「囀る鳥は羽ばたかない」 8巻 45話 感想と心理考察

では45話いきましょう。

まずは扉絵
百目鬼の冷たい視線と黒シャツにジャケットというシンプルな格好。なんだか今の百目鬼(精神的な強さ)を象徴してるように感じますね。
百目鬼の冷たい表情が私は好きです。あと革手袋と黒シャツも似合ってる。かっこいい。

本編
八代たちと城戸弟と5人で1台の車にみちみちで、城戸兄を誘き寄せるため現場に向かう。

いつものように神谷、七原で言い争う。
《何かしてたのはお前らの方だろうーがとぼけやがって》と神谷にバレてる二人の関係

それを言わないのも神谷って気が回るというか、状況が見えてて鋭いよなぁと感じます。まぁペラペラと周りに言うタイプにも見えませんが。神谷的には言ってもメリットがなさそう。
 
あと、意外と百目鬼のこと大事に思ってるのかな?とも思います。神谷は八代と百目鬼のことをなんだかんだ言って気にしてますよね。七原もそれは同じように感じます。

そして城戸兄が来るのを張り込み中
それぞれ分かれて張り込んでいたので気が緩んだのか、七原が本音を話します。

七原『ヤクザやるような人間じゃねぇと俺は思ってたんスけどね  だからあん時社長も捨てたんですよね』
八代『―なぁ ヤクザやるような人間てどんな人間なんだろうな』

七原の言葉に対しての八代の返しが、素朴な疑問のようにも感じるし、自分への皮肉のようにも聞こえます。《ヤクザやるような人間て俺みたいな奴てことか》と。

七原に『あのとき捨てたんですよね』と言われたときの表情もなんだか意表を突かれたような表情をしてる八代

確かに八代は百目鬼を『お前はきれいだから、戻れる』とカタギにさせようと捨てたところもあると思います。

しかしながら、七原のこの言葉を通してもう一度八代自身にに《どうして百目鬼を捨てたのか》問いかけられているよに感じました。

ここでほんの少し、過去の自分が出した答えに対して揺らぎがあったから、七原の言葉に対して『そうだ』とはっきり答えなかった(正確には答えられなかった)のではないでしょうか。

あと、人間は嘘はなかなかつけないですからね。特に自分の気持ちに対しての嘘はつけないと私は思います。

なので、『お前はカタギになれる、戻れる』と百目鬼に話したのもそれは建前で、実際は"百目鬼を失うのが怖くて捨てた"のが本心なんだと思います。その気持ちに嘘はつけなかった(しかし七原にも本心は言えない)から、はぐらかすように返したようにも見えました。

七原が本音を話してくれたので、八代の本音も聞けるかな?と期待しましたが、これを聞いてる百目鬼、また勘違いしそう。

《頭に認められてない》とか、《この世界がこんなに似合いませんか》って、八代がよく言う『俺とお前はちがう』っていう、ある意味百目鬼にとっては突き放されるような、線を引かれてるような言葉をまた言われてるように感じるんじゃないかなぁと思います。

百目鬼は八代と一緒の世界で生きたいのにね。八代にはその愛が伝わりません。その突き放しも八代の愛からなのですが、恐怖が先立って本当に大切にしたいものを大切にしない選択をするなんて、悲しすぎます。

"人間の行動動機はつきつめると愛か恐怖"とはよく言ったものです。

そんな八代に

七原『本音は組持って欲しいっすね 帰るとこ欲しいんで』

と素直な気持ちを伝えます。
七原は素直でよろしい!色んな場面で百目鬼や八代の気持ちを代弁してるように感じますね。百目鬼も帰るところを待ってるよと私は思います。

私の想像するハッピーエンドの一つにまた八代が組を持って、番犬ではなく右腕として百目鬼が側にいるのもいいなぁと思います。百目鬼はやっぱり八代の一番側にいたいし、守りたいから、必ず戻ってくると思います。

