指す将順位戦7th 振り返り vs熊田さん

指す将順位戦7thにて、B級3組に初参加するしらがと申します。
今回の記事では、指す将順位戦7th3回戦 (vs 熊田さん) を振り返ります。

1. 対局前

1-2. 熊田さんについて

熊田さんは『将棋囲碁サロン棋縁』を住処とするマスコットキャラクター。

一昨年6月よりオープンの『将棋囲碁サロン棋縁』。
お寺の和室で将棋が指せるとは何とも趣深い!
【東広島】将棋囲碁サロン棋縁【八本松】 (peraichi.com)

自分と同じく指す将順位戦は初参加とのことで、初々しさのあるツイートを見て勝手ながら親近感を抱いている。
今期初の指す将順位戦、これまでの戦績は2勝1敗。
大会の棋譜は見つからなかったが、おそらく下記のような内容だったはず。

・VS k2lowさんは負け。対四間飛車に急戦を採用。
・VS  ドラキーさんは勝ち。対中飛車に右玉を採用。
・VS tamunetさんは勝ち。対角換わりに右玉を採用。

将棋倶楽部24の東京道場だと、直近10局の戦績は10勝0敗。
ただし、まだ適正レートに達してなさそうのでこの戦績を真に受けるわけにはいかなそう。

棋譜は将棋倶楽部24の東京道場の6、7月分を中心に目を通した。
対振り飛車には居飛車急戦、対居飛車には右玉の採用が多く見られた。
特に右玉では色んなバリエーションが見られ、なかなか攻略の糸口を掴める気がしなかった。

棋風としては攻め将棋で、特に終盤が鋭く、見えにくいような派手な手も逃さず決めてくる印象。
自分が見る棋譜ではほとんど勝っており、底が見えないのも怖いところ。

また、ツイートからは色んな戦法を指していることが伺われた。
日に日に謎が増えるばかり…

1-2. 対局前の準備

前回までの反省を踏まえ、今回は序盤で簡単にリードされないことを意識して作戦を決めた。
熊田さんは対振り飛車に急戦の採用が多いことを鑑み、そこに的を絞ってノーマル三間で迎え撃つ算段を立てた。
仮に持久戦になっても序盤で潰されないのでヨシ!


①しらが先手の場合

急戦を警戒しながら囲いを発展させていく。
後手の攻めは『へなちょこ急戦』としてシステム化されているので、
その攻め筋に反撃を用意。

最近良く見かける『へなちょこ急戦』を想定。
持久戦になった場合の端攻めにも対策を立てた。
熊田さんの棋譜でも、へな急に合流しそうな将棋はいくつかあった。
指す将順位戦に参加してなかったら、自分はへな急の存在すら認知できてませんでした。


②熊田さん先手の場合

自分が後手の場合は、先手の時と比べて囲いが一手遅れている。
この場合も先手の攻め筋に対策を用意。

後手の場合も、先手の時と同じような駒組を想定。
ただし、ここからの進行は先後の差によって変わってくる。



今回は自分の土俵で戦えるよう、誘導しやすい局面で、かつ深く準備できる作戦を用意。
こちらは2、3回戦で居飛車を指しているので、振り飛車の警戒も薄れているはず!
本番に向けて憂いなし!

2. 対局本番

先手熊田さん、後手しらが。
戦型は、先手四間飛車 対 居飛車の対抗形

2-1.  3手目 ▲66歩

作戦崩壊の図

しらが、やはり安直…
熊田さんは色々指せるんだから、本番用に別の戦型を用意するのは十分に有り得ること。

そしてこの局面で恐れたのは雁木右玉。
ただでさえ雁木のことは良く分からないのに、加えて右玉ともなるともっと良く分からない。
そうなるとこちらは振り飛車にしたいけど、相振り飛車にされるとそれもあまり自信がない。
14秒程葛藤し、△84歩と指した。

今回の局面は、取り合えず序盤に潰される心配は薄い!
(油断はできないけど)
気を取り直して、こちらは居飛車で迎え撃つ。

2-2.  19手目 ▲18香

熊田さんの振り飛車穴熊発動

熊田さんは四間飛車から、穴熊を目指す。
雁木系では無かったものの、四間穴熊も良く分かってないのでやっぱり嫌。
長い将棋になることを覚悟し、自分も穴熊を目指そうと△33角。

2-3.  37手目 ▲45歩

よくある仕掛けだが未だに対応が分かってない。
この局面で△同歩、▲同銀なら△44歩打で銀を追い返せる。

ここで来た!
▲66歩で先手の角筋が止まっているので一気に攻められることは無さそうだが、1歩手持ちにされるのは大きいかも。
△73桂と跳ねにくくなったので、もしこちらが攻めるとしたら△75歩から△72飛くらい?
現局面は飛車の働きで負けている気がしたので、取り合えず穏やかなに指そうと△同歩。

