第一週のあれやこれ

 負けを覚悟で観戦し始めたのに、まさかまさかの展開で勝ちが見えた。それだけに引き分けで終わったのが残念です。「負け試合を引き分けに持ち込んだ」のではなく「勝ちきれず引き分けた」ことが悪印象だったのはあります。おかげで開幕戦の結果ではなく、その後どう変わっていくかが最重要であることを忘れていました。

 試合前にMario AddisonをIRへ移し、Demone HarrisとKevin Pierre-Louisをロスターへ昇格。PSからActiveに登録できる二枠はChris ConleyとJeff Driskelが選ばれています。

 Millsのスタッツはパス37回中23回成功、240ヤード2TD、インターセプト無し被サック3回ファンブル1回、レーティング98.9。記録上は合格点レベルだと思います。気になるのはサイドライン際のパス成功率が低いこと。3rd-downで、通ればフレッシュ獲得という場面ばかり。イージーなパスを失敗してるシーンもいくつかありました。試合を通してプレッシャーが激しく落ち着いて投げられる状況ではなかったため、一概にMillsだけが悪いとも言えません。
 またフィールド中央へのパスが一度も無いのは驚きです。ここはMillsが最も成功率が高いエリアのひとつです。LBとSFの間を狙うプレイアクションパスは昨年何度も見ましたし、大きな武器だと思っていました。ただでさえShaquille Leonardの欠場でLBはダウングレードしていたのに。これについては理由がちょっと思いつきません。
 記録ではディープパスはBrandin Cooksへのフリッカー含め2回になっていますが、Chris MooreがDPIを誘発したプレイがあったはず。今回のパスオフェンスのプランがタイミングパス中心のウェストコーストだからか、そもそもディープを狙うプレー自体少なかったように見えます。
 良かった点はO.J.Howardへの2つのTD、どちらもカバーを見切った上でのパスでした。コルツのSFの片方がランストップのために前進していたため、中央を守るもう一人のSFと外を守るCBの間が空いていたので縦に走るTEを止められませんでしたね。尚早ですがカバーリードは向上してるのではないでしょうか。

 パスターゲットはBrandin Cooksが7/12 82ヤードでTDは無し、エースとしてはまずまずの結果でした。ターゲット12回はかなり多いですね。Rex Burkheadへのパスも多かったですが、今日の試合はターゲットが決め打ちのプレイがほとんどだったように見えました。その他はWRもTEもRBも合計30ヤードくらいが4人ほど、やはり深刻な2番手不足です。そんな中、O.J.Howardの2TDは素晴らしい成果です。6-6 250ポンドと大きすぎるためスピードでLBを振り切ることはできませんが、キャッチ力があるのでミドルまでなら信頼できるターゲットとなるでしょう。ただ常にパスコースを走らせるには役者不足。Nico Collins、Chris Moore、Brevin Jordan誰でもいいから伸びてこなければあまりに武器が少なすぎます。

 ランオフェンスはDameon Pierceがまさかの不発。雨で濡れているわけでもないのにハンドオフ直後にスリップはいただけない。直前に8ヤード走ってTV局が事前に用意した映像が流れた後だけになんとも気まずい空気でした。とはいえ持ち前のタフな走りは見られました。終盤出番が減り、オーバータイムには一度も出ていなかったはずです。これついてLovie Smithは「パスシチュエーションで最も適したRBはRex Burkheadなので彼の出番が増えた」と話しています。Dameon Pierce本人はベンチでRBコーチからランコースのフィードバックを受けていた様子。試合後のインタビューでは、短所がパスプロやパスキャッチであることを自覚しているようでした。これからに期待しましょう。
 今日のRex Burkheadは救世主にはなりませんでした。Dameon Pierceではなく彼を使うなら、去年成功していたWheelルートを走らせてほしかったですね。なんともワクワクしないプレイコールだったのが不満です。

 OLはJustin McCrayがLGのスターター。数日前に発表された非公式デプスの通りでした。それが数シリーズ後にKenyon Greenと交代、と思ったら後半Justin McCrayが戻ってきて、第3Q残り5分でまたGreenに交代?このあたりが外野からはちょっとよくわかりません。とりあえずKenyon GreenについてはミスらしいミスといえばLBのブロックミスでランが出なかったのが1回ありましたが、Laremy Tunsilとのコンビネーションブロックはしっかりしており概ね問題ないように見えました。来週はGreenが先発するべきです。逆にJustin McCrayは時折ひどくやられる場面があり、正直あまり良い状態には見えません。その隣のJustin BrittはやはりギリギリNFLのスタメンというレベルですね。笛がなる前に足が止まるOLは信頼できないです。とはいえイイCはフランチャイズQB並みに希少な存在。このポジションはどうなるでしょうね。新加入のA.J.Cannはいくつか素晴らしいプルブロックがありました。期待してたので活躍してて嬉しいです。
 そういえばLaremy Tunsilですが、MillsがファンブルしたときのブリッツはTunsilが抑えるべきだったと思います。Tunsil視点ではオフガードとオフタックルにブリッツが入り、Kenyon GreenはインチャージしたDEをブロックしていたので、より危険な内側のブリッツをブロックしたんだと思います。しかしKenyon GreenがDEをJustin Brittへ渡し、Greenのすぐ横のブリッツをブロックした。結果的に二人でオフガードブリッツをブロックし、オフタックルのブリッツはほぼ素通り。背後からのタックルが、投球のために片手持ちになったMillsを襲い、ファンブルという流れでした。GreenもTunsilもできるだけのことをしましたが、ユニットとして最善ではなかった。あのターンオーバーがなければ試合結果は変わっていたでしょう。OLは5人で1つの生命体。ここはわかりやすい改善点だったと思います。