しかしながら八代は百目鬼を失うのが怖いので、昔はそれが実現しませんでしたが、その恐怖を乗り越えて『俺を守れよ んで俺のために絶対死ぬな』と八代の無茶なわがままが私は聞きたいです。

百目鬼は『あなたはいつも敵わない』とか言われて、でも百目鬼もまんざらでもない(にやにや)みたいな。

大切な人を大切にするには、大切な人が思ってる大切な人、つまり八代が八代自身を大切にすることが百目鬼を大切にすることだと、それが分かった時、二人は結ばれると思います。

そして八代も今まではなかった"百目鬼を守れる精神的な強さ"を手に入れて、お互いがお互いを守り、大切にし合う関係ができるのではないか、、と想像しています。

今からもう楽しみですね。ここ見どころです!!(私好みです) 


話がだいぶ逸れましたが、本編へ
城戸兄、待ち合わせの喫茶店ヘ到着
逃げた先で見事百目鬼が捕まえます。百目鬼かっこいい!

そして連れを追う七原が車のハンドルをいきなり切ります。

八代『お前さーやるならやるって言えよー 前にもあったけどさー…』
七原『前?』
八代《いやあれはあいつか》
八代『何でもない』

と百目鬼とカーチェイス(4巻 19話)したことを思い出すやちろ。可愛い。
百目鬼との思い出を思い出して、ため息をついてもの悲しげな八代。今は側にいない想い人との思い出を思い出すのはいい思い出であっても切ないですね。だって側にいないんだもの。私も悲しい。。

そして、城戸兄が八代に唾と暴言を吐きます。七原言葉で怒り、百目鬼もみぞおち決めて気絶さ城戸兄をトランクへ

ここちょっと百目鬼の八代への忠誠心出てるなぁとも感じました。八代に酷いことしたから物理的に黙らせるみたいな。百目鬼のこういうとこかっこいい。すき

捕まえた城戸兄を詰めるみなさん
八代が城戸兄にカマをかける?(私ちょっと構図がよく分かってません)
神谷も状況を飲み飲めてないぽい。良かった仲間がいて。

そして何だか色んな因縁というか組同士でゴタゴタがあることが分かりました。説明が難しいのと私がよくわかってないのでこんな感じにしておきます。シュミマセン

そして、ゴタゴタしてて、それも身内の怨恨だから八代たちを巻き込む訳にはいかない、引いてもらいたいと綱川が言います。

しかし、保留にしたいという八代
金がどうのこうのーとか筋の通った理由を言ってるように聞こえますが、百目鬼と関わりを持っていたい気持ちもありそうですね。

その後、百目鬼に自宅まで送られる八代
車内で二人きり。なんかありそうどきどき。

八代に今回のことは断って欲しいと言う百目鬼。『危ない目にあいます』と。優しい。

八代『それ言うために送るって言ったのか』
百目鬼『そうです』
八代『マジでそれだけです』
百目鬼『マジとは』
八代『マジはマジだろ』
百目鬼『強調して言う意味が分かりません 他に送る理由がありません』

という百目鬼
それに『怒ってもう近いから歩くわ』という八代

百目鬼が鈍感すぎるというか、百目鬼は"八代への気持ちがないフリ"をしてるので、冷たくするんですよね。あなたのことは特別に思ってませんって、言葉で表情するんですね。仕事上の関係でそれ以上でもそれ以下でもないと。淡々と接するんです。

でも八代は百目鬼からの言葉を待ってるのに!!《なんか言うことあんだろ他に》って。《二人きりになったのは二人じゃないと話せないことを言うためだったんじゃないのかよ》って八代は期待してたんです。そりゃ期待しますよ。

そんな乙女子心を分かってもらえないやちろ、ぷんぷんで車を降りてきます。スンとした悲しい目をしてます。怒り通り越して、悲しいというか、寂しい。《俺ってこんなに思われてないの》と打ちひしがれるように感じました。

