南欧 古城ホテルで王侯気分に
展示会終了の翌朝は、新幹線に乗っていた。
この新幹線のチケットはネットで調べ、日本で買った。
飛行機のように早割りがあったり、乗る時間によっては大きな割引もある。
安いものでは半値以下にもなる。
日本の新幹線・JR鉄道は高すぎる。外国の列車は、格段と安い価格設定だ。
その日から、南仏旅行が始まった。
その日は古城ホテルに泊まる予定だった。
「一点豪華主義」という言葉が、一時期はやったものだ。
私の旅行は、超貧乏旅行が定番だ。
だが、どこかでミニ豪華を入れている。
その一つに古城ホテルがあった。
パリから2時間40分で、アヴィニヨンに着いた。
そこから列車を乗り換え、アンティークの街として有名なリル・シュル・ラ・ソルグに行った。
リル シュル ラ ソルグは、南仏プロヴァンスの玄関口だ。
アヴィニヨンから東へ20キロ程の行った小さな田舎町だ。
毎週日曜日に運河沿いのQuatres Otages通りに、蚤の市が立つ。
だが、行った日は月曜日だった。
蚤の市はなかったが、ソルグ川の支流に囲まれたこの町には、周囲を水路が取り囲み、水受け板付きの水車が、随所に残っていた。
その運河が何本も縦横に走り、独特の雰囲気が町の美しさをかもしだし、
建物と水路と風車が、とても似合っていた。
席から、水のせせらぎが聞こえ、水草が生える運河沿いのレストランで、ランチをした。
せせらぎの音とプロバンスの明るい陽光とその光に輝く緑の中でのワインは、さすがに美味しかった。
食後は、南仏伝統のキルトを売るブティクを覗いたり、17世紀の素晴らしいオルガンがあるロマネスク様式の厳かなノートルダム・デ・ザンジュ教会を見学したり、運河沿いを散歩したりと春のブロヴァンスを楽しんだ。
町の案内所でタクシーを呼んでもらい、古城ホテルにむかった。
町から丘稜に向かった。
この古城ホテルは800年前に建てられ、アヴィニョン法王が所有していたこともあるシャトーだ。
2000年にオーナーが買い取り3年半かけて改装後、オープンした。
客室は、プロヴァンス風でありながらもラグジュアリーで、雑誌から抜け出したようなインテリアが各室に置かれ部屋、部屋の特徴をなしていた。
その日のシャトーは、わたしたちだけの貸切となったので、各部屋の見学をした。
スイート部屋は天蓋があり、猫足のバスタブもあり、貴族気分だ
わたしたちの部屋は一番ランク下だったが、それでも中二階がありそこにバスタブがあった。
太い梁が天井が横切り、オーナーのセンスのよさが光った。
各部屋にはバルコニーもあり、椅子に座って丘陵に広がっているぶどう畑を見下ろしながらのおしゃべりは贅沢な味がした。
このシャトーはプロヴァンス最古のお城で、庭やシャトーをおおっている古い石垣がなんとも趣深かった。
中庭に出ると、ちいさなプールまであった。
夕食は、中庭のぶどう棚の下だった。
夕闇のオレンジ色のなかでのワインは、最高だった。
オーナーシェフの自慢のブロヴァンス料理は贅沢な中にも家庭的雰囲気で、こころもとろけていった。
ほろ酔い気分で、アンティークな家具とインテリアに囲まれた居間でのワインも、このシャトーにピッタリだった。
翌朝の朝食も、庭だった。
明るい日差しと澄み切った空気の中での朝食は、王侯気分を満喫できた。
焼き立てパンと新鮮なヨーグルト。
さらに色んなチーズは極上の味となった。
手入れされた花壇やブドウ棚や、丘の上から見下ろす牧場の白馬、
朝日が山の向こうから差し込んで、ずっと眺めていたいような光があふれていた。