 ディフェンスは第3Qまでは良かったですね。昨年は2試合合計で330ヤード走ったJonathan Taylorを、前半60ヤードほどに抑えられたのは改善と言っていいと思います。しかし第4Qであれよあれよと17点も取られました。オフェンスの援護射撃が薄いままついに守備が攻略される姿は去年のペイトリオッツ戦、49ers戦みたいでイヤです。テキサンズの守備の穴、LBを徹底的に突かれたようにも見えます。
 LBはChristian KirkseyとKGHが先発、3枚目のLBはPSからActiveになったKevin Pierre-Louisでした。Neville Hewittだったらたぶん負けてました。恐ろしいのはパスカバーが苦手なKGHが、今年もパスカバーで走り回る役割だったこと。タックル数が喜ばしい数字のように注目されていましたが、完全に狙い撃ちされた結果でした。開き直って「キャッチされるのは仕方ない、RACされないようにタックルをしっかりしろ」という方針なのかもしれません。ランプレーではブロック外せなくて苦戦してました。パスシチュエーションのサブパッケージでどうしてもLB2枚が欲しいならKPLやBlake Cashmanを投入しても良かったのでは。迷いなく一歩目出したときのスピードはあいかわらずイイんですが…
 KGHに限った話ではないですが、ラムズが得意とするようなアウトゾーンランフェイクでQBが逆にロールアウトするプレイはしばらくの間は止められないと思います。今日もそれでフレッシュ取られちゃいました。スクリーンも苦手ですね、横に振られるとチーム全体が簡単に振り回されるようにも見えます。ここは大ベテランLovie Smithの老獪な手腕を信じましょう。
 DLはスターターのJerry Hughesが見事なインターセプト。ラッシュがQBに届かないと見るやMatt Ryanの目線と自分のすぐ横を走り抜けたRBからパスの弾道を予測、ふわりと浮かせたパスを奪い取りました。さすがキャリア13年目、年季が違うとはこのこと。しかも2サックを奪っている。テキサンズで今日最も輝いていました。Jonathan Greenardはサックこそありませんがゴール前のギャンブルを抑えたのは見事でした。仮にハンドオフされていてもタックルしていたでしょう。DTで目立ったのはMichael Dwumfourです。前半の2ミニッツ突入後すぐのプレイで、Q.Nelsonをかわしあわやサックというところまで詰めました。
 DBはDerek Stingleyがエンドゾーンで見事なPBUを見せてくれました。パスラッシュでプレーが崩れた後に結局苦し紛れのランやパスが成功する、このパターンは去年嫌というほど見ました。みなさんもぬか喜びを何度もした記憶があると思います。が、どうやらDerek Stingleyには通用しないようです。アウトコースにピッタリと付き、緊急事態を察したWRが内側に切り返すもStingleyは一気に距離を詰めボールをはたき落としました。NextGenStatsによれば34回のパスカバーのうちターゲットになったのは2回、許したキャッチはたった1回だそうです。インターセプトこそないものの全体3位の面目躍如といったところでしょう。
 StingleyだけでなくDBは本当に全員良かったですね。Steven Nelsonは簡単にはディープを通させず、Desmond Kingは得意のニッケルに戻り通ればTDというパスを弾きました。Pitreは様々なポジションにセットしランのリアクションが本当に早い。プレイの終わりには常にボールのそばにいました。一番心配だったJonathan OwensもWRの手に収まりかけたTDパスをパンチで落とすナイスプレイ。テコ入れし若返った新生テキサンズDBはかなりの好調子でした。

 第4Qとオーバータイムで後味が悪いのはたしかですが、試合を通してみればほとんどの選手が何かしら活躍していました。問題はそれが散発的で、次のプレイには誰かがミスをし流れを掴みきれなかったこと。
 同地区でも好スタートを切れたチームはいません。ジャガーズもタイタンズも惜敗、コルツとは痛み分け。またMills以外の2年目QBも順風満帆とは言えないスタート(Fieldsは勝ちましたけど)で、これからどう変わるかどれだけ変われたかを測るにはうってつけです。新生テキサンズの今後に期待。最終戦こそコルツを文句なしに叩き潰してくれい。

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