第3週のあれこれ

まずはおさらい

 シカゴで行われたテキサンズ対ベアーズ、結果は20-23で惜敗。スプレッドはテキサンズに+3でした。一般的にホームアドバンテージが3点なので実力はほぼ互角という見立てでした。
 第1Qこそ75ヤードのドライブをTDパスで終えるイイ攻撃でした。が、やはり第4Qで失速(同点なのにパントパントINTって…)し、サヨナラFGで試合終了。初勝利はまたもお預けとなりました。
 
 互いの過去2試合を見た上での試合前の予想では、とにかくベアーズのランが止まらないだろうと思いました。それでもいつか訪れるパスシチュエーションでJustin Fieldsは必ずミスをするとも考えていました。そうでなくともターンオーバーの多いテキサンズD#。今週もビッグプレイが生まれる。Davis Millsは正直頼りないけれどターンオーバーはしない、後押しがあればFG圏内までは進んで、最終的には僅差で試合に勝ってる。そういう予想をしていました。
 しかしDavis Millsは2回もインターセプトされ、こちらが取ったインターセプトはどちらも無得点で終了。予想以上にランを出され、こちらのオフェンスは第4Qの壁をまたも乗り越えられませんでした。

第1Q

 Justin Fieldsのスクランブルでかなりゲインされました。この視点で見てみると画面下の2人のレシーバーはどちらもオープンです。あとから「ここがオープンだったのに!」と主張することはたいてい無意味だと思ってますが、このプレイはそもそも相手のカバーによってこの2人に投げ分けるはずです。パスプロは十分でしたし、このプレイの結果がスクランブルになるのはどうなんでしょうね。昨年から酷い見落としが多い選手です。余計なリスクを背負う分、最後には勝つのはこちらだと思っていたのですが…
 その後テキサンズの見事なマンカバーで2連続パス失敗、FGに抑えて攻守交代。

 ランランときて3rd-4でパス選択、失敗。別にランランパスがダメとまでは言わないですよ。チームにはそれぞれの戦い方があります。要は攻撃が止まらなければ何でもいいです。ではこのプレイはどうかというと、少なくとも僕は嫌いです。開幕戦から、似たようなパスで更新できず三凡というパターンが多くないですか。すごく既視感があります。2nd-6でランを選択した時点でこのシチュエーションは想定してるはずです。なのに特に工夫のないパス、オープンになれないレシーバー。QBがMillsじゃなかったらなにか違う結果が生まれるんですか。この試合最初の攻撃でコレではなんともガッカリです。

 攻守変わってベアーズの19ヤードからの攻撃はほぼランだけでタッチダウンされました。パスは5ヤードの1回のみ。41ヤードのゲインとなったジェットスイープはキャリアーのスピードは見事でしたが、そう何度も決まらないプレイなので置いておきます。ただ普通にハンドオフしてるだけで5ヤード8ヤード11ヤードと走られるのはマズイ。

 試合を通して大活躍のJalen Pitreですが、残念ながらこのプレイは最善手とは言えなさそうです。ブロッカーの外から回り込めば、おそらくPitreはOLに突き飛ばされてタックルはできなかったでしょうけど、無人の大外に走られることは無かったかもしれません。あるいは内側の味方のために時間を稼げたかもしれません。ランに強い印象のあるJonathan Greenardはキッチリ処理されちゃってますね。それとやはりThormas Bookerのランブロックは成長に時間が必要そうです。LBに関してはいつもどおりOLの対処に苦労してるようです。

 返しのテキサンズの攻撃、3rd-7でまたもパントかと思いきやChris Mooreへのパスが成功、一気に敵陣へ。フィールド左側を見続けたMillsですが、目線を変えMooreがあいていることに気づきすぐさまパス。これまでならカバーされてるCooksに無理投げ、というかサイドライン外に向かって投げてそうな場面です。こらえてくれてよかったです。OLのパスプロも完璧でした。

 Dameon Pierceのランでゴール前まで進み、最後はJordan AkinsへのパスでTD。反撃の狼煙を上げました。Pierceが2人を同時にブロックしてますね。

