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【雑記】わたしが女風で求める快楽(6) 〈喉奥の扉編〉

挿入れてほしい」
上に乗ったわたしは、ソーマさんの目を見下ろして、言った。
「えっ!?何て?」
少し焦るソーマさん。
「…、口に。」
ソーマさんが、安堵したように、笑みを浮かべる。 
挿入れたいの?」 

   *

イラマチオ。
この会話の前に、初めて、ソーマさんのものを、喉奥まで受け入れた。

ソーマさんとの7ヶ月ぶりの4回目の時間。

前回のようにソーマさんのものを飲みたくて、1回目は、ソーマさん自身が手コキして(わたしのフェラが上手くいかなくて、ソーマさんも参戦してくれた…。)、わたしは咥えて刺激して、何とか成功した。
前回はすぐに喉奥に流れてしまって味わえなかったけど、ぬるっとした感覚、ちょっと濃いめの味を味わえた。本当に一口味わうぐらいしか出ないんだけど。

2回目は張り切ったものがさらに膨らむ感じはあるし、ソーマさんも気持ちよさそうにはなっているけど、上手くいかない。「今日は2回目だし、自分でやってもなかなか出ないんだよね。」とフォローしてくれる。

仕方ないかな。フォローしてくれてありがとう。ソーマさんの胸に縋る。
「んっ、じゃあ、こっち来て」

仰向けになって、ベッドの端から少し頭をずらす。

ソーマさんがベッドから降りて、頭の後ろに立つ気配がする。

これは、もしかして…。
たぎり勃ったものが、口に挿された。


   *


ソーマさんとは、2回目のときに軽く入れられたけど、苦しいだけで、どうしたらいいかわからなかった。
個人レッスン中のナオ先生には初回に指を入れられたけど、えづいただけで終わった。

喉奥、自分には無理と思っていた。

でも、今回は、受け入れることができた。
喉奥の扉が、開いた。

喉奥がかぱっと広がって、そこに固く、柔らかくて温かいものがすっと収まってくる。

口の中は頬張ったものでいっぱいいっぱいになり、唇は根元の柔らかな皮膚に完全に密着している。

目の前には、ソーマさんのつるんとした股とお尻の割れ目しか見えない。綺麗にしているんだな…、そんなことを思う余裕もあった。

唇に感じる柔らかさ、口の中の温かさ、そして、ソーマさんの亀頭は、そこから何かいたずらな触覚が伸びてきているかのように、奥を探査するようにさわさわと喉奥をさすり、わたしは、ソーマさんのものをとらえようとする。

不思議とえづかない。いや、上手くいかないときはえづくのだけど、ぴったりとはまった時は、喉奥に当たっている感覚がわかり、その感覚にじんわりとなる。

苦しくないわけではない。でも、単に苦しいというのとも違う。息ができない中で、喉奥にソーマさんのものがあることをイメージできるし、その感覚を味わっていた。
 

ソーマさんのこんな長いものが入ってしまうなんて。

それも、まるで、わたしの喉がソーマさんのもののために誂えられているかのようにぴったりと、隙間なく、奥まで。

ソーマさんの形になっているよ、わたし。

   *


ソーマさんは、優しく、ゆっくり、そして容赦なく奥まで挿し入れ、喉奥を探査し尽くし、感覚を楽しむとすっと抜いた。

わたしは、ベッドの縁から仰向けに頭を垂らしたまま動けない。

ソーマさんがそんなわたしをそっと抱き上げる。「いい感じにクタッとなるね。」と嬉しそうに微笑む。

そう。全身の力が抜けてしまった。
こんな感覚は初めてだった。
ソーマさんのものが抜かれると同時に、精気も抜かれてしまったようだった。芯が無くなって、力が全く入らなくて…。

伸びきってしまっているのとは違う。
固くななものが溶けて流れ出てしまったように、自意識も、わたしという存在の形も失くなって、ふわふわしている。

何かとても温かいものに満たされている。何かとても温かいものの中で、ふわふわと浮いている。

これは、何だろう。
異次元の扉を開けてしまったようだ。

そんなわたしをソーマさんが抱きとめてくれているからか、全てをすっかり委ねている安心感に包まれる。ソーマさんの温もりと少し速めの鼓動だけを感じている。

今、わたしは、ソーマさんが抱きとめた形になっている。

   *


ソーマさんは、喉奥を侵すとき、容赦がなかった。優しいのに、容赦がなかった。

わたしが扉を開けるまではやめないよ、というような、有無を言わせない圧倒的な意思、支配感を感じた。

今回のリクエストは、恋人のように甘々で、でも刺激が強くないとダメだと思うから、ちょっといじめてみましたをメインに。もう、やめてというくらい。言わないけど。わたしがやめてと言うかバトルもいいよね。とも送っていた。

いつも、混ぜっ返したような、少しふざけたリクエストを入れてしまう。

ソーマさん、ちゃんと読んでくれてたのかな。バトルに乗ってくれたのかな。

挿されると、衝撃で、漏れてしまう。出ちゃった…と思っていると、さらに挿し込まれて、咥えたままえづいてしまうと、鼻からも出てしまう。涙も流れてしまう。

ひどいことになってない!?これ?

