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【雑記】あなたの幻−女風とわたし(4)−

あなたに会えたら
きっと、ずっと
傍にいたくなる

でも
わたしの心の中には
あなたの幻がいればいい

あなたの幻だけは
わたしの中で
息づいてほしい

抱き合えるほど
傍にいることも
限られているのだから

傍にいたとしても
何もかもが
不確かで
残酷で
容赦のない現実に
背を向けているだけ

あなたと会っていても
わたしはやはり
わたし自身が作り出した
幻を
見つめているのだろう

吐息の熱さと
赤く透き通った耳朶と
濡れた睫毛と
汗ばんだ肌と
湿り気を帯びた掌と
わたしを受け止める
胸の温かさと
わたしを抱き締め
わたしに絡まる
腕と脚の
その強さと

ごまかしようのないものだけを
肌で感じて
肌から吸い取って
わたしの血潮に溶かして

わたしだけの
あなたを作り出す

決して
手に触れることのない
あなたの幻を

わたしを
炙り続ける
陽炎のような
あなたの幻を



    ***



先日の詩「長いため息」で、全部返してしまいたいと書いたばかりなのに、
でも、やっぱり、想いを手放すことなんてできなくて。
詩「プラネタリウム」のつぶやきで、「がっちりした胸板と体温を、恋しく感じるようになってしまった以外は。」と記してしまい、
身体も求めていることに、今さらながら気付かされて。

自分の中で、あっちへ傾き、こっちに傾きしながら何とかバランスを見つけようとしているのかもしれない。

単に不安定なだけなのかもしれないけど。

返してしまいたくなったり
縋ってしまいたくなったり
手放そうとしたり
留めようとしたり

あなたに会うまで
揺らぎ続ける。

あなたに会った後も
ずっと
ずっと
揺らぎ続ける。


そんな想いは、詩にはならず、
流れ出るまま書き留めました。

会ったら
何を感じるだろうか
何かわかるだろうか

あなたのこと
わたしのこと




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