 続くベアーズの攻撃はなんと2プレイ目でJalen Pitreがキャリア初インターセプト!!Justin Fieldsのパスは不正確でしたが、Pitreの反応とキャッチ力によってただのパス失敗がターンオーバーとなりました。カバー6でしょうか、画面奥のフィールド半分を担当していたはずです。カバーするエリアに2人のレシーバーが走ってくる厄介な状況でしたが、Fieldsの視線からなんとなく心の準備ができていたんでしょうかね。距離を詰めるスピードもダイビングキャッチも全てが最高。

 ルーキーのビッグプレイが作ったチャンス、どうにか点数に繋げたい。Brandin CooksとNico Collinsにミドルパスがポンポンと通ります。昨年からフィールド中央はMillsの得意なエリアです。ナイスプレイコール。

 しかし残念ながらインターセプト。CooksについていたCB、Kindle Vildor?知らない選手ですがピッタリとカバーしてボールに飛びついてます。 Millsの判断やパスは非難されるものではないと思います。ここに投げるようデザインされてると思いますし。ディフェンスを褒めたい。
 ただ気になるのは昨年テキサンズで最もTDしたWR、Cooksが精彩を欠くこと。レシーバーの補強がほとんど無いなか、Cooksが例年通り活躍することは大前提。そのうえでCollinsがどれだけ成長するかと焦点だったはずです。しかしCooksへのパス成功率は半分以下、ブロンコス戦でも通ればTDのパスは失敗しました。あれはディフェンスによるものではなくテキサンズのミスでしたが。3試合が終えて未だにWRのTDは0です。

第2Q

 ターンオーバーされましたが、ベアーズの攻撃はJerry Hughesのサックで三凡に抑えられました。
 しかしテキサンズの攻撃も(ディフェンスのペナルティでノープレイになったのを除くと)5回のプレイで8ヤードしか進んでいません。サックされたから大きくマイナスで、とかではなく。ランが2回で8ヤード、パスが3回とも失敗です。えぇ…
 失敗したパス3回、フィールドを横もしくは斜めに走るパスが全く無いのが気になります。まっすぐ10ヤード走って振り返る…まっすぐ20ヤード走って振り返る…全くオープンになれていません。
 毎回Cooksを大外に置いていますけど、スロットもできるタイプです。去年やってましたし。シフトやモーションも、このドライブは一度もありません。もっと工夫が見たいです。OCは変わりましたけどPep Hamiltonは昨年パスゲームコーディネーターだったはず。昨年よりもパスオフェンスは退化してます。退屈なオフェンスでしたが、今年よりまだマシだったのかもしれません。

 返しのベアーズの攻撃、インサイドのランをKGHがOLをかわして1ヤードゲインに抑え、続くアウトサイドへのランもショートゲインに抑えました。自陣深くの3rdロングを更新することを諦めたベアーズは再度ランを選択しパントとなります。

 このパントでDesmond Kingは31ヤードのリターン!ひらりひらりとタックルを避けて一気に相手の陣地へ。これで敵陣41ヤードからオフェンススタートです。ウキウキでKingに駆け寄っていくルーキーのTroy Hairstonがかわいいですね。

 Dameon Pierceが24ヤードも走ってオフェンスはレッドゾーンへ侵入。Scott QuessenberryとA.J.Cannのプル、Troy Hairstonのリードブロックがお見事。Laremy Tunsilのブロックも凄いです。難易度高そうなブロックですが難なくこなしてます。もう契約更新しちゃいましょうよ。

 
自陣18ヤードからのベアーズの攻撃は5ヤードは必ず進むランとスクランブルでなかなか止まらず。気づけばテキサンズ側の23ヤードまで進まれちゃいました。

 しかし3rd-6でJerry Hughesがサック。Maliek CollinsもいともたやすくOLをあしらっていました。これでFGに抑えることができました。このサックといい、度重なるスクランブルやそれに伴うタックルといい、Fieldsの疲労やダメージは蓄積されていくと思ってました。TDさえ取られなければいいのだと。

 残り1分48秒でテキサンズの攻撃、3rd-1を超えられず三凡。ビックリするくらい投げるところがない。
 その後のベアーズの攻撃も特に何も起こらず。得点されずにFieldsに2回タックルできたのは得したのでは?などど考えてるうちに後半終了。17-13で先行しています。