息ができなくなってもがくと、ソーマさんが一言、言い放った。

ダメ

ソーマさんが、ダメって言ってくれた…、初めて。
その言葉を聞いた途端、身体が震えた。
身体の中に電撃が走ったかのように。
この言葉が欲しかった!
そう思った。
ソーマさんの確かな意思を感じさせるもの。

ソーマさんは性感中、そんなに追い込むようなことをしてこない。縄の時でも、優しい目をして気遣いながら縛ってくれる。優しいけど、でも、物足りなく思っていたのも事実。

ソーマさんが責めようとしてる…。
わたしに命令してくれた。
我儘なわたしを罰しようとしてくれた。

もうすぐ扉が開こうとしているのに、ここでやめたらダメ、のダメ?

喉奥の快感を味わいたいのに、ここでやめたらダメ、のダメ?

わたしの快感のため?
あなた自身の快感のため?

どっちでもいい。

たった1回しか言ってくれなかったけど、
確かなものを感じられたのが嬉しかった。

どんな顔で、どんな目をして、ダメと言ったのだろう。

今度会った時もダメと言って欲しい。

わたしの目を見て言って欲しい。

ダメと言いながら、我儘なわたしを罰して欲しい





容赦のない優しさ。

まだ、喉奥に扉があることに気付いていなかったとき、ソーマさんのものを咥えながら、入り切らないものをどうしていいのかわからなくてとまどっていた。

「喉を開いて」の言葉に、わたしの喉は魔法に掛けられたかのように、その扉を開いた。その言葉が扉を開く呪文だったように。

扉を押し開いてしまうこともできただろうに。こじ開けて、壊して入ってくることもできただろうに。

わたしが自ら扉を開けるように導いてくれた。容赦なく。

それがあなたの優しさ。

   *

わたしの身体はなかなかイッてくれない。

昂る前に潮が出てしまうから、たぶん、それで身体が緊張から解放されてしまうのかなぁとも思っている。潮が出ると、身体が緩んでしまうのがわかる。だから、あまり出したくないんだけど、ソーマさん、潮が好きだからな。

今回のソーマさんとの久しぶりの時間では、少し触れただけでも電気が走るみたいになるのでは、と思っていたけど、やはり感覚を受け止める力、掴みに行く力が弱いのだろうか。

気持ちよくはなるし、刺激されていっぱい叫んではいるけれども、それは快楽に至る序の口で、小さな灯火を手渡されたようなもの。

身体の中に仄かに灯った火を消さないように大事に包んで、自分で火を熾すように、身体を緊張させたり、子宮に意識を持っていったり、セルフのように自分で膣をキューッと締め付けながら、ふるふると身体を震わせるぐらいが精一杯。

セルフでは膣がひくひくしたり、子宮が震えたり、ようやく身体もビクビクする感じがあったりしていたのに、そういう兆候すら起こらない。
気持ちはいいよ、とても…。だけどね。

ソーマさんが悪いわけではないし、わたし自身もどうしたらいいのかわからないし、ソーマさんの胸の温かさを感じながら、また、このまま終わってしまうのかな、と思っていた。

ソーマさんが招いてくれた、喉奥の扉の向こうに広がる異次元の世界。

身体の悩みはありつつも、こんなふうにソーマさんを招き入れることができるなら、ソーマさんの意思を感じながら形を失くすことができるなら、形を失くしたわたしを抱きとめてくれるなら、それでいいのかも、と思える。

   *

その後も、失敗を重ねながら、喉奥にソーマさんのものを受け入れた。

これ、癖になってしまう…。

スポッとはまった時の「上手くできた!(上手く扉を開けた!)」というような単純な達成感みたいなものもあるけど、
それより何より、終わった後のクタッっとなった自分の身体の状態が、今までに経験のないほど心地いい。

クタッとなった身体を、繊細なものを扱うように掬い取って、引き寄せて、抱いてくれる。とても大事なものを扱うように。こんなに大切にされている…。慈しまれていると実感できる。
ソーマさんの胸にぴたっと抱き寄せられていると、少し早く打つ鼓動を感じる。それも嬉しい。

ソーマさんは、イラマチオは、亀頭の先端が狭まったところに入っていって、行き止まりに当たるような感じが、他と違って気持ちいいと言っていたけど、わたしは逆に空間が広がる気持ちになる。
扉の奥にある、わたしの知らなかった空間。

喉奥にある扉。
わたしが、この扉を開けて招き入れられるのは、ソーマさんだけ。
今、この扉を開けて入ってこられるのはソーマさんだけ。

わたしにとって、ソーマさんとの大切で確かな繋がりができたように思える。

扉の奥の空間。
昼間に見たプラネタリウムの星のように、どんな宇宙が広がっているのだろう。
わたしの喉奥の暗がりに、何が潜んでいるのだろう。

戻れない扉を開けてしまった。




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