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【詩】言葉の折り紙 三題
言葉を折る
言葉を送らないと決めて
言葉に埋もれるわたしは
手遊びに
言葉を折る
言葉を届けないと誓って
彷徨い出る
言葉を折り
待ち人のない舟をつくる
溢れ出す言葉に
溺れてしまわないように
言葉を折り
ゆくあてのない舟をつくる
月のない夜
言葉でざわめく舟を
そっと抱えて
星の林を縫ってゆこう
言葉に折る
わたしの中の想いを
折る
折りたたみ
言葉という形にする
不確かな想いたちは
言葉になった自らの姿に
驚くだろうか
言葉になった途端に
それはわたしの姿ではないと
言うだろうか
絡まりあう想いは
解こうとしても解けず
混沌とする想いは
分離しようにも純粋なものは
たったひとつですら抽出できず
いびつでざらりとしたまま
指先をちくちくと苛み
血を滲ませた指が
ようやく
言葉にした想いは
お仕着せの形に
なかなか
馴染めぬようで
容易く
触れられることに
抗うかのようで
言葉のうちで
ざわざわと蠢き
ちくちくと針を出し
自らの形になろうとする
無題
月のない夜に
地の星々の林を縫い
空の星々が一面に零れる
湖をたずねよう
言葉を折った舟に
想いを折った言葉を載せて
祈りを込めて浮かべよう
地と空の間で星々が奏でる調べに
言葉たちのざわめきが溶けゆくように
抗う想いが自らの形を見い出せるように
言葉の折り紙
ふと浮かんだこの言葉で詩をつくってみよう、と思い立ちました。
でも、言葉の折り紙って、
言葉を折るのだろうか?
それとも、
言葉に折るのだろうか?
言葉を折るのは、折り言葉になるのだろうか?
ツルの折り紙とか兜の折り紙と言うように
何かを折って言葉を作るというのが
“言葉の折り紙”の正しい用い方なのかも。
折るのは想い、気持ち、感情…、
言葉になる前の混沌としたものたち
それらは、言葉という形になって
触れることができるものになるけれども
それは、それらが
本当に望むものなのだろうか?
言葉を折って何かの形にするのと
何かを折って言葉の形にするのと
どんな違いがでてくるのだろう?
その違いがどんなところに
わたしを導いてくれるのか、
行く先がわからないまま、折ってみました。