2-4.  39手目 ▲65歩

一気に中盤戦に突入。
△77角成、▲同桂、△88角打の筋で若干後手有利。

なるほどここで角交換!
確かにここで角を手持ちにされると、色んな攻め筋がありそうで後手も怖いところ。
ただし、ここでは△77角成、▲同桂、△88角打が成立したっぽい。
飛車先突破ばかりを考えてて見えてなかった。
本譜は△77角成、▲同桂に△33角打。

2-5.  47手目 ▲52角打

浮いてる金に目を付けた角打ち。
こういう筋があるから△32金型穴熊が推奨されてるのか。

熊田さんの棋風が現れてると思った鋭い一手。
自分は見えてなかった筋で、指された瞬間冷や汗をかいた。
△42金引とすると、▲34角成とされたときの馬の威張り方が尋常じゃない!
ここは最善では無さそうでも△42金左と強く受けた。

2-6.  57手目 ▲48飛

後手は指したい手が多いが、対して先手の指し手は難しい。

4筋の銀交換の後、先手の飛車を追い返したところでこの局面。
ここで次の△66歩打を発見できたのは良かったが、どうやらAIと読みが一致しているわけでは無かった。
自分の狙いは▲同金に△24角で△57角成を狙う手だったが、△24角には▲56金があって、以下△55歩に▲46金で受かっているとのこと。
ただし本譜は自分の主張が通り、狙い通り後手好調の指し手が続く。

2-7.  62手目 △66歩打

▲68金には、△59銀打以外に△99龍も有力。

この△66歩が入ったことで指し手が分かりやすくなった。
▲68金に△59銀打とし、攻めが続く形に。

2-8.  94手目 △42金 (投了図)

後手が負けない形にできた。

62手目からと金作りに成功するも、馬とカナ駒を使って食いつかれ一歩間違えると危ない状態。
こちらは負けない将棋にするため、攻めを切らして勝つ方針に。

結果、上図でなんとか受けきり熊田さんの投了。
ありがとうございました。

3. 対局後

VS 熊田さん。結果は勝ち。

3-1. 本局の振り返り

序盤は落ち着いて無難に指そうと意識したが、今回はそれが功を奏した。
穴熊の金の形は△31金か△32金か分かれるところだが、今回は△32金型にすべきだったように思う。
△43金が浮いていたことで攻め筋が生じたので、今後もこの筋は視野に入れて駒組をしたい。
中終盤は優勢になってからも落ち着いて指せたので、今回はヨシ!

3-2. 振り返っての感想

前回、前々回と、序盤早々劣勢となって良いところなく負けてしまっていたので、今回の勝ちは正直かなりホッとしてます。

作戦については自分の土俵に引き込む気満々でしたが、まあそう上手くいくわけ無かったです。
3手目の▲66歩で固まってしまうのは流石にどうかと思いますが、今後も懲りずに外れる作戦を立てていきます。
今回の三間飛車の勉強は、次のまついさん戦に活かせるかもしれないので、結果としてはこれで良かったと思ってます。

最後に熊田さん、対局ありがとうございました!
いつもツイートや観戦で楽しませて頂いてるので、今回の対局非常に楽しみでした!

恥ずかしながら熊田さんの正体を把握できていないのですが、『将棋囲碁サロン棋縁』に行くと正体が判明するのでしょうか?
席主のブログも楽しく読ませてもらってまして、陰ながら応援しております。
いつか機会があれば訪れてみたい!