そして八代の独白

八代《認める 俺がおかしい それはもう明白に明らかに 距離感を失っている 以前の俺はどうしてた?どうやって余裕でいられた?》
《いや 余裕だったのか?》
《最初から俺は》

こいつに惚れてた  と続きそうですね。

そうなんです。最初から八代は百目鬼に惚れてたんです。余裕なんてなくて別になくて、考えてることは百目鬼のことばかりだったんです。

八代は傍から見ると怒っているけれど、その自身の怒りや何に対して怒っているのかまるで気付いてないように見えます。

自分がなぜ怒ってるのか、今何を感じているのか分からなくて、混乱してる、どうしていいのか分からなくて衝動的に行動してしまってる感じです。

素直じゃないからね、やちろは。自分の気持ちにも素直になれないのです。

そして、さすがの百目鬼もここは焦って追いかけて来ます。八代の手首を掴んで、焦った表情を見せます。

百目鬼『何なんですか…っ』
『どうして欲しいんですか』
八代『はぁ!?ねぇよ そんなの』
百目鬼『どうにかして欲しいように見えます』
八代『…なんだよそれ』
《まるで俺だけが》

お前のこと好きみたいに―
と続きそうなところで井波がやって来る。オイ
いいとこだったのにー

八代は百目鬼に『どうにかして欲しいように見えます』と言われてハッとした表情を見せます。本当はどうにかして欲しいんですよね。

でも、俺ばっかりが好きなのが許せないんですよね。百目鬼は冷たいし、仕事としてしか見てこないし、俺しか好きじゃないじゃん..俺だけがこんなに好きで、お前は俺のことどうとも思ってなくて、それなのにどうしてお前は追いかけて来るんだよ、いっそ突き放してくれればいいのに..(私の解釈です)

八代はどうにかして欲しいんだけど、どうして欲しいのか分からないんですよね。そして素直にそれも伝えられないし、自分でもどうにかして欲しいって思ってることも認めたくなくて、意地っ張りな子供みたいなことをするんです。

もう認めちゃえよ!!好きってことを!!言っちゃえよ!!両思いなんだから!!とむずむずする私

むずむずしすぎて発作起きそうです。むずむず悶てます。むずむず

八代は察して乙女ちゃんだし、子供みたいだし、ほんと手がかかる子です。百目鬼もこれには振り回されてます。本気で心を閉ざされたら百目鬼も嫌ですからね。

でも、八代はもう優しくしないで欲しい、期待するようなことしないで、欲しいだろうなぁと思っていそう。八代がちょっと可哀想ですね。八代の気持ちを(恐らく)分かってるのに、その気持ちに応えない百目鬼。

期待するような行動はするのに、言葉では特別じゃないと突き放す百目鬼。まぁこれも八代が望んだことなんですけどね。八代は少しずつ変化していて、百目鬼からの気持ちが欲しいと思っているようです。今までは好意なんていらなかった、むしろ気持ち悪いと思ってたんですがね。

百目鬼はその変化についていけません。そりゃそうです。八代が伝えてないので、百目鬼には八代のその心の変化は分かりません。昔の八代が望んだ通りに"八代のことを好きにならない"演技をしているのにうまく行かないのです。

八代は自分自身の変化に戸惑っていて、そしてそれも認められません。百目鬼が冷たくするからね。そしてそんな八代に振り回さる百目鬼って感じですね。がんばってふたりとも

そんなところに井波がやって来て、そそくさと井波の方へ行こうとする八代

そんな八代の手首を掴んで

八代『離せ』
百目鬼『そんなに男が欲しいんですか?』

無言で百目鬼を見つめる
《俺の気持ちなんて微塵も分かってない、お前にはそう見えるんだな》そんな表情をして

八代『ああそうだ 悪いか』

と言って井波の方へ行く八代

えーん、違うよ百目鬼
やちろは怒ってるんだよー
百目鬼に気持ちが伝わんないから、怒ってるんだよ、怒ってぷんぷんでもう知らないって井波の方に行くだけで、男が欲しいんじゃないよー 百目鬼が欲しいんだよー
って教えてあげたい

でもそんなことはさせない百目鬼
片腕で八代を強引にさらっていきます。
かっくいい!!

