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仮の夜に 身を預けても 啼けぬ鳥 心の檻に とらわるるかな
手放そう こだわっていたもの 欲しかったもの 思いだけなら もう手放してしまおう 自分が手に…
あなたは わたしを 固結びの紐、と喩え 一本一本 解いていきたい と語る 固結びの紐の中に …
しあわせですかと 自分自身には もう問わない 答えのない問いは 果てのないループに 絡め取ら…
しあわせですか と問いかけられて なぜ こんなにも 涙が溢れるのか 忘れていた とても大事な…
葦舟で届く手紙は いつも 真っ白で 初めのころは 言葉が流れてしまったのだろうかと 思い悩み…
行間を読め、と 語られないものが そこにあるかのように 教えられた 行間は単なる空白でなく すでに何かに満たされていて 何かが隠れていて 溢れ出すのを 見つけ出されるのを待っている 今までは 何の疑いもなかった 言葉と言葉の奇跡的な連なりは 愛撫のように わたしを誘ってきたから だけど どうしても埋まらないものがあるのだ わたしが音にしたい言葉 文字にしたい言葉 しぐさで表したい言葉 その言葉と言葉の僅かな隙間は まるで 宇宙に瞬く 星々の距離のよう 互いのこと
まっさらな夜空に まっさらな月が 貼り付いて 一筋の迷いもなく 真っ直ぐに 届く輝き あまり…
わたしのポストは 湖の中 配達員は 向こう岸から 手紙を葦舟に乗せて 送り出す 葦舟は 月の…
昼月の 褥に降りる 霧の帳 みだれし髪に 濡れかかりたり
ほんのすこし むかしのこと 見つけて欲しいから 隠れてみた 誂えたような窪みに すっぽり収…
脇道が好きだ 通りから脇に延びる 細い路地 連なる軒が 手を差し伸べるように 影をつくり …