またいつか対局できると嬉しいです。

おしまい。


※以下は今回の棋譜です。

開始日時:2022/07/30 21:00:07
棋戦:自由対局 持ち時間15分
手合割:平手
先手:* kien0609(950)
後手:su0625(1002)
手数----指手---------消費時間--
1 7六歩(77) ( 0:03/00:00:03)
2 3四歩(33) ( 0:02/00:00:02)
3 6六歩(67) ( 0:00/00:00:03)
4 8四歩(83) ( 0:14/00:00:16)
5 7八銀(79) ( 0:02/00:00:05)
6 8五歩(84) ( 0:03/00:00:19)
7 7七角(88) ( 0:01/00:00:06)
8 6二銀(71) ( 0:02/00:00:21)
9 6八飛(28) ( 0:08/00:00:14)
10 4二玉(51) ( 0:06/00:00:27)
11 4八玉(59) ( 0:00/00:00:14)
12 3二玉(42) ( 0:03/00:00:30)
13 3八玉(48) ( 0:01/00:00:15)
14 5二金(61) ( 0:04/00:00:34)
15 2八玉(38) ( 0:00/00:00:15)
16 5四歩(53) ( 0:20/00:00:54)
17 6七銀(78) ( 0:03/00:00:18)
18 5三銀(62) ( 0:02/00:00:56)
19 1八香(19) ( 0:00/00:00:18)
20 3三角(22) ( 0:04/00:01:00)
21 1九玉(28) ( 0:01/00:00:19)
22 2二玉(32) ( 0:02/00:01:02)
23 2八銀(39) ( 0:00/00:00:19)
24 1二香(11) ( 0:02/00:01:04)
25 5六銀(67) ( 0:00/00:00:19)
26 4四歩(43) ( 0:02/00:01:06)
27 4六歩(47) ( 0:00/00:00:19)
28 4三金(52) ( 0:11/00:01:17)
29 3九金(49) ( 0:00/00:00:19)
30 1一玉(22) ( 0:14/00:01:31)
31 4八飛(68) ( 0:01/00:00:20)
32 2二銀(31) ( 0:15/00:01:46)
33 5八金(69) ( 0:02/00:00:22)
34 3一金(41) ( 0:19/00:02:05)
35 9六歩(97) ( 0:10/00:00:32)
36 7四歩(73) ( 0:24/00:02:29)
37 4五歩(46) ( 0:16/00:00:48)
38 同 歩(44) ( 0:00/00:02:29)
39 6五歩(66) ( 0:28/00:01:16)
40 7七角成(33) ( 0:38/00:03:07)
41 同 桂(89) ( 0:01/00:01:17)
42 3三角打 ( 0:00/00:03:07)
43 6七金(58) ( 0:00/00:01:17)
44 8六歩(85) ( 0:46/00:03:53)
45 同 歩(87) ( 0:01/00:01:18)
46 同 飛(82) ( 0:15/00:04:08)
47 5二角打 ( 0:15/00:01:33)
48 4二金(31) ( 1:13/00:05:21)
49 6三角成(52) ( 0:19/00:01:52)
50 8九飛成(86) ( 0:29/00:05:50)
51 4四歩打 ( 0:02/00:01:54)
52 同 銀(53) ( 0:25/00:06:15)
53 4五銀(56) ( 0:26/00:02:20)
54 同 銀(44) ( 0:17/00:06:32)
55 同 飛(48) ( 0:01/00:02:21)
56 4四歩打 ( 0:44/00:07:16)
57 4八飛(45) ( 0:06/00:02:27)
58 6六歩打 ( 0:20/00:07:36)
59 同 金(67) ( 0:36/00:03:03)
60 2四角(33) ( 0:05/00:07:41)
61 6七金(66) ( 0:14/00:03:17)
62 6六歩打 ( 0:05/00:07:46)
63 6八金(67) ( 0:03/00:03:20)
64 5九銀打 ( 0:07/00:07:53)
65 3八飛(48) ( 0:00/00:03:20)
66 6八銀成(59) ( 0:10/00:08:03)
67 同 飛(38) ( 0:01/00:03:21)
68 5七角成(24) ( 0:03/00:08:06)
69 9八飛(68) ( 0:50/00:04:11)
70 6七歩成(66) ( 0:12/00:08:18)
71 5一銀打 ( 0:04/00:04:15)
72 5八と(67) ( 0:42/00:09:00)
73 4二銀成(51) ( 0:03/00:04:18)
74 同 金(43) ( 0:01/00:09:01)
75 6四馬(63) ( 0:02/00:04:20)
76 3一銀打 ( 0:31/00:09:32)
77 5八飛(98) ( 0:44/00:05:04)
78 同 馬(57) ( 0:09/00:09:41)
79 4九歩打 ( 0:06/00:05:10)
80 9九龍(89) ( 0:36/00:10:17)
81 5三銀打 ( 1:40/00:06:50)
82 同 金(42) ( 0:35/00:10:52)
83 同 馬(64) ( 0:01/00:06:51)
84 4二銀打 ( 0:04/00:10:56)
85 5二馬(53) ( 0:45/00:07:36)
86 8九飛打 ( 0:17/00:11:13)
87 4八金打 ( 0:15/00:07:51)
88 7六馬(58) ( 0:12/00:11:25)
89 4一金打 ( 0:02/00:07:53)
90 3二金打 ( 0:22/00:11:47)
91 6四歩(65) ( 0:09/00:08:02)
92 4五香打 ( 0:11/00:11:58)
93 4二金(41) ( 0:48/00:08:50)
94 同 金(32) ( 0:13/00:12:11)
95 投了 ( 0:48/00:09:38)
まで94手で後手の勝ち

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