③ ―1 ヨーロッパ最北地 ノールカップ

ノールカップは、ノルウェーの北極圏の最北地にある。
かつては、サーメ人が生け贄を捧げた場所だった。
サーメ人とは、スカンジナビア半島北部ラップランドと北部ロシア一部に住む少数民族である。
次回のサーリセリカ編に紹介します。
 
ここに辿り着くには、やはりバスしかなかった。
アルタを2:30発に乗り込んだ。
そして、ホーニングスヴォーグまでは4時間のバス移動が必要だった。
ホーニングスヴォーグは、マーゲロイ島にあり、海底トンネルでつながっていた。
ノールカップの目的は『沈まぬ太陽』を見ることだった。
そこまでのバス便は、一日2本しかなかった。
到着日は、ホーニングスヴォーグのユースホステルに泊まった。
海が見える場所にあり、清潔で綺麗だった。


ホーニングスヴォーグは、この島の唯一、町といえるところだった。
この港には、沿岸急行船も寄港していた。
そのためかいくつかの土産店もあり、船の到着時にはそれなりに賑わっていた。
だがその船も去っていくと、町はガランとし、通りには人の姿はなかった。
少ない地元レストランで、トナカイステーキを食べた。
どの店にも大きなストーブが設置されていた。
6月なのに、ストーブは赤々と燃えていた。
トナカイステーキは、和牛ステーキと比べれば、固くてボサボサ感があった。
料理も凝ったものはなく、素朴さがモットーだった。
 
翌日は、バス発車時間まで、散策をした。
だが、外気は寒くすぐに案内所の店内に、避難してしまった。
バス停の場所が、案内所の前だと案内所のスタッフに聞いていた。
そこであれば、店内にいてもバスが見えるはずだった。
だが、発車間際になっても一向にバスの姿はなかった。
不審に思い、外に出て周囲を探した。
すると案内所のビル横にバスは、止まっていた。
もう少しで、バスに乗り遅れるところだった。
このバスに乗れないと、スケジュール上、もうノールカップには行けなかった。
北欧を旅して感じたことに、案内所のスタッフが、あまりにも情報が知らないことだった。
もう何度もバス停留所を間違って教えられたり、バス停の場所さえ知らなかった。
自力で何度も住民や、バスのドライバーに聞いて、探しあてていた。
アビスコでも、教えられたバス停で待っていたが、バスは来なかった。
遠くの道路沿いにバスが止まっていたので走って行くと、そのバスだった。
重いスーツケースを引っ張って走ったものだ。
フロムでは、インフォメーションの係りの人に何度も聞くので、最後にはシカトされてしまった。
ありえなかった。
旅行者にとって、案内所が頼みの綱だ。
そこで情報が得られなかったり、シカトされたら、どうやって旅行ができるだろうか?
 

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