第3Q

 TE3人のタイトなトリプスからランブロック、と見せかけて1人だけパスコースに走ってる。前半と打って変わってグッドデザイン。送球が進行方向と逆でなければもっと稼げたのに。
 このあと3rd-8で、左から右へWRモーションしてQBが右にロールアウトしながら左へTEスクリーンとか、おもしろかったですけどフレッシュ獲得ならず、FGで攻守交代。
 
 代わってベアーズ。タッチバックで25ヤードからの後半最初の攻撃は、52ヤードのランで幕を開けます。 

 ガッポリと空いた大穴。奥で1人守るJonathan Owensがミスタックルしましたが、誰に阻まれることなくスピードに乗ったRBをこんな広いスペースでタックルできるわけがない。
 LB2人はパシュートしすぎだと思います。(O#から見て)右サイドにD#がいるのに、過度にアウトサイドを警戒して右に走っていった。それで中央がガラ空きになったんだと思います。91番のRoy Lopezが左にチャージしてるので右OGやOTあたりはLBの担当のはずなんです。
 その後はベアーズがTD。逆転されます。

 4th-1をパントフェイクで更新、プレイアクションからNico Collinsへドンピシャのパスなどで敵陣まで攻めたテキサンズ。3rd-7のピンチでワイドオープンのPhillip Dorsettを見つけ15ヤードのゲイン。

 直前までは、奥がカバーされているのでRACに期待してTEに投げるつもりだったんでしょうね。視線の先に運良くDorsettがいたので助かりました。ここ数週でファンからの信用を失っていますが、Millsはしっかり足で地面を踏んで投げれば、それなりに球は速いし本来は精度も悪くないんですけどね。GoodだがGreatではない、経験が少ないこの若いQBを活かすも殺すもチーム次第だと思いますが。

 結局FGに終わり、同点。ベアーズの自陣22ヤードから始まった攻撃はまさかのPitreこの日2本目のインターセプト!

 スナップ直前はスクリメージラインに6人並べPitreも前のめり、Jonathan Owensが奥を守る1-highっぽく見せてます。DLは3人だけ、D#から見て左にJonathan GreenardとMaliek Collins、右の大外にJerry Hughes。最もパスラッシュに優れた3人です。インサイドにはChristian Kirksey、Blake Cashman、KGHの3人。そこからタンパ2。ラッシュはDL3人だけ、Blake Cashmanはおそらくスクランブル警戒でしょう。ライン近くにいたChristian Kirkseyが40ヤード近く走りながらカバーしてます。Pitreも勢いよく後退しレシーバーを迎え撃ちます。Justin Fieldsが奥に放ったパスはオーバースロー。Maliek Collinsがパスプロをこじ開け、QBの正面からプレッシャーをかけていたおかげです。
 完璧にディフェンスの勝利です。パーフェクト。このターンオーバーによりテキサンズは相手陣地から攻撃を開始できます。

第4Q

  重要な場面でサック。やられました。開幕戦から何度か見せてたアンバランスなフォーメーション、RTの位置にPharaoh Brownが、Laremy Tunsilの左にTytus Howardがセットしています。そこからKenyon Greenをプルさせて右へランフェイクからのパス…だったのですがA.J.CannとTroy Hairstonが取り逃がしました。Tytus Howardは1つ内側のギャップの担当だと思います。だから91番はTroy Hairstonがブロックすべきなんですが…ミスマッチじゃないですか、さすがに。OCのお気に入りのプレイなのかもしれませんが、お蔵入りしたほうがいいと思います。
 パスプロが保てばBrandin Cooksが珍しくポスト走ってオープンだったのでFG圏内に行けたでしょうね。

 振り返ったらコレ。レシーバーには投げられないので、Pierceの足元に投げ捨てるのが最善ではありました。でもこのプレイでQB責められないですよ。それどころかTom Bradyだったら味方に怒鳴ってるし、Philip ReversだったらOLの尻を蹴ってます。
 3rd-14でさらに後退してパント。またディフェンスに奮起してもらうことになりました。

 スペシャルチームのおかげで8ヤードからの攻撃を強いることができました。時間は少しかかりましたが、Jonathan Greenardの個人技でロスタックル、3rdロングに追い込んでパントを蹴らせます。残り6分40秒。

