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Photo by
sirasagijyousyu
【詩】優しい雨(2)
あなたとの約束の日
わたしという形を
送り出します
何も入れずに
約束を果たすために
送り届けます
本当のわたしは
身動きがとれないから
檻の中で膝を抱えて
水底に沈んで
影に縛り付けられて
あなたを想うという
幻の城から
まだ
抜け出せそうにない
だから
ガラスの瞳を嵌め込み
ねじ巻きの鼓動を打つ
わたしの形を送り出します
あなたは
きっと
知らないから
檻の鍵は
あなたが持っていることを
わたしが
そっと
あなたのポケットに
滑り込ませたことを
気まぐれなわたしを
あなたに
委ねるために
だから
あなたの精一杯の
慈しみの雨をください
空っぽの器を
優しい雨で
満たしてください