八代『離せよ』
百目鬼『じゃあ構わないですよね あいつじゃなくても』

ここ、私的にはドキッとする台詞なんですよね。読者には百目鬼の気持ちが分かるので、《あいつじゃなくて俺を選んで欲しい》って言ってるようなものですからね。

八代には《恋愛感情とかなしの、ただの身体だけの関係なら俺でもいいじゃないですか》《身体だけの関係になりましょう》って突き放されたように感じると思います。

だって八代はただの身体だけの関係じゃなく、百目鬼の気持ちも欲しいから。でも百目鬼はそれはくれないし、身体だけ。本当に欲しい百目鬼の気持ちはくれない。そんな関係にはなりたくない。今の八代はそれを望んでいないので拒みます。

拒みつつも、何だかんだ行って引き止めてくれて、俺でもいいじゃないですかとか言ってくれて嬉しいんじゃないかな?とも感じます。だってもうこれ脈ありぽい行動ですもん!なんかもうNew百目鬼はツンデレです!!頭が混乱します。

好きじゃなかったら井波のところに行くのだけ止めて、井波を蹴散らせといたらいいじゃないですか。でもそれなのに、《俺とヤる》ってなる思考がもう好きじゃん!ってなります。《井波じゃなくて俺として》って言ってるものです。

またしても八代を期待させる男、百目鬼。罪な男だ。八代もエレベーターでキスする妄想して期待しちゃってるじゃん。もうこれは!沈黙がえろいんですけど、、!!

ところどころに百目鬼が八代の手首を掴む描写が差し込まれますね。八代を捕まえておきたい百目鬼の象徴のように感じます。物理的にも精神的にも逃がさないぞっていう、百目鬼の感情がこの描写で伝わります。八代はすぐ逃げるからね。絶対逃がさないでね百目鬼


百目鬼『脱がないんですか?』
八代『服とかどーでもいいわ やりたきゃさっさとやれよ』

んーこの表情、百目鬼の気持ち伝わってないな。本当に身体だけ、ヤるだけだと思ってる八代。やっぱり百目鬼とは身体だけの関係にはなりたくなさそうです。

百目鬼『俺では不足ですか?』
八代『俺にだって選ぶ権利くらいある』

百目鬼のこの質問可愛いなーと思いました。でも八代嫌がってるから、私が百目鬼だったら結構傷つくな..と思いました。

好きな人から、どーでもいいからさっさとやれ=したくないと言われたら、《もう俺のことなんてどうでもいいんだな》って思っちゃいます。もう本当に好きじゃないんだなって自信なくすと思いました。

百目鬼もなくしたかもしれない。。

しかしながら強気百目鬼

八代『俺にだって選ぶ権利くらいある』
百目鬼『そうですか 誰でもいいのかと思ってました』

《お前ホンットよく言うようになったな》と続きそうな八代
そうです。New百目鬼は強気です。

こういう冷たい?強気百目鬼な発言の意図、私的には
①昔の八代が望んだ"好意のない後腐れないやつ"のフリをしている
②八代に好かれるようなフリをしてるのにうまく行かないことにイライラしてる
③百目鬼の気持ちに気付かないことにイライラしてる
④百目鬼のことを好きだと認めないことにイライラしてる
⑤今だに他の男と関係を持ってることにイライラしてる

