
27 6八玉(59) (1:08/00:04:52)
28 7二銀(71) (0:04/00:04:10)
29 3五歩打 (0:15/00:05:07)
30 9四歩(93) (0:33/00:04:43)
31 9六歩(97) (0:04/00:05:11)
32 2四歩(23) (0:22/00:05:05)
33 2四歩(25) (0:09/00:05:20)
34 2四金(33) (0:05/00:05:10)
35 6六角打 (2:15/00:07:35)
36 2七歩打 (2:18/00:07:28)
37 2七飛(28) (0:08/00:07:43)
38 4九角打 (0:26/00:07:54)
39 3七飛(27) (0:57/00:08:40)
40 3六歩打 (0:26/00:08:20)
41 3六飛(37) (0:02/00:08:42)
42 2五金(24) (0:02/00:08:22)
43 3七飛(36) (0:01/00:08:43)
44 2六金(25) (0:09/00:08:31)
45 4四角(66) (0:21/00:09:04)
46 2四飛(22) (0:32/00:09:03)
47 3九金(38) (0:07/00:09:11)
48 3七金(26) (0:14/00:09:17)
49 3七桂(29) (0:04/00:09:15)
50 2七角成(49) (0:07/00:09:24)
51 1一角成(44) (0:09/00:09:24)
52 3七馬(27) (0:13/00:09:37)
53 2九香打 (1:46/00:11:10)
54 2七桂打 (1:38/00:11:15)
55 5五馬(11) (0:33/00:11:43)
56 1九馬(37) (0:31/00:11:46)
57 4五馬(55) (0:04/00:11:47)
58 1八馬(19) (0:35/00:12:21)
59 2五歩打 (0:24/00:12:11)
60 2五飛(24) (0:28/00:12:49)
61 3四馬(45) (0:17/00:12:28)
62 2六飛(25) (0:20/00:13:09)
63 3八金(39) (0:10/00:12:38)
64 2九馬(18) (0:09/00:13:18)
65 3七金(38) (0:01/00:12:39)
66 2二飛(26) (0:22/00:13:40)
67 2四歩打 (0:48/00:13:27)
68 4八飛打 (1:56/00:15:36)
69 5八金打 (0:09/00:13:36)
70 2八飛成(48) (0:23/00:15:59)
71 4七金(37) (0:05/00:13:41)
72 3二飛(22) (0:15/00:16:14)
73 4五馬(34) (0:13/00:13:54)
74 5四香打 (0:39/00:16:53)
75 2三歩成(24) (0:16/00:14:10)
76 5六香(54) (0:12/00:17:05)
77 3二と(23) (0:09/00:14:19)
78 4七馬(29) (0:14/00:17:19)
79 5六馬(45) (0:08/00:14:27)
80 5八馬(47) (0:53/00:18:12)
81 5八金(69) (0:02/00:14:29)
82 7八金打 (0:05/00:18:17)
83 7八玉(68) (0:16/00:14:45)
84 5八龍(28) (0:02/00:18:19)
85 6八香打 (0:03/00:14:48)
86 6九銀打 (0:05/00:18:24)
87 8八玉(78) (0:02/00:14:50)
88 7八金打 (0:09/00:18:33)
89 9七玉(88) (0:02/00:14:52)
90 7七金(78) (0:15/00:18:48)
91 7七桂(89) (0:07/00:14:59)
92 6八龍(58) (0:02/00:18:50)
93 6六角打 (0:23/00:15:22)
94 8四香打 (0:54/00:19:44)
95 8四角(66) (0:00/00:00:00)
96 8八銀打 (0:22/00:20:06)
97 投了 (0:05/00:16:05)
まで96手で後手の勝ち

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