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mirecat
【詩】長いため息 二篇
月も
星も
そこにあって
わたしを見ている
地球上の
生命に眼差しを送り
ひとつひとつの
生命の瞬きを
受け止めている
その眼差しは
わたしに向けられ
わたしの瞬きは
確かに届いている
見上げる夜空に
確かにあると思えるものと
この地上にいるのに
確かではないと思うものと
滲む夜空は
優しい吐息を漏らすのに
凍てつく地上で
瞬きが零した
ため息は
長い尾を引く
氷の雫になって
あてもなく
流れる
*
この地上では
眼差しも
瞬きも
通い合うことはないから
だから
長い長いため息を
あなたに届けます
長い長いため息に
あなたの幻を乗せて
あなたに
全て
返したい
わたしの心に
住まわせてしまった
あなたの
全てを
返してしまいたい
ため息でも
送り出せないものが
残ってしまったなら
あなたを思い切り抱き締めて
わたしの中にいる
あなたを
全て
返してしまいたい