の複合系かなーと思います。人間は一つの感情というより、どれが一番強いかはあるものの色んな感情が折り混ざっていると私は思います。

なんとなくこの冷たい発言って、百目鬼の本心が垣間見えてるような気がします。

『誰とでもいいのかと思いました』の発言も、《誰でもよくないと言って欲しい》《俺だけを求めて欲しい》と言ってるように聞こえます。でも遠回しすぎて冷たくなってる。

んー今までの百目鬼だったらストレートにいうと思うんだけどなー。百目鬼も結構感情的になって、こういう攻め攻め発言になってるのではないでしょうか。百目鬼も八代のこととなると余裕ないんだと思います。一度失敗してますしね。

百目鬼『勝手ですね』
八代『あーそうだ 俺は昔から勝手なんだよ 知ってんだろ』
百目鬼『知ってます 少しも変わらなくて苛々します』
八代『…あっそ』

ここの掛け合いも好きですねーー
いやもうすき

ここも百目鬼の『少しも変わらなくて苛々します』も本心が現れてるように思います。というかこれがもう本心!!
百目鬼は少しも変らず俺のことを見てくれないあなたに苛々してるんですよ!!

もうなんかこれ告白じゃん!!って
八代もあっそってそれ以上深堀しないし、《何に苛々するわけ?俺が誰としようとオレの勝手だろ?》くらい言えそうなのに。

それになんかヤる流れになってるし。
ちゃんと聞けよ!!話せよ!!

お互い怖くて相手の本心を聞きたくないのか、話が逸れていく感じがしますね。。もっと素直になって欲しい。二人とも。

話が上滑りしているような、本音を避けて、お互いを罵り合って、望んでない形で身体を重ねようとするのがね、、八代も百目鬼も傷付いてると思う。私も悲しい

うーむ、この状況を打開するにはものすっごいピンチがないと無理そうですな。相手を失ってしまうような、後にも引けないような、ここで決断しなければもう一生取り返しのつかないような、そんなギリギリに追い込まれるような出来事がないと二人の関係は進まないように思います。


そして

八代『さっさとやれよ どうせ…』
百目鬼『…なんですか?』
八代『なんでもねぇ 早く済ませろ』 
百目鬼『済ませるのは俺じゃないですよ』 
八代『…は?どういう意味だよ』

ここの口で手袋を取る百目鬼めちゃくちゃえろい。。えっちすぎる。。すき

好きな人がしてくれるんだから喜んでするのもありだと思うのですが、やっぱり好きな人には好きになってもらいたいものなんですよね。うんうん。

八代は百目鬼に片思いしてると思ってて、打ちひしがれてるし、それなのにカラダだけは相手しますよとか言われても、もう1ミリも期待もさせないで欲しいだろうなぁと思いました。

好きな人に身体の相手されたら、そりゃ好きになるだろ!期待するだろ!諦められないだろ!おい!百目鬼!罪だなお前

そして、前とはちがう触り方の百目鬼に《女か…》とショックを受ける八代

百目鬼が女性と身体重ねているところを想像してしまいます。

それでハッとした表情を見せる八代
おそらく勃ったのだろうと思います。

八代がなんで百目鬼が女性と身体を重ねてるところを想像してて感じたのか、ちょっと分からないのですが、百目鬼から好意を向けられて抱かれる女性と自分とを重ねて、想像の中での百目鬼に好意を向けられて抱かれたことに嬉しくて感じたのかなと思いました。(ここはちょっと私もしっくりきてないです)

なんというか、八代って好きな人が切羽詰まって感情を露わにするところを見るの好きそうですよね。

高校時代の影山の父の葬式に行って、泣きそうな影山を見て興奮してましたしね。

あと百目鬼の妹に『お兄ちゃんはインポになって困ってる』って言ってやったと百目鬼に言った時の百目鬼の怒った表情にゾクゾクしてます。

『お前ってそうやって怒るんだな』と、人が感情を露わにするところが好きというか性癖だと思います。

八代は人の感情を剥き出しにしてるところを小さい頃から向けられ、ある意味人間の露わになった感情に慣れていたので、どこか達観していて大人な部分があるように見えます。影山との高校編を再読してよりそう感じました。

