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【詩】“接吻”ロダンとカミーユ

唇を求めて
身体は縄のごとく
あざな

決して離れない
決して離されない

人びとの
眼差しに
さらされながら

白い肌に
滑らかに
光をまとい

合わされた唇は
二人の中に
永遠に秘される









“口づけ”というテーマで続けて、二篇を形にしました。コメントの中で、「キス」と「口づけ」と「接吻」、それぞれの、質感、湿度、温度…が違うよね、という話になって。対象になるものや相手との関係性、自身の体験や映画や小説、漫画、アニメ、絵画など、さまざまな要素が絡まりあって、思い描くイメージもそれぞれなんだろうな、と思いました。

“接吻”といえば外せないのが、ロダンの彫刻。
学生の時に見た映画「カミーユ・クローデル」のカミーユを演じたイザベル・アジャーニの清冽で凛とした美しさは忘れられません。ロダンとの出会いの時に着ていた黄色いドレスが何故か目に焼き付いています。
二人が出会ったからこそ生まれた男女の性愛の作品群。

2018年に、横浜美術館で「ヌード」展が開催され、英国Tate収蔵品の“接吻”が展示されました(ヘッダーで使わせていただいた写真も、その時に撮影したものと思われます。大理石の“接吻”は、日本では初めての展示でした。)。
その時に、塩出麻美さんが書かれたレポートの中の、「(唇の)結合部は隠され、たとえ覗けても、そこに形状はありません。対して、それを隠す「二人の身体」は、赤裸々に観察を許します。」という記述に、この彫刻に秘められた想いに触れたように感じ、詩の形にしてみました。

〈塩出麻美さんのレポート〉






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