お城のある街にて
〈私〉の輪郭を失い、失ったことを今度は輪郭にして再起を図った私でしたが、それも世間さまのまなざしの下では、しだいに色褪せ、期限切れを迎えていきました。
そういう目に実際に遭ったのではなく、自分の中でそういう感覚が少しずつ育っていったのです。
医学のお墨付きで、負債は帳消しにしてもらったとはいっても、それは通院中には有効なものであって、離れた後〈重度身障人の私〉はその輪郭を曖昧にしていきました。
曖昧になるがゆえに、私は癇癪を起し、荒れる日々を送りました。
荒れる自分を距離を置いて見つめている自分がいることに、よけい癇癪を起したり。
消されたはずの負債は、むしろ違う風に増えていくのだと、その後いっとき机を並べることになった、名門出たてのおぼっちゃんおじょうちゃんたちと同じ空気を吸いながら感じました。
整体学校にいたときより、もっともっと苦しい、息ができない。
二日目終了時で、ダウン。