 どうしても点が欲しい状況でしたがファーストダウンでDameon Pierceがファンブル。この試合2つ目です。来週以降かなり狙われるでしょう。これ以降Pierceはボールを触らせてもらえませんでした。

 自陣深くでの3rd-10、相当厳しい状況でしたがPharaoh Brownへのパスで30ヤードゲイン。プレッシャーのかからない安全な位置へ動きつつ、レシーバーを探してます。Laremy Tunsilの鉄壁のパスプロ。カットやトレードなんてありえない。
 この後Rex Burkheadが4ヤードゲインするもScott Quessenberryのホールディングをとられて1st-20、またもRex Burkheadのランで2ヤードのゲインで2nd-18。3回の攻撃で20ヤード進むのに何故彼にハンドオフ?ギャンブルが前提でも支持できないです。裏を読んであえてのランだったんでしょうか。残念ながら、レシーバーの正面にいたLBがスナップ直前にボックス内に移動してます。人数で負けてる中でのランとなっていました。プレイを読まれている気がしてなりません。

 絶対に奥に投げたい状況、縦に走るPhillip Dorsettとそれにより空いたスペースに走るO.J.Howardの二択だったでしょう。Howardがオープンになりましたが、投げるのが遅すぎました。実際に投げたタイミングより3歩前がベストだったと思います。狙ったのかはわかりませんが、DBと反対側に投げてインターセプトは避けてます。
 その後Rex Burkheadへのパス。他のレシーバーはまっすぐ縦に走ってますが振り返りません。縦パスと見せかけてブロックしてます。始めからBurkheadに投げると決めてるプレイなんでしょう。もちろんこれで18ヤードも進めないので、パントを蹴る位置をできるだけ前にするためのプレイです。これで4th-10となり、パントです。
 なんでしょう、3rd-18でこんなプレイするくらいなら1st-20でランなんかしなければよかったのに。時間はまだ残ってるからフィールドポジションを良くしてディフェンスに託す、これ自体はOKです。1st-20でパスをして、次もパスしたが3rdで更新は難しいから次善の策、というならこんなに文句は言わないです。これじゃあまるで、ファーストダウンのためにプレイしていたのは実質2nd downの一度だけじゃないですか。ランで5ヤード進めて2nd-15くらいならプレイの選択肢も広がると考えてたんでしょうか。僕は世間ほどRex Burkheadを嫌ってはいませんが彼はそういうプレイヤーでは無いと思いますよ。

 PSからロスターへ昇格したGrayland Arnoldによるナイスタックルでパントリターンはノーゲイン。9ヤードから始まったベアーズのオフェンスはPitreのキャリア初サックもありパントで終わります。残り1分42秒。

 今度こそは決勝ドライブを決めてくれるかと期待しましたが、残念ながら最後はDLにボールを弾かれRoquan Smithがインターセプト。 Nico Collinsが走るコースは相手のカバーの隙間を突けるはずでした。あそこに投げていれば、とたらればを考えてしまいます。
 あとは時間を潰してFGを蹴られ20-23。試合終了です。

まとめ

 敗因はOCでは?3週全てとは言わないですけど少なくとも今週は。Brandin Cooksが今シーズン走ったパスコースのうち、半分以上がヒッチやカールだったそうです。チーム1のプレイメイカーを有効に活用してるとは思えません。
 あとアンダーニースを横に走らせるならChris ConleyではなくPhillip Dorsettに走らせてほしい。40ヤード4.33の健脚です。どうせヒッチかアウトだろと思ってるCBなんてぶっちぎってくれると思います。クロスでもいいです。

 収穫は、Dameon Pierceがパスを捕れるしパスプロもできるとわかったこと、Scott Quessenberryが予想以上に優秀だったこと(特にランブロック!)Laremy Tunsilはやはり頼れる守護神だったこと(あのRobert Quinnが0サック1タックル)ディフェンスがターンオーバーを狙って生み出せること、ですかね。
 Millsが印象より悪くなかった、のもありますけど「O#のプランが酷いからQBのせいとは言いにくい」は収穫ではないですね。

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