また養父や大人達に犯されることは、精神面で八代が上です。養父が剥き出しにする感情を八代が受け止めてケアしてるのだから、八代に依存してるわけです。子供の八代が親の面倒を見てるわけです。親子が逆転してるんですよね。

実際は共依存だと思います。八代も自分を必要としてくれる人を求めていたと思います。自分を痛めつける行為であっても、必要とされるなら受け入れていました。辛いことですが… 自己犠牲してでも子供は必要とされないと生きていけませんから…

なのでそういう感情を露わにするという行為に可愛い、甘えてる、俺を必要とされてると感じて嬉しいのかなと思いました。

前にも『お前がヤリたくてしょうがねーって顔すんのちょっと見てみてえな』と言ってましたし、おそらく自分に向けられるのは気持ち悪いけれど、好きな相手が必死になってるところは見たい、リアルで向けられるの好意は無理だから、自分ではない誰かに向けた好意を想像で自分に重ねてるのかなと思いした。

自分へ向けられた好意は気持ち悪いけれど、他人に向けられた好意であれば自分は傷付かないし、気持ち悪くないんですよね。自己肯定感(自尊感情)が低いタイプは自分へ向けられた好意が、なぜ向けられているのか分からないので、居心地が悪くて気持ち悪くなりがちだと思います。

八代にもそういうところがありそうです。昔、百目鬼の初体験を聞いて抜いてましたからね。八代はどっち側になって抜いてたんだろう… 女性側だよね?
ちょっとここちゃんと聞きたい。
百目鬼の初体験を奪う妄想して抜いてたとしたらめちゃくちゃ可愛いですね。

この文章を書きながら1巻~4巻をさざっと読み直していたのですが、昔の八代も百目鬼も素直ですね。もうすごい素直。ほぼもう好きじゃん。言ってるじゃん!みたいな。

今のようにわざと相手を突き放すようなそういうことは言わないんですよね。あぁすき。でも八代も百目鬼も素直すぎて、危うくて(傷付きやすくて)見ていられなかったです。

全然あの頃は純粋だったな…と読み直して思いました。めちゃくちゃ純粋だし素直です。八代は百目鬼に可愛いとか言うし、百目鬼は八代に綺麗ですって言うし、八代もぽろっと本音を漏らすし、それで今のように意地もはらないし、どう見たってラブラブなんです!!なんで早くくっつかないんだ!だからこじれたんだぞ!

八代も百目鬼も昔は純粋にお互いを思っていたように思います。昔は八代だって百目鬼にされるの受け入れてたし、、百目鬼だって素直に好意を隠さずしてたし!勃つことは隠してたけど、今みたいに好意を隠すために冷たいことは言わなかった!!

元の百目鬼が恋しいです。八代も昔みたいに素直になって欲しい。。


話がだいぶ逸れましたが本編へ

百目鬼に触られてすぐに果ててしまう八代
溜まっていたんですかとまたまた冷たい事を言う百目鬼

八代『…っ お前こそ随分お盛んなことで』
百目鬼『なんのことです?』
八代『女だ女 いるんだろ?』
百目鬼『さすがによく気づきますね』

と百目鬼に背を向けて答えられ、悲しげな表情をする八代。百目鬼に女性の影があることにショックを隠せません。

それと百目鬼、彼女がいることは嘘なのでは?と思いました。前に組長に女はいないと答えてましたし、なんとなく百目鬼が嘘をつく時は顔を逸している気がします。前にもそんなシーンがあったような…

しかし、そんな落ち込む矢代にまだですと追い打ちをかける百目鬼。またまた強気百目鬼です。

後ろの穴をいじられて快感に悶える矢代


百目鬼『縛りましょうか 好きでしたよね』
矢代『ざけんなっ…っ』

百目鬼のインポが治って矢代に勃つことがバレれ、あの日身体を重ねたことが、二人にとってはターニングポイントだと思います。

あの日以前は百目鬼は決して矢代が嫌がるようなことはしませんでした。本当に素直で矢代を一途に思っていました。
それを変えたのがあの日の出来事だと思います。その日から二人は変わってしまったのです。


『もうい...っ』と矢代がいい行為は終了
もの悲しげな矢代の背中を見つめる百目鬼
そっと矢代の背中に手を伸ばすものの、触れずに『帰ります』と一言

矢代はまだ火照った顔です。物欲しげな表情でまだ本当は足りないと言ってるように見えます。

そこに百目鬼

百目鬼『ウチと仕事してる間は俺で我慢して下さい』

と、また矢代とは仕事として付き合っているんだと線引きする百目鬼
ウチが強調されていて《もうあなたの部下ではない》と矢代への慕っていた気持ちもないかのような言葉にも聞こえます。 

火照った矢代の顔も一瞬でいつものような冷めた表情に変わります。

そしてまた仕事の話をする百目鬼

百目鬼『井波に情報流す気だったんですよね それとも一切の利害関係なくあの男と会ってるんですか?』
矢代『…そこはお前に関係ないだろ』
百目鬼『そうですね』

やっぱり百目鬼は他の男に会って欲しくないようですね。『ウチにとっては大事なことです』とあくまで仕事上関わられると大変だと言っているものの言い訳のようにしか聞こえない。またウチを強調するし、《矢代とはもう別々で何も思ってませんから》と言わんばかりに

そしてまた『引いてください』と言い部屋を出る百目鬼でした。

置いていかれた矢代…
冷めた表情から手が震え、目を覆い隠し『笑える』と一言。矢代が笑えるっていう時は笑えないことなんだよ。。

百目鬼には愛も憎しみも嫌悪すら何も感じないんですよね。ただ何も思っていないような、"無関心"であるように感じます。

それは矢代にとってとても切ないことだと思います。今まで矢代を物のように扱った男たちと同じような軽蔑の目も感じません。そんな軽蔑の対象に勃つお前らを軽蔑してるのが矢代だったのですからね。それすらもない。ただ怒りと突き放すそうとする距離は感じる。矢代にとっては向けられたことのない感情です。

そしてまた矢代に対して、『仕事上俺で我慢して下さい』と。でないとウチが困るのでと。組のためにやってることだと強調するんですよね。しかも矢代の組じゃなく、全然知らないとこの組のために頑張ってて、あんなに慕ってた百目鬼がこんなに変わってしまってショックだったと思います。

矢代のこの『笑える』は《俺の身体はあんなに興奮して感じるのに 百目鬼には全くその気はないんだな 笑える》と自嘲して言っているのと、《あいつのところに止めて俺でいいですよねなんて言ったくせに 今度はそんな冷たいこというのかよ お前にとっては下のお世話も仕事なのかよ 笑える》と百目鬼の発言に対して言ったとどちらとも取れそうです。

ただ矢代にとって、最後の百目鬼の発言は受け入れがたいことであったと言うことはたしかです。矢代にとっては《手を引く》=《百目鬼とも関わらない》なので、それを百目鬼から言われたら百目鬼は矢代と関わりたくないと言ってるようにも聞こえてそうです。

百目鬼は言葉で突き放すんですよねー。行動は全然突き放してないのですが。むしろ、《俺を選んで欲しい》《俺だけといて欲しい》と言ってるような行動なんですよね。

発言と行動がちがはぐなんです。言葉では理性でコントロールできるけれど、いざ行動となるととっさに《井波のところに行って欲しくない 好きだから》と本心で行動してるんだと思います。そのあと言葉で冷たくして誤魔化すという。

もーだめだぞ百目鬼 

つづく

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